平成28年度において講じた中小企業施策

第5章 地域経済の活性化・新陳代謝の促進

第1節 経営支援体制の強化

1.中小企業連携組織支援対策推進事業【28年度予算:6.8億円】

中小企業連携組織支援のための専門機関である全国中小企業団体中央会を通じて、経営革新・改善に取り組む組合等に対して、その実現化等に要する経費の一部の助成などの支援を行ったほか、指導員向けの研修等も支援した。また、外国人技能実習生受入事業を行う組合(監理団体)等の事業の適正化を支援した。

2.経営支援と一体となった高度化融資による設備資金の支援

中小企業が事業環境の改善や経営基盤の強化を図るために、事業協同組合等が共同で取り組む事業に対し、中小機構と都道府県が協調し、事業計画への診断・アドバイスを行うとともに、必要な設備資金について、長期・低利(又は無利子)の貸付を行った。

3.中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業【28年度予算:54.7億円】

中小企業・小規模事業者が抱える様々な経営課題に対応するワンストップ相談窓口として、各都道府県に「よろず支援拠点」を設置し、一歩踏み込んだ専門的な助言を行うとともに、特に高度・専門的な経営課題に対応するために専門家派遣を実施した。(事業開始から平成28年12月までに47.8万件の相談対応)

4.ローカルベンチマークの活用促進

ローカルベンチマークの活用促進について、中小企業等経営強化法(平成28年法律第58号)に基づく基本方針において、中小企業者が認定申請書の作成の際にローカルベンチマークを活用すること定めたとともに、各地の商工団体や地域金融機関等に対する説明会を実施した。また、平成28年4月に設置した「ローカルベンチマーク活用戦略会議」において、金融機関や支援機関による活用事例の紹介や、ローカルベンチマークによる分析方法の更なる充実のための見直し等を含めた検討を実施した。

第2節 地域資源の活用

1.小規模支援法による経営発達支援計画の認定

小規模支援法に基づき、全国の商工会・商工会議所が市町村や地域の金融機関等と連携して、地域ぐるみで小規模事業者を支援する体制の整備を全国各地で進めるため、商工会・商工会議所が策定する「経営発達支援計画」について、第4回認定までに、累計1,127件(1,303単会)の認定を行った。

2.ふるさと名物支援事業【28年度予算:10.0億円】

中小企業・小規模事業者が、地域資源の活用や農林漁業者との連携により行う、新商品・新サービスの開発、販路開拓を支援した。また、地域資源の活用や、農林漁業者との連携により行う商品開発等に取り組む事業者に対して、一般社団法人等が行う消費者嗜好に関する情報提供、マッチング支援などの取組を支援した。

3.(再掲)JAPANブランド育成支援事【28年度予算:10.0億円の内数】

中小企業の海外販路開拓の実現を図るため、複数の中小企業が連携し、自らが持つ素材や技術等の強みを踏まえた戦略の策定や、当該戦略に基づいて行う商品の開発や海外見本市への出展等の取組を支援した。

4.小規模事業対策推進事業【28年度予算: 51.5億円】

改正小規模支援法に基づき認定を受けた「経営発達支援計画」に沿って商工会・商工会議所が取り組む伴走型の小規模事業者支援を推進し、小規模事業者の需要を見据えた事業計画の策定や販路開拓等を支援(採択数:659件)した。

また、地域の小規模事業者による全国規模の市場に向けた事業展開を促進するため、商工会・商工会議所等が事業者と協力して進める、特産品開発や観光開発及びその販路開拓等の事業(調査研究事業:61件、本体事業(1年目:86件、2年目:24件)に対し、幅広い支援を行った。

5.伝統的工芸品の指定

伝統的工芸品産業の振興に関する法律(以下「伝産法」という。)に基づき、伝統的工芸品への指定の申出があった工芸品について調査、検討を行った後、産業構造審議会の意見を聴いて、以下の3品目について、伝統的工芸品の指定を行った。

