平成28年度において講じた中小企業施策

第3章 中小企業の海外展開支援

第1節 情報提供及び相談体制の整備

1.中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業【28年度予算:14.3億円】

中小企業・小規模事業者の海外展開を支援するため、独立行政法人日本貿易振興機構(以下「JETRO」という。)と中小機構が連携して、海外の市場動向や規制等の情報提供、実現可能性調査(F/S)、輸出体制の構築等を通じた企業発掘から、国内外の展示会出展支援や海外バイヤー招へい等を通じた海外販路開拓支援、現地進出後の支援、事業再編計画の策定支援等に至るまで海外展開の様々な段階におけるニーズに応じた施策によって一貫して戦略的に支援を行った。

第2節 新たな商品・サービス開発

1.JAPANブランド育成支援事業【28年度予算:10.0億円の内数】

中小企業の海外販路開拓の実現を図るため、複数の中小企業が連携し、自らが持つ素材や技術等の強みを踏まえた戦略の策定や、当該戦略に基づいて行う商品の開発や海外見本市への出展等の取組を支援した。

第3節 その他の海外展開支援施策

1.日本の中堅・中小企業とのグローバルアライアンス支援

日本の中堅・中小企業と外国企業との投資提携等を支援すべく、JETROが窓口となり、外国企業の要望等を関係機関(中小機構、商工中金、中小企業投資育成株式会社等)に繋ぎ、日本の中堅・中小企業と外国企業とのマッチングや、官民ファンドの活用を図る体制を整備した。

2.海外展開・事業再編資金【財政投融資】

経済の構造的変化に適応するために海外展開または海外展開事業の再編を行うことが経営上必要な中小企業の資金繰りを支援するため、日本公庫(中小企業事業、国民生活事業)による融資を実施した。

3.海外子会社の資金調達支援等

中小企業経営力強化支援法に基づき、日本公庫が新事業活動促進法の経営革新計画の承認等を受けた中小企業者の海外子会社等の現地金融機関からの借入れに対して債務保証を実施した。

4.グローバルニッチトップ支援貸付制度【財政投融資】

特定分野に優れ、世界で存在感を示す中堅中小企業(グローバルニッチトップ企業)やその候補となる中堅・中小企業等の戦略的な海外展開を支援するため、商工中金がグローバルニッチトップ支援貸付制度により、長期・一括返済・成功払いによる融資を行った。平成28年度の実績は、65件、69億円となった(平成29年1月末現在)。

5.民間連携ボランティア制度の活用及び帰国JICAボランティアとのマッチング

国際協力機構においては各企業のニーズに合わせ,社員を青年海外協力隊・シニア海外ボランティアとして途上国に派遣する民間連携ボランティア制度を活用し,グローバル社会で活躍できる人材の育成に努めた。また,帰国したJICAボランティアの就職支援の一環として,特定の途上国を熟知した人材と企業が必要とする人材のマッチング促進を行った。

6.中小企業の貿易保険利用における企業信用調査料の減免措置

中小企業の貿易保険を活用した輸出支援のため、貿易保険を利用する際に必要な取引先の信用情報の提供について、独立行政法人日本貿易保険(以下NEXIという)がその費用を負担する措置を引き続き講じた。平成20年より3件としていた無料での信用調査を平成27年度から8件に拡大。

7.中小企業による貿易保険の利用促進のための普及・広報活動(動画・漫画作成等)

平成28年度に貿易保険の紹介動画及び漫画冊子を作成。各展示会や説明会でも公開、漫画冊子を配布し、貿易保険の普及啓発を行った。

8.中小企業による貿易保険の利用促進のための普及・広報活動(セミナー・相談会等)

中小企業による貿易保険の利用を促進するため、中小企業向けのホームページを刷新。全国でNEXIが主催するセミナーや個別相談会を開催するとともに、中小企業関係機関等が主催するセミナーや提携地方銀行等の行員勉強会などにNEXIから講師を派遣し、貿易保険の普及啓発を行った。

9.貿易保険へのアクセス改善

中小企業の海外展開を支援するため、NEXIは、平成23年12月に地方銀行11行との提携による「中小企業海外事業支援ネットワーク」を発足した。提携機関は年々拡大し、また、平成25年には信用金庫も提携を行うことで信金ネットワークを構築。平成28年度は計7行庫を新規追加し、全国112金融機関によるネットワークを構築に至った(平成29年2月現在)。

