平成28年度において講じた中小企業施策

第7章 業種別・分野別施策

第1節 中小農林水産関連企業対策

1.6次産業化の推進

(1)6次産業化ネットワーク活動交付金【28年度予算:20.3億円】

農林漁業者等が多様な事業者とネットワークを構築して行う新商品開発や販路開拓の取組及び農林水産物の加工・販売施設の整備等を支援した。また、市町村の6次産業化戦略に沿って行う地域ぐるみの6次産業化の取組を支援した。

(2)農林漁業成長産業化ファンドの積極的活用

農林漁業成長産業化ファンドを通じて、農林漁業者が主体となって流通・加工業者等と連携して取り組む6次産業化の事業活動に対し、出資等による支援を実施した。

(3)地理的表示等活用総合対策事業【28年度予算:1.7億円】

地理的表示(GI)保護制度に係る登録申請に対する支援及び普及啓発、GI等を活用した地域ブランド化とビジネス化の支援、我が国のGIマーク及び農林水産物・食品等の海外における知的財産の侵害対策強化に取り組んだ。

(4)農山漁村活性化再生可能エネルギー総合推進事業【28年度予算:1.0億円】

地域主導で再生可能エネルギーを供給する取組を推進し、そのメリットを地域に還元させることを通じて、地域の農林漁業の発展を促進した。

2.中小農林水産事業者向け支援

(1)木材産業等高度化推進資金、林業・木材産業改善資金【28年度予算:700億円】

木材の生産・流通を合理化するため、木材産業等高度化推進資金による融資を行うとともに、林業・木材産業の経営改善等を実施するため、林業・木材産業改善資金を融資した。

(2)木材加工設備導入利子助成支援事業【28年度予算:0.04億円】

木材製品の高付加価値化や経営の多角化等を図るための設備導入とそれに伴う施設・設備廃棄等に必要な資金の借入に対する利子助成を行った。

(3)次世代林業基盤づくり交付金(森林・林業再生基盤づくり交付金[木材加工流通施設等の整備])【28年度予算:61.4億円】

価格・量・品質面において安定的・効率的な供給ができるサプライチェーンを構築するために必要な木材加工流通施設の整備を支援した。

(4)強い農業づくり交付金及び産地活性化総合対策事業による乳業再編整備等への支援【平成28年度予算:228.4億円の内数】

(施策の目的)

飲用牛乳の消費が低迷する中、酪農家の経営安定に資するために、乳業工場の再編・合理化と衛生管理の向上を図ること等により、中小乳業の経営体質の強化を推進するため。

(施策の概要)

中小乳業の製造販売コストの低減や衛生水準の高度化を図るため、乳業工場の施設の新増設・廃棄、新増設を伴わない場合の乳業工場の廃棄等に対する支援策を措置した。

集送乳の効率化や乳業の再編整備に向けた取組を着実に推進するため、地域における課題の把握・検討、具体的な計画の策定、従業員の合理化への取組等に対する支援策を措置した。

(5)食品の品質管理体制強化対策事業

食品の安全性の向上と消費者の信頼を確保するため、食品の製造管理の高度化に関する臨時措置法に基づき、〔1〕HACCP導入のための施設、設備の整備、〔2〕HACCP導入の前段階の一般衛生管理や品質管理を行うための体制、施設・設備の整備(高度化基盤整備)への金融支援を行った。(食品産業品質管理高度化促進資金)

(6)輸出総合サポートプロジェクト事業【28年度予算:14.8億円】

(施策の目的)

(施策の概要)

(27年度からの変化)

(7)輸出に取り組む事業者向け対策事業【28年度予算:8.4億円】

(施策の目的)

(施策の概要)

(平成27年度からの変化)

3.研究開発等横断的分野等における支援

(1)農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業【平成28年度:32.0億円】

農林水産・食品分野の成長産業化を図るため、農林水産・食品分野における産学連携による研究開発を基礎から実用化段階まで継ぎ目なく推進した。

(2)日本公庫による各種融資

〔1〕特定農産加工業者の経営改善、〔2〕特定農林畜水産物の新規用途又は加工原材料用新品種の採用の推進、〔3〕食品製造業者等と農林漁業者等の安定取引関係構築及び農林漁業施設の整備等、〔4〕乳業施設の改善、〔5〕水産加工業の体質強化等の推進に対して融資した。

