平成27年度において講じた小規模企業施策

第3章 地域経済の活性化に資する事業活動の推進

<小規模企業振興基本計画における目標(3)>

(3)地域経済の活性化に資する事業活動の推進
-地域のブランド化・にぎわいの創出-


地域に根差して事業活動を行う小規模企業の活力向上には、個々の事業者の支援のみでなく、地域全体が面的に活性化することが必要である。同時に、小規模企業の事業が活性化することにより、地域が活力を取り戻すという側面もあり、小規模企業の振興と地域経済の活性化は表裏一体である。多様な機能を有する地域のコミュニティが持続し、地域を活性化するためには、地域に存在する魅力を掘り起こし、面的・横断的に捉え、創造的な発想・取組により、地域の魅力を内外に対して広く浸透させていくことが重要である。これにより、地域のブランド化を進め、にぎわいを創出する。その際、国の関係省庁、地方公共団体及び支援機関等が適切に連携を図ることにより、効果を高める。

これらの取組により、小規模企業とともに持続・発展する地域づくりを進める。

第1節 地域資源の活用

1.小規模支援法に基づく経営発達支援計画の認定

小規模支援法に基づき、全国の商工会・商工会議所が市町村や地域の金融機関等と連携して、地域ぐるみで小規模事業者を支援する体制の整備を全国各地で進めるため、商工会・商工会議所が策定する「経営発達支援計画」について、326件(357単会)の認定を行った。

2.小規模事業対策推進事業【27年度予算:46.5億円】

小規模支援法に基づき認定を受けた「経営発達支援計画」に沿って商工会・商工会議所が取り組む伴走型の小規模事業者支援を推進し、小規模事業者の需要を見据えた事業計画の策定や販路開拓等を支援するとともに、地域一体となって取り組む特産品の開発や販路開拓等を支援した。

また、地域の小規模事業者による全国規模の市場に向けた事業展開を促進するため、商工会・商工会議所等が事業者と協力して進める、特産品開発や観光開発及びその販路開拓等の事業(調査研究事業:123件、本体事業(1年目:56件、2年目:31件)に対し、幅広い支援を行った。(再掲)

3.ふるさと名物支援事業【27年度予算:16.1億円の内数】

中小企業・小規模事業者が、地域資源の活用や農林漁業者との連携により行う、国内外の市場を見据えた新商品・新サービスの開発、販路開拓を支援した。また、地域資源の活用や、農林漁業者との連携により行う商品開発等に取り組む事業者に対して、一般社団法人等が行う消費者嗜好に関する情報提供、マッチング支援などの取組を支援した。(再掲)

4.JAPANブランド育成支援事業【27年度予算:16.1億円の内数】

中小企業の海外販路開拓の実現を図るため、複数の中小企業が連携し、自らが持つ素材や技術等の強みを踏まえた戦略の策定や、当該戦略に基づいて行う商品の開発や海外見本市への出展等の取組を支援した。(再掲)

5.伝統的工芸品の指定

伝統的工芸品産業の振興に関する法律(以下「伝産法」という。)に基づき、伝統的工芸品への指定の申出があった工芸品について調査、検討を行った後、産業構造審議会の意見を聴いて、以下の3品目について、伝統的工芸品の指定を行った。

