平成27年度において講じた小規模企業施策

第4章 地域ぐるみで総力を挙げた支援体制の整備

<小規模企業振興基本計画における目標(4)>

(4)地域ぐるみで総力を挙げた支援体制の整備
-事業者の課題を自らの課題と捉えたきめ細かな対応-


小規模企業は、人口減少等の構造変化の中で、地域で雇用を維持して事業を行うだけでも大変な努力が必要である。

この状況を踏まえ、様々な支援機関が、小規模企業の視点に立ち、伴走しながらきめ細かく丁寧に応えていく姿勢で支援に臨むことが何より必要である。また、支援に当たっては、一時的な支援ではなく継続した支援を行うことも肝要である。さらに、国、地方公共団体及び支援機関が連携することで、国内外の新たな需要を開拓し、これまでの商圏を越えてチャレンジする小規模企業が的確に需要を見据え、獲得できるよう支援を行うことも極めて重要である。

このような支援を効果的に行うため、地域ぐるみで総力を挙げて小規模企業の課題を解決し、成果を出す支援体制の構築を目指す。

第1節 経営支援体制の強化

1.小規模事業対策推進事業【27年度予算:46.5億円】

小規模支援法に基づき認定を受けた「経営発達支援計画」に沿って商工会・商工会議所が取り組む伴走型の小規模事業者支援を推進し、小規模事業者の需要を見据えた事業計画の策定や販路開拓等を支援するとともに、地域一体となって取り組む特産品の開発や販路開拓等を支援した。

また、地域の小規模事業者による全国規模の市場に向けた事業展開を促進するため、商工会・商工会議所等が事業者と協力して進める、特産品開発や観光開発及びその販路開拓等の事業(調査研究事業:123件、本体事業(1年目:56件、2年目:31件)に対し、幅広い支援を行った。(再掲)

2.小規模事業者等人材・支援人材育成等事業【27年度予算:4.5億円】

小規模サービス事業者や地域のサービス産業活性化を担う人材と、成功企業(異業種も含む)や成功地域とのマッチングを行い、座学に留まらないインターンシップ型の研修を組成し、こうしたマッチングやインターンシップに係る費用の補助を行った。

また、小規模事業者を支援する経営指導員が、個々の小規模事業者の強みを分析し、その強みに応じた対策を提案・実行できるようにするため、全国各地で研修を行うとともに、特に先進的な支援機関において、経営支援等のノウハウを体得する機会を提供した。

3.小規模事業者統合データベース整備事業【27年度予算:2.0億円】

中小機構に整備した統合データベースに、支援機関等が保有する情報を統合し、その分析を通じて、小規模事業者の経営課題に応じた支援施策の検討や支援情報の提供を行うための体制を整備した。

4.中小企業連携組織対策推進事業【27年度予算:7.1億円の内数】

中小企業連携組織支援のための専門機関である全国中小企業団体中央会を通じて、経営革新・改善に取り組む組合等に対して、その実現化等に要する経費の一部の助成などの支援を行ったほか、指導員向けの研修等も支援した。また、外国人技能実習生受入事業を行う組合(監理団体)等の事業の適正化を支援した。

5.経営支援と一体となった高度化融資による設備資金の支援

中小企業が事業環境の改善や経営基盤の強化を図るために、事業協同組合等が共同で取り組む事業に対し、中小機構と都道府県が協調し、事業計画への診断・アドバイスを行うとともに、必要な設備資金について、長期・低利(又は無利子)の貸付を行った。

6.中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業【27年度予算:39億円の内数】

中小企業・小規模事業者が抱える様々な経営課題に対応するワンストップ相談窓口として、各都道府県に「よろず支援拠点」を設置し、一歩踏み込んだ専門的な助言を行うとともに、特に高度・専門的な経営課題に対しては専門家の派遣を実施した。

7.ローカルベンチマークの策定

企業の経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツールとしてローカルベンチマークを策定。

ローカルベンチマークは、企業の経営者等や金融機関・支援機関等が、企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行うための基本的な枠組みであり、事業性評価の「入口」として活用されることが期待される。具体的には、エクセルシートで提供する「参考ツール」を活用して、「財務情報」(6つの指標※1)と「非財務情報」(4つの視点※2)に関する各データを入力することにより、企業の経営状態を把握することで経営状態の変化に早めに気付き、早期の対話や支援につなげていく。

(※1)6つの指標;〔1〕売上高増加率(売上持続性)、〔2〕営業利益率(収益性)、〔3〕労働生産性(生産性)、〔4〕EBITDA有利子負債倍率(健全性)、〔5〕営業運転資本回転期間(効率性)、〔6〕自己資本比率(安全性)

(※2)4つの視点;〔1〕経営者への着目、〔2〕関係者への着目、〔3〕事業への着目、〔4〕内部管理体制への着目

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