第2節 中小運輸業対策

1.倉庫業への支援

経済・社会環境の変化の中で高度化・多様化する物流ニーズやトラックドライバー不足に対応するため、物流総合効率化法を改正し、物流の省力化・効率化を図るため、輸送機能と保管機能の連携した倉庫の整備を促進した。

また、倉庫の低炭素化の促進を実施するため、省エネ設備等の導入に対して支援を行った。

2.内航海運暫定措置事業

内航海運暫定措置事業の円滑かつ着実な実施を図るため、同事業に要する資金について政府保証枠の設定による支援措置を講じた。

3.中小造船業・舶用工業対策【28年度予算:(1):0.5億円の内数、(2):160億円(平成25年度予算)、(3):6.4億円の内数、(4):0.9億円】

(1)経営の安定のためのセーフティネットの確保に取り組むほか、〔1〕経営技術の近代化に向けた講習会を全国8か所で実施するとともに労働災害の防止に向けての統括安全衛生責任者研修会を実施した。

(2)東日本大震災では東北の太平洋側に位置する造船所のほとんどが壊滅的な被害を受けた。地域の基幹産業である水産業を支える地元造船産業の早期復旧・復興を図るため、国土交通省では、中小企業庁等関係省庁と連携し、各種支援制度を活用した支援を行ってきた。地盤沈下等により震災前と同様の操業を行うことが困難となっている造船事業者に対しては、協業化・集約化による本格的な復興のための造船施設の整備を支援する「造船業等復興支援事業費補助金」を平成25年度に創設し、平成26年度末までに、8件、19事業者に対して補助金を交付決定(補助額計114.2億円)の上、復興事業を推進している。平成28年度末までに3件の事業が完了したところ、残り5件の事業の適正な実施を含め、東北造船業の早期復興に向けた支援を行っていく。〔2〕造船業等復興支援事業費補助金

(3)我が国海洋産業の戦略的振興のための海洋資源開発技術、船舶からのCO2を削減する世界最先端の海洋環境技術の技術開発費、我が国海事産業の船舶の建造・運航における生産性向上のための技術研究開発費に対し34件(うち、中小企業の参加するプロジェクトは9件)補助を行った。〔3〕海事産業関連技術研究開発費補助金

(4)平成28年7月に施行された中小企業等経営強化法に基づき、造船業・舶用工業における事業分野別指針を策定し、税制優遇等の支援措置が受けられるよう、本指針に沿って中小企業・小規模事業者が策定した経営力向上計画を31件(平成29年1月末時点)認定した。【税制】

(5)2015年度に開始した中小造船事業者の地域連携による高校生・大学生を対象とした造船所へのインターンシップや高校教員を対象とした造船教育研究会のトライアル事業を実施し、地域の造船企業と教育機関のネットワーク強化のためのガイダンスを取り纏めた。さらに、新たな取組として、高校生向けの魅力ある造船の教材の作成を行い、造船教育の強化を推進した。

また、造船業において、平成27年4月から平成32年度末までの緊急かつ時限的措置として、即戦力となる技能実習修了者に対して、最大3年間の就労を認める外国人造船就労者受入事業を実施し、平成28年12月末までに約1,900人の外国人材が就労した。〔4〕造船業における人材の確保・育成

第3節 中小建設・不動産業対策

1.地域建設産業活性化支援事業【平成28年度:1.7億円】

社会資本の整備・維持管理や地域の防災・減災など、地域社会を支える中小・中堅建設企業及び建設関連企業(測量業、建設コンサルタント及び地質調査業)に対して、人材開発の専門家や中小企業診断士等の活性化支援アドバイザーが、経営上の課題又は施工管理等の技術的な課題の解決に資する幅広いアドバイスを実施。

