第2部 中小企業のライフサイクル

第4節 まとめ

以上、本章では「起業・創業」に焦点を当て分析を行ってきた。具体的には、まず起業に至るまでのプロセスについて分析することで、性別や年齢といった属性によって起業希望者・起業準備者が抱えている課題が異なっており、また実際の起業家も起業する前に必要としていた支援を受けられていないことを確認した。また、起業後についても、成長段階ごとに直面している課題が異なっており、さらに、目指していたとおりの成長を遂げられた企業と遂げられなかった企業とでは、成長段階ごとに行っている取組や利用している支援施策等の内容が異なることが明らかになった。起業前については、現在の起業希望者と起業準備者一人一人が、自身が抱えている課題に対してどのような支援があるのかを認識し、利用することで円滑な起業を遂げることが重要であり、また起業後についても、起業した企業それぞれが、目指したとおりのイメージの円滑な成長を遂げられるように、各成長段階で自身の課題を認識し、自身にあった支援施策を利用することが重要であると考えられる。

このように、現在既に起業に関心を持っている起業希望者・起業準備者が円滑に起業でき、さらに起業した企業が起業後に目指していたとおりの成長が遂げられるような環境や支援を整備・運用していくことで、今後我が国において円滑な成長を遂げる起業家が増えることが考えられる。そして、そのように成長する起業家が多くの起業無関心者の周囲に増えていくことで、起業無関心者も起業に関心を持ち起業を志向する、という好循環が産まれ、我が国の起業が今後活性化していくことが期待されよう。

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