6.伝統的工芸品産業振興関連補助事業【28年度予算:12.5億円】

伝統的工芸品産業の振興に関する法律(以下「伝産法」という。)に基づき、伝統的工芸品産業の振興のため以下の支援を行った。

〔1〕産地の製造協同組合等が実施する以下の事業に対する補助

〔2〕伝産法第23条に基づく一般社団法人・一般財団法人が実施する以下の事業に対する補助

また、伝統的工芸品の産地ブランド化推進として、伝統的工芸品の産地への観光客誘致・海外販路開拓を後押しするため、伝統的工芸品の産地にデザイナー等の外部人材等を招聘する取組を支援した。

7.伝統的工芸品の普及・推進事業

伝統的工芸品に対する国民の理解を増進するため、毎年11月を「伝統的工芸品月間」とし、伝統的工芸品月間国民会議全国大会の開催等の普及・啓発事業を実施。平成28年度においては、福井県で全国大会を開催した。

第3節 商店街・中心市街地の活性化

1.地域商店街の活性化に向けた総合的支援

地域商店街活性化法に基づき、商店街活性化事業計画を国が認定した商店街等について、支援措置を講じた。

2.全国商店街支援センターによる人材育成等

中小企業関係4団体が共同で設立した「全国商店街支援センター」において、人材育成、ノウハウ提供等の支援を行った。

3.中心市街地活性化協議会運営支援事業【中小機構交付金の内数】

中心市街地活性化協議会の設立・運営にあたって、中小機構に設置された中心市街地活性化協議会支援センターを中心に、各種相談対応、HPやメールマガジンでの情報提供、交流会の開催によるネットワーク構築支援等を行った。平成28年度(平成29年1月末時点)は358件の相談対応を実施した。

4.中心市街地商業等活性化アドバイザー派遣事業【中小機構交付金の内数】

中心市街地活性化協議会等が抱える様々な課題に対応するため、中小機構に登録された商業活性化に関する各分野の専門家を派遣した。平成28年度(平成29年1月末時点)は29地域に専門家を派遣した。

5.中心市街地商業活性化診断・サポート事業【中小機構交付金の内数】

中心市街地活性化協議会等が行う中心市街地における商業活性化の取組を支援するため、中小機構における専門的ノウハウを活用し、セミナー等の企画・立案支援・講師の派遣や、個別事業の実効性を高めるための助言・診断・課題整理・情報提供等を行った。平成28年度(平成29年1月末時点)は16地域でセミナーを開催し、19地域へ助言等を実施した。

6.(再掲)企業活力強化資金【財政投融資】

中小商業者・サービス業者等の経営の近代化及び流通機構の合理化、中小企業者のものづくり基盤技術の高度化の促進並びに下請中小企業の振興を図るため、日本公庫が必要な資金の貸付を行った。平成28年度(平成29年1月末時点)の貸付実績は、11,510件、952億円となった。

7.商店街・まちなかインバウンド促進支援事業【27年度補正予算:10.0億円】

商店街等における、外国人観光客の買物需要等を取り込むための環境整備等の取組を支援した。平成28年度には、商店街インバウンド促進支援事業において43件、中心市街地活性化事業において6件採択した。

8.地域・まちなか商業活性化支援事業【28年度予算:20.3億円】

商店街等における子育て・高齢者支援サービスの提供や空き店舗への店舗誘致、中心市街地における複合商業施設の整備などの取組を支援した。平成28年度には、地域商業自立促進事業において、調査分析事業を41件、支援事業を28件採択し、中心市街地再興戦略事業において、調査事業を3件、先導的・実証的事業を3件、専門人材活用支援事業を15件採択した。

9.中心市街地活性化のための税制措置【税制】

中心市街地活性化法の改正により創設した「特定民間中心市街地経済活力向上事業」に基づいて行われる、〔1〕建物及び建物附属設備、構築物の取得に対し、5年間30%の割増償却制度、〔2〕不動産の取得に対し、その不動産の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率を1/2とする措置を講じた。

10.商店街・まちなか集客力向上支援事業【28年度補正予算:15.0億円】

商店街・中心市街地の中長期的な成長基盤の構築につながる、外国人観光客による需要を取り込むために行う施設整備等の事業や、消費喚起に向けた商店街での高いセキュリティを有するIC型ポイントカードの導入等に対して支援を行った。(新規)