また、担い手の確保・育成や生産性向上に資する取組でモデル性の高い案件については、重点支援として専門家の支援チームによる計画策定等の目標達成までの継続支援や計画実行段階の経費の一部支援を実施。

加えて、重点支援の取組や活性化支援アドバイザーの知見等を活かし、生産性向上に資するベストプラクティスの見える化、建設業に応用可能な他産業の生産性向上を参考にした、建設業版「生産管理モデル」の構築を検討し、本事業スキームによる支援にも活用するほか、ベストプラクティス・生産管理モデルに関するセミナー・個別相談会の開催や、オンライン講座等の効率的・効果的な教育手法を開発・試行。

2.建設業における金融支援の実施

(1)地域建設業経営強化融資制度の実施

元請建設企業の資金調達の円滑化を一層図るため、中小・中堅元請建設企業が公共工事請負代金債権を担保に、融資事業者から工事の出来高に応じて融資を受けることが可能となる「地域建設業経営強化融資制度」を実施した。なお、本制度においては、融資事業者が融資を行うにあたって金融機関から借り入れる転貸融資資金に対して債務保証を付すことにより、融資資金の確保と調達金利の軽減を図っている。

(2)下請債権保全支援事業の実施

下請建設企業等の債権保全及び資金調達の円滑化を一層図るため、中小・中堅下請建設企業等が元請建設企業に対して有する工事請負代金債権等をファクタリング会社が保全する場合に、そのリスクを軽減する損失補償を実施し、また、当該下請建設企業等が負担する保証料について助成を行う「下請債権保全支援事業」について、事業期間を延長した。

3.建設業の海外展開支援【28年度予算:0.7億円】

中堅・中小建設企業の海外進出を支援するため、経営者層を対象とした海外進出戦略セミナーを国内5ケ所において開催し、訪問団をベトナム及びミャンマーに派遣した。そのほか、ベトナムでの海外見本市出展支援や国内での海外建設実務セミナーの開催、海外建設・不動産市場データベース等を通じた最新情報の発信等の取組みを行った。

4.中小不動産業者に対する金融措置

中小不動産事業者の信用を補完し金融を円滑化するため、中小不動産事業者の協業化円滑資金や地域再生のための事業資金等に対する債務保証事業を継続実施した。

5.地域型住宅グリーン化事業【28年度予算:110.0億円】

地域における木造住宅の生産体制を強化し、環境負荷の低減を図るため、資材供給、設計、施工などの関連事業者からなるグループによる、省エネルギー性能や耐久性等に優れた木造住宅・建築物の整備に対して支援を行う。

6.木造住宅施工技術体制整備事業【28年度予算:5.1億円】

新規大工技能者の育成や大工技能者の技術力の向上に資するリフォーム技術講習等の取組に対する支援を行う。

第4節 生活衛生関係営業対策

1.生活衛生営業対策【28年度予算:10.3億円】

理美容業、クリーニング業、飲食店営業などの生活衛生関係営業の経営の健全化、衛生水準の維持向上及び利用者又は消費者の利益の擁護を図り、もって安心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進するため、生活衛生同業組合及び連合会、全国生活衛生営業指導センター、都道府県生活衛生営業指導センターに対して補助を実施する。平成28年度においては、生活衛生関係営業者の経営改善を支援するため、生産性向上に資する取り組み事例を収集し取りまとめるとともに、業態、規模、地域性に応じたきめ細やかな経営相談、経営指導等を行うモデル事業(生活衛生関係営業生産性向上等モデル事業)などを重点的に実施した。

2.生活衛生関係営業者に関する貸付【28年度予算:25.0億円】

生活衛生関係営業の資金繰り支援を行うことで公衆衛生の向上及び増進を図るため、株式会社日本公庫(生活衛生資金貸付)において、低利融資を行った。平成28年度においては、耐震化に係る運転資金の貸付内容の拡充等を行い、平成28年度補正予算においては、熊本地震により被災した生活衛生関係営業者等の資金繰り支援、雇用の維持・拡大を図る企業や経営支援を受ける企業に対し貸付利率の引下げ、インバウンド対応に係る資金の貸付利率の引下げを実施した。

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