宮城県「仙台箪笥」、東京都等「江戸鼈甲」及び「東京アンチモニー工芸品」平成27年6月18日指定

6.伝統的工芸品産業振興関連補助事業【27年度予算:13.6億円の内数】

(1)伝統的工芸品産業の振興に関する法律(以下「伝産法」という。)に基づき、伝統的工芸品産業の振興のため以下の支援を行った。

〔1〕産地の製造協同組合等が実施する以下の事業に対する補助

〔2〕伝産法第23条に基づく一般社団法人・一般財団法人が実施する以下の事業に対する補助

(2)被災3県(岩手県、宮城県、福島県)の国指定の伝統的工芸品の震災復興のための以下の支援を行った。

〔1〕被災3県について実施する後継者育成・需要開拓・意匠開発・情報発信などの産地活性化事業

〔2〕被災3県における伝統的工芸品の生産活動を震災前の水準にまで戻すことを目的とした設備整備や原材料確保などの生産基盤確立・強化事業

7.伝統的工芸品の普及・推進事業

伝統的工芸品に対する国民の理解を増進するため、毎年11月を「伝統的工芸品月間」とし、伝統的工芸品月間国民会議全国大会の開催等の普及・啓発事業を実施。平成27年度においては、富山県で全国大会を開催した。

第2節 商店街・中心市街地の活性化

1.地域商店街の活性化に向けた総合的支援

地域商店街活性化法に基づき、商店街活性化事業計画を国が認定した商店街等について、支援措置を講じた。

2.全国商店街支援センターによる人材育成等

中小企業関係4団体が共同で設立した「全国商店街支援センター」において、人材育成、ノウハウ提供等の支援を行った。

3.中心市街地活性化協議会運営支援事業【中小機構交付金の内数】

中心市街地活性化協議会等の設立・運営にあたって、独立行政法人中小機構に設置された中心市街地活性化協議会支援センターを中心に、各種相談対応、HPやメールマガジンでの情報提供、交流会の開催によるネットワーク構築支援等を行った。

4.中心市街地商業活性化アドバイザー派遣事業【中小機構交付金の内数】

中心市街地活性化協議会等が抱える様々な課題に対応するため、中小機構に登録された商業活性化に関する各分野の専門家を派遣した。

5.中心市街地商業活性化診断・サポート事業【中小機構交付金の内数】

中心市街地活性化協議会等が行う中心市街地における商業活性化の取組を支援するため、中小機構における専門的ノウハウを活用し、セミナー等の企画・立案支援・講師の派遣や、個別事業の実効性を高めるための助言・診断・課題整理・情報提供等を行った。

6.土地譲渡所得の特別控除【税制】

地域商店街活性化法の認定を受けた商店街振興組合等に対し、認定商店街活性化事業計画等に基づく事業の用に供するために土地等を譲渡した場合には、土地等の譲渡所得に係る1,500万円特別控除の対象とする措置を引き続き講じた。

7.地域商業自立促進事業【27年度予算:23.0億円の内数】

地域経済循環の促進に資する、インキュベーション施設の整備や店舗誘致等の地域住民のニーズに合った商店街の新陳代謝を図る取組やコミュニティスペース等の地域経済を循環させる基盤となる地域コミュニティの形成に向けた取組に対して支援を行った。平成27年度においては、調査分析事業を60件、支援事業を53件採択した。

8.中心市街地再興戦略事業【27年度予算:6.0億円の内数】

地域経済において重要な役割を果たす中心市街地について、事業を絞って重点的に支援を行った。具体的には、地元住民や自治体等による強いコミットがあり、当該中心市街地だけではなく、周辺地域の経済活力を向上させる波及効果の高い民間プロジェクト(商業施設等の整備)を支援した。また、地域の拠点となるにふさわしい魅力ある中心市街地の形成を図るためのソフト事業、専門人材活用等を支援した。

9.中心市街地活性化のための税制措置【税制】

中心市街地活性化法の改正により創設した「特定民間中心市街地経済活力向上事業」に基づいて行われる、〔1〕建物及び建物附属設備、構築物の取得に対し、5年間30%の割増償却制度、〔2〕不動産の取得に対し、その不動産の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率を1/2とする措置を講じた。

第3節 その他の地域活性化

1.地域の企業立地の促進【27年度予算:8.0億円の内数】

企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律(平成19年法律第40号)に基づき、地域が自らの特色を活かした企業立地を促進し、地域産業活性化を目指す取組を支援するため、産業関連施設等の整備にかかる経費の一部補助や、工場立地法の特例措置、日本公庫を通じた中小企業向け低利融資、企業立地に係る地方交付税措置を実施した。

