第4節 まとめ
小規模事業者は、地域経済を支える重要な存在であり、また、商圏や業種も多種多様な存在である。小規模であるが故に、経営資源が限られ、販路開拓や人材の確保、新商品やサービスの開発等に課題を感じている。本章では、小規模事業者が、顧客ニーズや自社の強みを把握し、PR活動を行うことで、売上拡大につなげることができることを見てきた。
ITの発展により、インターネットやソーシャル・ネットワーキング・サービス等、小規模事業者でもそれほどコストを掛けずに活用でき、新たな顧客や販路開拓につながる手段の選択肢が拡充しつつあり、実際に、PR活動に取り組む小規模事業者は、新規顧客獲得、自社の知名度向上、売上拡大や従業員の意欲向上といった、様々な効果を感じている。しかし、多くの小規模事業者が、そうした新しい取組を行う際に、人材不足を課題としている。
中小企業全体でも、人手不足が強まる中で人材の確保は大きな課題となっているが、小規模事業者では、定期的に採用活動を行う事業者の割合は低く、むしろ、女性やシニア等が活躍できる職場環境を整備し、一人一人に配慮し、柔軟な働き方を受け入れることで、人材の定着に成功している。こうした多様な人材の活用に取り組む小規模事業者は、業務プロセスの見える化を通じて業務の効率化に取り組み、売上拡大を実現できる傾向がある。
また、小規模事業者であっても、内部の経営資源にこだわらず、アウトソーシングにより、外部の経営資源をうまく活用することで、人手不足の中でも、目指す経営方針を実現できている。会計業務等だけでなく、マーケティングやデザインといった分野でも外部の専門家を活用することにより、売上の拡大や新規顧客獲得につなげている事業者は、アウトソーシングを活用した際にあまり課題を感じていない。
これまで見てきたように、小規模事業者でも、柔軟な働き方を実現して多様な人材を活用し定着を図りつつ、人手不足の中でもアウトソーシングにより外部資源を積極的に活用し、自社の経営方針を明確にし、自社の強みを活かした魅力的な商品やサービス提供し、それを積極的にPRすることで売上拡大を達成し、持続可能な発展を遂げ、成長につなげていくことが重要である。