第4節 販路・需要開拓支援

1.小規模事業対策推進事業【28年度予算:51.5億円】

改正小規模支援法に基づき認定を受けた「経営発達支援計画」に沿って商工会・商工会議所が取り組む伴走型の小規模事業者支援を推進し、小規模事業者の需要を見据えた事業計画の策定や販路開拓等を支援(採択数:659件)した。

また、地域の小規模事業者による全国規模の市場に向けた事業展開を促進するため、商工会・商工会議所等が事業者と協力して進める、特産品開発や観光開発及びその販路開拓等の事業(調査研究事業:61件、本体事業(1年目:86件、2年目:24件)に対し、幅広い支援を行った。

2.各種展示会や商談会等による販路開拓支援【中小機構交付金の内数】

中小企業・小規模事業者が農商工連携や地域資源活用等により開発した商品・サービス等について、中小機構が展示会や商談会等の開催を通じて、販路開拓・拡大を支援した。

3.販路開拓コーディネート事業【中小機構交付金の内数】

中小企業者等が新商品・新技術・新サービスについて、首都圏・近畿圏におけるテストマーケティング活動の実践を通じ、新たな市場への手がかりを掴むとともに、販路開拓の力をつけることを中小機構に配置されている商社・メーカー等出身の販路開拓の専門家(販路開拓コーディネーター)が支援した。

4.販路開拓サポート支援事業【中小機構交付金の内数】

中小機構が、自ら主催する展示会またはそれらの同時開催展等に出展する企業に対し、バイヤーの招聘や販路開拓のアドバイス等を行うことにより、マッチングを促進し、中小・ベンチャー企業の販路開拓を支援した。

5.新事業創出支援事業【中小機構交付金の内数】

中小機構の全国10支部・事務所にマーケティング等に精通した専門家を配置し、中小企業新事業活動促進法、中小企業地域産業資源活用促進法、農商工等連携促進法に基づく事業計画の策定により、新事業に取り組む中小企業等に対して一貫してきめ細かな支援を行った。

6.J-GoodTech(ジェグテック)【中小機構交付金の内数】

中小機構が、ニッチトップやオンリーワンなどの優れた技術・製品を有する日本の中小企業の情報をウェブサイトに掲載し、国内大手メーカーや海外企業につなぐことで、中小企業の国内外販路開拓を支援した。

第5節 人材・雇用対策

1.中小企業・小規模事業者人材対策支援事業【28年度予算:18.1億円】

経営資源の乏しい中小企業・小規模事業者の人材の確保を支援することを目的に、地域特性に合わせ、各地の中小企業・小規模事業者が必要とする人材を地域内外から発掘し、紹介・定着などを支援した。また、中小サービス業・ものづくり現場の中核を担う人材や、小規模事業者を支援する人材を育成することを目的に、マッチングや実地研修の組成、外部講習受講の支援を行った。

2.中小企業大学校における人材育成事業【中小機構交付金の内数】

全国9か所にある中小企業大学校において、中小企業支援人材の能力向上のための研修を実施するとともに、中小企業の経営者、管理者等を対象に経営課題の解決に直接結びつくような研修を実施した。

3.ふるさとプロデューサー育成支援事業【28年度予算:10.0億円の内数】

地域の関係者を巻き込み、地域資源を活かした魅力ある産品を「地域ブランド化」し、海外市場を見据えて販路開拓を行う取組の中心的担い手となることができる人材育成の取組を支援した。

4.労働者の雇用維持対策【28年度予算:82.6億円】

景気の変動等に伴う経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業、教育訓練又は出向により、労働者の雇用の維持を図った場合に、雇用調整助成金を支給した。また、本助成金については、不正受給防止対策にも積極的に取り組んでおり、不正受給を行った事業主名等の公表、実地調査の実施等、本助成金のより一層の適正な支給に努めた。