2.地域経済循環創造事業交付金【27年度予算:23.1億円の内数】

平成28年1月末までに、産業革新機構がベンチャー企業に対して、74件、1861億円の投資を実施した。また、株式会社日本政策投資銀行や商工中金の活用等により、起業・創業時及び事業化に必要となるリスクマネーの供給を図った。(再掲)

3.戦略産業支援のための基盤整備事業【27年度予算:8.0億円の内数】

戦略分野ごとに複数名の戦略分野コーディネーターを指名し、大企業のニーズを踏まえた中核企業候補に対する幅広い情報の提供、大企業側へ中核企業候補の持つ優れた技術情報の提供、更には地域の支援機関等との連携促進を支援することで、大企業と中核企業候補とのマッチングを進めてきた。また、戦略分野を対象とし、人材育成、販路開拓等の支援機能を有した企業集積・連携の拠点等の整備を支援し、地域に根ざした中核企業候補及び周辺企業群の創出・育成及びイノベーションの促進につなげた。

4.企業の地方拠点強化税制の拡充【税制】

地方創生のためには、東京一極集中を是正し、地方に良質な雇用を創出することが必要である。このため、平成27年度税制改正により、企業の本社機能等の東京圏から地方への移転や地方における拡充への取組を後押しするため、計画の認定を受けた企業のオフィスにかかる建物等の取得等について、取得価額の15%の特別償却(移転の場合には、取得価額の25%)又は取得価額の4%の税額控除(移転の場合には、取得価額の7%)の選択適用、その地方拠点において雇用した者に対する雇用促進税制の特例の措置、及び企業の地方拠点強化に係る地方交付税の措置を講じた。

5.新分野進出支援事業【27年度予算:16.7億円の内数】

地域に密着して活躍する中核企業やその候補・取引先(中堅・中小企業)に対し、腕利きの「プロジェクトマネージャー」が新事業進出のコンセプト作りから、開発時の産学連携、事業パートナー発掘、販路開拓に至るまで一貫した支援を実施する。

6.連携中枢都市圏の形成による新たな広域連携の促進【27年度予算:2.0億円の内数】

地域において、相当の規模と中核性を備える圏域の中心都市が近隣市町村と連携し、コンパクト化とネットワーク化により、一定の圏域人口を有し活力ある社会経済を維持するための拠点である連携中枢都市圏を形成することやその取組を支援した。平成27年度より圏域全体の経済成長のけん引、高次都市機能の集積・強化及び生活関連機能サービスの向上に資する取組を支援するため、連携協約を締結しビジョンを策定した市町村の取組に対して、地方交付税措置を実施した。平成28年2月末時点で、5圏域で連携中枢都市圏が形成されている。

7.企業活力強化資金【財政投融資】

中小商業者・サービス業者等の経営の近代化及び流通機構の合理化、中小企業者のものづくり基盤技術の高度化の促進並びに下請中小企業の振興を図るため日本公庫が必要な資金の貸付を行った。平成27年度(平成28年1月末時点)の貸付実績は、10,315件、890億円となった。

8.消費税免税店の拡大及び利便性向上を図るための税制措置【税制】

平成27年度税制改正において、商店街・ショッピングセンター等における免税手続を「免税手続カウンター」を営む事業者に委託することを可能とする制度を創設。これにより、商店街等において、複数の店舗における購入金額の合計額により購入下限額の判定を可能とした。

9.地域中核企業支援貸付制度【27年度予算:財投計画額80.0億円】

地域の中核を担い地域経済へ一定の影響力を有する中堅中小企業が、新分野への進出等のイノベーションの取組や戦略的な経営改善の取組を行う場合に、商工中金が地域中核企業支援貸付制度により、長期・一括返済・成功払いによる融資を行った。平成27年度の実績は、52件、66億円となった(平成28年2月末現在)。

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