第2部 中小企業のライフサイクル 

第2節 起業に至るまでの実態と課題

前節では、GEM調査による起業意識・起業活動の国際比較を行うことで、我が国においては起業に無関心な人の割合が欧米諸国に比べて高く、そのため起業活動が活発に行われていないことを見てきた。本節では、「起業・創業に対する意識、経験に関するアンケート調査15」により、起業に至るまでのプロセスを第2-1-11図のように四つのステージに分類し、ステージごとの実態や課題について概観し、詳細な分析を行っていく。具体的には、〔1〕起業について現在関心がない者(以下、本節では「起業無関心者」という。)、〔2〕起業に関心があり、起業したいと考えているが、現在具体的に準備を行っていない者(以下、本節では「起業希望者」という。)、〔3〕起業したいと考えており、現在起業に向けて具体的な準備を行っている者(以下、本節では「起業準備者」という。)、〔4〕起業を実現した者(以下、本節では「起業家」という。)それぞれの実態を把握するとともに、それぞれの課題、次のステージに進むために必要な支援施策等の在り方について分析していく。さらに、起業無関心者の中には、〔5〕過去に起業に関心があり起業を志したものの、起業を諦め、現在は起業に関心がない者(以下、本節では「過去の起業関心者」という。)が一定数存在している。このような過去の起業関心者についても、実態や課題を分析していく。

15 中小企業庁の委託により、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)が2016年12月に実施したアンケート調査。インターネットによるスクリーニング調査を全国の18歳から69歳の男女に対して行った。調査方法はスクリーニング調査と本調査の2段階で行われており、スクリーニング調査で本調査の調査対象となる起業希望者、起業準備者、起業家、過去の起業関心者を抽出し、本調査への回答者とし、4,125人から回答を得た。また、スクリーニング調査についても全体の傾向を見るために、スクリーニング調査の回答者のうち、性別、年齢階層別(35歳以下、36歳以上55歳以下、56歳以上)のバランスを考慮し、18,000人のサンプルを回収している。

第2-1-11図 起業に至るまでのステージ

1 我が国の起業に関する現状

〔1〕起業無関心者の割合

はじめに、今回のアンケート調査における、起業無関心者の割合について見てみる(第2-1-12図)。これを見ると、過去の起業関心者も含めると、全体の約8割が起業に無関心であることが分かる。また、男性と女性で比較してみると、女性の方が起業に無関心な割合が高くなっている。続いて、男女・年代別に割合を見てみると、男女共に50〜59歳、60歳以上と年代が上がるにつれて、起業から10年以上経過した企業経営者と、起業後10年以内の起業家の割合がともに高くなっていることが分かる。また、起業希望者、起業準備者等の起業を志している者の割合はシニア世代に比べて若い年代の方が高くなっている一方で、年代が上がるにつれて企業経営者と起業家の割合が高まっていることからも、起業を志している者が起業を実現させていることが推察されるが、その一方で、50歳以上においても起業希望者、起業準備者が一定数存在していることからも、起業を志している者のうち一定数は、何らかの理由・課題のために、速やかに起業にまで至っていないことが推察される。

第2-1-12図 起業関心有無の割合
Excel形式のファイルはこちら
前の項目に戻る     次の項目に進む