5.魅力ある雇用創出に向けた雇用管理の改善の支援【28年度予算:61.0億円】

職場定着支援助成金において、企業の雇用管理改善の取組を支援し、魅力ある雇用創出を図るため、中小労確法に基づき各都道府県知事に改善計画の認定を受けた中小企業団体(事業協同組合等)が労働環境向上事業を行った場合に助成を行った。また、中小企業・小規模事業者等が就業規則・労働協約等を変更し、雇用管理制度を新たに導入した場合及び従業員の離職率を低下させた場合や、介護福祉機器を導入等した場合に助成を行った。また、当該コースの中に、賃金制度の整備を通じて従業員の離職率の低下を図る介護事業主及び保育事業主を支援する介護労働者雇用管理制度助成(平成28年4月)及び保育労働者雇用管理制度助成(平成28年10月)を創設した。

6.人材不足分野における人材確保のための雇用管理改善促進事業【28年度予算:8.8億円】

人材不足分野の事業を営む事業主が、人材確保のために従業員の処遇や職場環境の改善などの雇用管理改善を行う場合に、雇用管理制度の導入支援等を実施し、「魅力ある職場づくり」を支援した。

〔1〕モデル調査コース

事業主が取り組むべき雇用管理の内容が明確となっていない分野を対象として、雇用管理上の課題を抱える事業主に対し、その課題の解消に資する様々な雇用管理制度をモデル的に導入・運用するためのきめ細かなコンサルティングを実施した。

〔2〕啓発実践コース

人材不足分野のうち、介護分野や建設分野について、雇用管理改善の実践段階に課題を抱える事業主に対し相談支援を行い、業界ぐるみでの雇用管理改善の実践や、雇用管理改善に積極的に取り組む事業主を中心とした地域ネットワーク・コミュニティによる地域ぐるみでの雇用管理改善の実践を促進した。

7.地域雇用開発奨励金【28年度予算:33.2億円】

地域における雇用の創出及び安定を図るため、雇用機会の不足している地域等において事業所の設置又は整備を行い、併せて地域求職者を雇い入れる事業主に対して、設置等の費用及び雇入れ人数に応じて助成を行う地域雇用開発奨励金を支給した。

8.戦略産業雇用創造プロジェクト【28年度予算:99.4億円】

良質かつ安定的な雇用機会の創出に向けた取組を推進するため、製造業などの戦略産業を対象として、産業施策と一体となって実施する地域の自主的な雇用創造プロジェクトを支援する戦略産業雇用創造プロジェクトを実施した。

9.雇用促進税制の延長【税制】

平成28年4月1日から平成30年3月31日までの期間内に始まる各事業年度において、一定の要件を満たした法人で、雇用機会が不足している地域(地域雇用開発促進法に基づく同意雇用開発促進地域)において、質の高い雇用(無期雇用かつフルタイム)を創出させた場合、その増加雇用者一人当たり40万円の税額控除を行うことができる施策を実施した。

10.失業なき労働移動の促進【28年度予算:132.0億円】

労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)により、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者等に対して、その再就職を実現するための支援を民間職業紹介事業者に委託等して行う事業主に対して助成を行った。

また、労働移動支援助成金(受入れ人材育成支援奨励金)により、再就職援助計画等の対象者を離職後3か月以内に期間の定めのない労働者として雇い入れた場合や、雇入れ後、当該労働 者に対し訓練を行った場合に助成を行った。

さらに、労働移動支援助成金(キャリア希望実現支援助成金)により、65歳を超えても安定的な雇用機会を得ることができるよう、生涯現役企業(65歳を超えて継続雇用が可能な企業)が自発的にキャリアチェンジを希望する労働者を移籍により受け入れた場合や、移籍等により労働者を受入れた事業主がその労働者に対して訓練を実施した場合に助成を行った。

11.福祉人材確保重点プロジェクト【28年度予算:16.8億円】

福祉(介護・医療・保育)分野におけるサービスを担う質の高い人材の安定的な確保のため、全国の主要なハローワークに設置する「福祉人材コーナー」を中心に、きめ細かな職業相談・職業紹介、求人者への助言・指導等を実施した。