10.安全保障貿易管理の支援

外国為替及び外国貿易法に基づく安全保障貿易管理の実効性向上のため、全国各地で説明会を約60回開催した。その他、中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業との連携による専門家派遣等を通じ、輸出や技術提供を行う中小企業における安全保障貿易管理に係る自主管理体制の整備を支援した。

11.BOPビジネスの推進【JETRO交付金】

BOP/ボリュームゾーン・ビジネスを推進するため、JETROでは、現地コーディネーターなどを活用し、個別企業の事業フェーズに応じた一貫した支援を実施した。またウズベキスタン、カザフスタン、ミャンマー、インドよりバイヤー等を招聘し国内で相談会・商談会を開催、その後、ウズベキスタン・カザフスタンへのミッション派遣、ミャンマー・インドでの現地試験販売を実施した。またアフリカ地域については、ナイジェリアでの受容性調査、ケニアでの現地商談会を実施した。

12.技術協力活用型・新興国市場開拓事業

我が国企業の新興国市場獲得支援のため、以下3事業を実施した。

〔1〕経営・製造・オペレーション等に従事する開発途上国の管理者・技術者等に対し、日本への受入研修、専門家派遣による指導等を支援。平成28年度は810名の研修及び43名の専門家派遣を実施した(平成28年2月現在)。

〔2〕中堅・中小企業において課題となっている海外展開を担う「グローバル人材」の不足を解決するため、日本の若手人材の海外インターンシップ派遣及び、日本企業への外国人のインターンシップ受入を実施。平成28年度は80名の若手人材を海外に派遣及び、103名の外国人を日本企業へ受け入れた。

〔3〕開発途上国の社会課題を解決する製品・サービスの開発等に、開発途上国現地の大学・研究機関・NGO・企業等と共同で取り組む日本企業への補助。平成28年度は20案件の補助を行った。

13.基礎調査,案件化調査,普及・実証事業(中小企業製品・技術とODAのマッチング事業)【28年度予算:45.0億円】【28年度補正予算:6億円】

ODAにより、日本の中小企業等の優れた製品・技術等を途上国の開発に活用することで、途上国の開発と日本経済の活性化の両立を図ることを目的としている。

14.中小企業等の海外展開支援(中小企業製品を活用した機材供与)【28年度予算:1629億円の内数】

途上国政府の要望や開発ニーズに基づき、日本の中小企業の製品を供与することを通じ、その途上国の開発を支援するのみならず、中小企業の製品に対する認知度の向上等を図るもの。

15.新輸出大国コンソーシアム【27年度補正予算:59.9億円】

中堅・中小企業等の海外展開を支援するため、JETRO、中小機構、NEDO、金融機関などの支援機関を幅広く結集したコンソーシアムを設立。このコンソーシアムでは、専門家が企業に寄り添い、各種支援策を活用しつつ、技術開発から市場開拓まで、総合的に支援。

<進捗状況(3月10日時点)>

○3,847社に対し会員証を発行。専門家を割り当て、支援を開始。

○現時点で、全国で1,072の支援機関が参加。今後も、参加機関の拡大に務め、支援メニューの一層の充実を図る。

○専門家については、現時点で、中堅・中小企業が直面する様々な課題に対応するため、幅広い分野における350名の専門家を確保。

16.TPP原産地証明制度普及・啓発事業【27年度補正予算:4.8億円】

原産地証明の自己証明制度について、事業者に普及・啓発を図ることを目的として、解説書の作成、セミナー開催(平成29年3月6日までに165回実施)及び相談窓口の設置等を実施。

17.農商工連携等によるグローバルバリューチェーン構築事業【27年度補正予算:10.0億円の内数】

農林水産物・食品の新たな海外での市場開拓を促進することを目的に、商工業の技術・ノウハウ等を農業に活用する農商工連携を通じ、農業生産、加工、流通、販売まで一貫したバリューチェーンの構築を支援し、その成果普及を行った。平成28年度では20事業を採択、成果普及のためのシンポジウムは東京と名古屋の2箇所で開催した。(新規)

前の項目に戻る 次の項目に進む