12.若者応援宣言事業の促進【28年度予算:7.2億円の内数】

若者の採用・育成に積極的で、企業情報当を積極的に公表する中小企業については、「若者応援宣言企業」として情報発信の後押しを行った。

13.若者雇用促進法に基づくユースエール認定制度【28年度予算:7.2億円の内数】

若者の雇用管理が優良な中小企業について、「青少年の雇用の促進等に関する法律」(昭和45年法律第98号)に基づき、厚生労働大臣が「ユースエール認定」企業として認定し、中小企業の情報発信を後押しすることにより、当該企業が求める人材の円滑な採用を支援した。

14.3年以内既卒者等採用定着奨励金【28年度予算: 5.1億円】

既卒者や中退者の新規学卒枠での応募機会の拡大及び定着・促進を図るため、既卒者等が応募可能な新卒求人の申込みまたは募集を新たに行い、一定期間定着させた事業主に対して「三年以内既卒者等採用定着奨励金」を支給した。

15.最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者支援【28年度予算:11.0億円】

最低賃金の引上げに向けた中小企業・小規模事業者の生産性向上等のための支援として、

〔1〕経営改善と労働条件管理の相談等にワンストップで対応するため、「最低賃金総合相談支援センター」を全国(47カ所)に設置し、無料の相談対応・専門家派遣を実施する。

〔2〕全国規模の業種別中小企業団体を対象として、賃金の引上げに向けた販路拡大等のための市場調査や新たなビジネスモデル開発等、生産性向上のための取組に要した経費を助成(上限2,000万円)する。

〔3〕全国47都道府県の中小企業・小規模事業者を対象として、生産性向上のための設備投資等を行い、事業場内の時間給1,000円未満の労働者の賃金を60円以上引き上げた場合に、その設備投資などに要した費用の一部を助成(助成率1/2、企業規模30人以下の小規模事業者は3/4)する。なお、平成28年度第2次補正予算以降、〔2〕ついて対象を都道府県規模の中小企業団体に拡充し、〔3〕について助成コース、助成率等の拡充を行った。(継続)

16.キャリアコンサルティングの普及促進

民間職業紹介・就職支援機関や企業の人事管理・人材育成部門、学校におけるキャリア教育などにおいて、キャリアコンサルティング(労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと。)の活用について普及促進を進めている。平成28年4月には、キャリアコンサルティングを行う専門家として「キャリアコンサルタント」を国家資格化するとともに、企業等に対しては、労働者のキャリア形成における「気づき」を支援するため、年齢、就業年数、役職等の節目において定期的にキャリアコンサルティングを受ける機会を設定する仕組みである「セルフ・キャリアドック」の導入を推進している。

第6節 創業支援・第二創業支援

1.創業・第二創業促進補助金【28年度予算:8.5億円の内数】

地域で新需要を創造する新商品・サービスを提供する創業者の創業費用や、事業承継を契機に既存事業の全部又は一部を廃止し、新分野に挑戦する第二創業者に対し、創業費用に加え、廃業費用(法手続費用、在庫処分等)も支援した。また、産業競争力強化法における特定創業支援事業を行う創業支援事業者が、認定創業支援事業計画に基づき行う創業支援(創業者への継続的な経営指導、ビジネススキルアップ研修、コワーキングスペース運営事業等)や創業支援の質の向上を図る取組等を支援した。

2.創業支援事業者支援事業【28年度予算:8.5億円の内数】

産業競争力強化法における特定創業支援事業を行う創業支援事業者が、認定創業支援事業計画に基づき行う創業支援(創業者への継続的な経営指導、ビジネススキルアップ研修、コワーキングスペース運営事業等)や創業支援の質の向上を図る取組等を支援した。

3.新創業融資制度【財政投融資】

新たに事業を開始する者や事業を開始して間もない者に対し、無担保・無保証人で日本公庫が融資を行う制度。

4.女性、若者/シニア起業家支援資金【財政投融資】

多様な事業者による新規事業の創出を支援するため、女性や30歳未満の若者、55歳以上の高齢者のうち、開業して概ね7年以内の者を対象に、日本公庫が優遇金利で融資する制度である。平成11年の制度創設から、平成28年12月末までに、149,581件、751億円の融資を実施している。

5.再挑戦資金(再チャレンジ支援融資)【財政投融資】

日本公庫が、事業に失敗した起業家の経営者としての資質や事業の見込み等を評価することにより、再起を図る上で、困難な状況に直面している者に対して融資を実施した。

6.創業者向け保証

民間金融機関による創業者への融資を後押しするため、信用保証協会において、これから創業する者又は創業後5年未満の者等を対象とする保証制度を実施した。

7.起業・創業時に必要となるリスクマネーの供給強化

産業革新機構、日本政策投資銀行及び商工中金の活用等により、起業・創業時及び事業化に必要となるリスクマネーの供給を促進した。

8.ファンド出資事業(起業支援ファンド、中小企業成長支援ファンド)

民間の投資会社が運営する投資ファンドについて、中小機構が出資(ファンド総額の1/2以内)を行うことで、民間資金の呼び水としてファンドの組成を促進し、創業又は成長初期の段階にあるベンチャー企業(中小企業)や新事業展開等により成長を目指す中小企業への投資機会の拡大を図る事業である。起業支援ファンドについては、累積出資先ファンド数95件、出資約束総額1,609億円、累積投資先企業数2,439社に至った(平成28年3月末現在)。また、中小企業成長支援ファンドについては、累積出資先ファンド数86件、出資約束総額5,288億円、累積投資先企業数987社に至った(平成28年3月末現在)。

9.グローバル・ベンチャー・エコシステム連携強化事業【28年度予算:4.1億円】

起業家や、大企業等で新事業開拓を担う社内起業家の候補等を、世界をリードするイノベーション先端地域であるシリコンバレー等に派遣して、グローバル市場への進出や社会課題の解決といった事業目線の高い新事業を創出する人材の育成や現地関係者とのネットワーク形成等を図った。また、起業家やベンチャー支援人材、大企業等からなる「ベンチャー創造協議会」において、ビジネスマッチングの開催や広範なネットワーク形成の場を提供するとともに、イノベーションの創出に大きく貢献したベンチャー企業を称える「内閣総理大臣賞」の授与等を行い、新事業創出のための基盤形成を図った。

10.創業スクール事業【28年度予算:8.5億円の内数】

全国の支援機関が、創業スクールを開催してビジネスプランの作成まで指導し、創業までのフォローアップを行うとともに、受講生を対象としたビジネスプランコンテストの開催等を行った。

11.エンジェル税制【税制】

創業後間もないベンチャー企業への個人投資家(エンジェル)による資金供給を促進するため、一定の要件を満たす中小企業に対して、個人投資家が投資を行った時点と、当該株式を譲渡した時点において所得税の優遇を受けることができる制度である。平成9年の制度創設から、平成29年1月末までに、703社に対し、約156億円の投資が行われた。

12.企業のベンチャー投資促進税制【税制】

企業が、産業競争力強化法に基づき経済産業大臣の認定を受けたベンチャーファンドを通じてベンチャー企業に出資した場合に、その出資額の8割を限度として損失準備金を積み立て、損金算入することができる制度である。平成25年度の制度創設から平成29年1月末までに、6件のベンチャーファンドに係る投資計画を認定した。

13.経営革新支援事業

中小企業等経営強化法に基づき、中小企業が新たな事業活動を行うことで経営の向上を図ることを目的として作成し、承認された経営革新計画に対し、低利の融資制度や信用保証の特例等の支援策を通じ、その事業活動を支援した。(継続)

14.地域における創業支援体制の構築

中小企業の海外販路開拓の実現を図るため、複数の中小企業が協働し、自らが持つ素材や技術等の強み・弱みを踏まえた戦略の策定や、当該戦略に基づいて行う商品の開発や海外見本市への出展等の取組を支援する。

15.地域経済循環創造事業交付金【28年度予算:26.1億円の内数】

産学金官の連携により、地域の資源と資金(地域金融機関の融資)を活用して、雇用吸収力の大きい地域密着型企業の立ち上げを支援するため、民間事業者等が事業化段階で必要となる経費について、地方公共団体が助成を行う場合、その助成に要する経費の一部を交付する。

また、平成28年度より、地元高校生など地域の将来を担う若者のアイデアを活用した創業を支援する次世代コラボ創業支援事業を創設し、次世代が地域に愛着をもち、定着することを促進する。

16.女性起業家等支援ネットワーク構築事業【28年度予算:2.0億円の内数】

女性の起業を支援するため、地域の金融機関や産業・創業支援機関等を中心とした女性起業家等支援ネットワークを全国10箇所で形成した。また、各地域において、潜在起業希望者等に向けた起業の普及に関するイベントを開催するとともに、起業を志すあらゆる段階にいる女性や、事業成長に課題を抱える創業間もない女性起業家を確実にフォローできる体制をネットワーク内に構築し、既存の起業家支援施策への橋渡し等、女性のニーズに応じたきめ細やかな支援を実施した。

17.生涯現役起業支援助成金【28年度予算:8.7億円】

中高年齢者の雇用機会の創出を図り、生涯現役社会の実現を推進するため、中高年齢者が起業を行う際に必要となる、募集・採用や教育訓練にかかる経費の一部を助成した。

18.中小企業・小規模事業者経営力強化融資保証【28年度予算:16.0億円】【財政投融資】

認定支援機関の支援を前提とした、日本公庫による創業または経営多角化・事業転換等を行う中小企業・小規模事業者に対する低利融資(女性・若者・シニア創業者は基準金利-0.4%)等を整備することで、経営力の強化を図った。

第7節 事業承継支援

1.事業引継ぎ支援事業【28年度予算:58.4億円の内数】

各都道府県の各認定支援機関に設置されている「事業引継ぎ支援センター」において、後継者不在に悩む中小企業・小規模事業者に対して、事業引継ぎ等に関する情報提供・助言等を行うとともに、M&A等によるマッチング支援を実施した。

平成28年4月~12月の間に、4,688件の相談に対応し、311件成約した。

2.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予・免除制度(事業承継税制)【税制】

事業承継税制は、後継者が経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の株式等を先代経営者から相続、遺贈又は贈与により取得した場合において、その後継者が事業を継続することを前提に、相続税・贈与税の納税を猶予し、後継者の死亡等の一定の場合には猶予税額を免除する制度である。平成21年度より事業承継税制の適用の基礎となる認定を開始し、平成28年12月末までに、相続税に係る認定を1,054件、贈与税に係る認定を686件実施した。

3.小規模企業共済制度

小規模企業共済制度は、小規模企業者である個人事業主や会社等の役員が掛金を積み立て、廃業や引退をした際に共済金を受け取れる制度であり、いわば小規模企業の経営者のための「退職金制度」である。平成28年12月末現在で131.5万人が在籍しており、平成28年4月から12月までの新規加入者は7.2万人に上った。

4.経営承継円滑化法による総合的支援

経営承継円滑化法には、遺留分の制約を解決するための民法の特例をはじめとした総合的支援が盛り込まれており、平成28年12月末までに、民法特例の適用の基礎となる経済産業大臣の確認を135件実施した。

5.事業承継円滑化支援事業【中小機構交付金の内数】

全国各地で中小企業の事業承継を広範かつ高度にサポートするため、中小企業支援者向けの研修や事業承継フォーラム等による中小企業経営者等への普及啓発を実施した。

第8節 その他の地域活性化

1.地域の企業立地の促進

企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律(平成19年法律第40号)に基づき、地域が自らの特色を活かした企業立地を促進し、地域産業活性化を目指す取組を支援するため、工場立地法の特例措置、日本公庫を通じた中小企業向け低利融資、企業立地に係る地方交付税措置を実施した。また、同法は施行後10年以内に、法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすると規定しているため、産業構造審議会地域経済産業分科会を開催し、見直しに向けた検討を行った。

2.地域経済循環創造事業交付金【28年度予算:16.1億円】

産学金官の連携により、地域の資源と資金(地域金融機関の融資)を活用して、雇用吸収力の大きい地域密着型企業の立ち上げを支援するため、民間事業者等が事業化段階で必要となる経費について、地方公共団体が助成を行う場合、その助成に要する経費の一部を交付する。

また、平成28年度より、地元高校生など地域の将来を担う若者のアイデアを活用した創業を支援する次世代コラボ創業支援事業を創設し、次世代が地域に愛着をもち、定着することを促進する。

3.企業の地方拠点強化税制【税制】

地方創生のためには、東京一極集中を是正し、地方に良質な雇用を創出することが必要である。このため、企業の本社機能等(事務所、研究所、研修所)の東京23区から地方への移転や地方における拡充をした場合に、計画の認定を受けた企業のオフィス等に係る建物等の取得等について、取得価額の15%の特別償却(移転型事業の場合には、取得価額の25%)又は取得価額の4%の税額控除(移転型事業の場合には、取得価額の7%)の選択適用、その地方拠点において雇用した者に対する雇用促進税制の特例を講じる措置、及び企業の地方拠点強化に係る地方交付税による減収補填措置を引き続き講じる。また、平成28年度税制改正において、雇用促進税制の特例措置について、一定の調整措置を講じた上で、雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度と併用できることとした。

4.地域中核企業創出・支援事業【28年度予算:20.5億円】

地域中核企業候補が新分野・新事業等に挑戦する取り組みを支援し、その成長を促すため、支援人材を活用して、全国大の外部リソース(大学、協力企業、金融機関 等)とのネットワーク構築を支援した。また、地域中核企業の更なる成長のため、支援人材を活用して、事業化戦略の立案/販路開拓等をハンズオン支援した。さらに、国際市場に通用する事業化等に精通した専門家であるグローバル・コーディネーターを組織化した「グローバル・ネットワーク協議会」を設立し、グローバル市場も視野に入れた事業化戦略の立案や販路開拓等を支援した。

5.連携中枢都市圏の取組の推進【28年度予算:1.3億円の内数】

連携中枢都市圏の形成を支援するため、国費による委託事業を実施した。また、圏域全体の経済成長のけん引、高次都市機能の集積・強化及び生活関連機能サービスの向上に資する取組を支援するため、連携中枢都市圏ビジョンを策定した連携中枢都市及び連携市町村の取組に対して、地方財政措置を講じた。平成29年1月末時点で、17圏域で連携中枢都市圏が形成されている。

6.地域中核企業支援貸付制度【28年度予算:財投計画額70.0億円】

地域の中核を担い地域経済へ一定の影響力を有する中堅中小企業が、新分野への進出等のイノベーションの取組や戦略的な経営改善の取組を行う場合に、商工中金が地域中核企業支援貸付制度により、長期・一括返済・成功払いによる融資を行った。平成28年度の実績は、48件、54億円となった(平成29年1月末現在)。

7.地方を訪れる外国人旅行者向け消費税免税制度の拡大のための税制措置【税制】

平成28年度税制改正において、外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充として、免税販売の対象となる購入下限額の引下げや、商店街区内の大規模小売店舗を設置している者が商店街の組合員である場合、大規模小売店舗とこの商店街区を一つの特定商業施設として、免税手続カウンターの設置を認める措置等を講じた。

8.地域連携支援貸付制度【28年度予算:財投計画額30.0億円】

地域資源を活用する事業協同組合・企業連携体が、新事業展開、地域資源活用、連携・再編等の取組を行う場合に、商工中金が地域連携支援貸付制度により、長期・一括返済・成功払いによる融資を行った。平成28年度の実績は、26件、22億円となった(平成29年1月末現在)。

9.国際化に対応した地域における消費単価向上支援事業【27年度補正予算:1.0億円】

地域への来訪と消費が期待される外国人旅行客の属性を特定し、彼らが求める新たなサービスの検討・試行や、彼らの消費マインドを活性化する統一感のある街並み(サービス・スケープ)の創出によって、地域の商業・サービス集積を高度化する取組を支援した。

10.観光資源等を活用した地域高度化計画の策定等事業

地域の観光産業等の高度化を図るため、観光地の目指す具体的なビジョン及びビジネスモデルを含んだマスタープランの策定や、スタジアム・アリーナを核としたまちのにぎわいづくりに関する計画策定等に取り組んでいる。

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