第3節 フリーランスの今後の事業活動に向けて
フリーランスは、仕事を受注する上で、今後どのような方法を利用したい、又は利用を増やしたいと考えているのであろうか。この点について複数回答で聞いたものが、第2-2-45図である。回答の上位3位までの合計で見ると、「知人、同業者からの紹介」(76.9%)及び「自らの営業」(76.0%)の2つが際立って多いことが分かる(「その他」を除く)。第2-2-40図で、現在、仕事を受注する方法を見たが、これと対比すると、現在も今後も傾向はほぼ同じであることが分かる。これらのことから、多くのフリーランスは、自己のネットワークを活用した仕事の紹介と自らの営業活動の2つを中心に、事業活動を進めていく考えであることが分かる。
フリーランスは今後の働き方の展望について、どう考えているだろうか。第2-2-46図は、フリーランスに自身の今後の働き方の見通しを聞いたものである。最も多い回答は、「フリーランスのまま、事業(売上・顧客等)を拡大したい」で39.2%、続いて「フリーランスのまま、事業(売上・顧客)を維持したい」29.2%を占め、合わせて約7割となっている。
フリーランスという働き方についての満足度(第2-2-26図)で見たように、フリーランス自身は、「通勤環境」、「仕事の自由度や裁量の高さ」、「仕事の内容ややりがい」、「生活(プライベート)との両立」等への満足度が高い。今後の働き方においても、こうした利点を有するフリーランスとして事業を拡大できることが望ましく、事業を拡大しなくても現状は維持したいとの意向がうかがえる。
次に、今後の働き方の見通しについて、年齢別にも見てみたい(第2-2-47図)。「フリーランスのまま、事業(売上・顧客等)を拡大したい」に着目すると、最も回答率が高い年齢区分は、若年層フリーランスである30代以下で、5割超(52.9%)を占める。対照的に、中・高年齢層のフリーランスである40代以上になると、この回答率が下がる傾向が見て取れる。このことから、やはり年齢が若いフリーランスほど、事業拡大への意欲が旺盛であることが明らかとなった。
以上、フリーランスによる事業活動の実態を分析してきたが、主に次の点を明らかにすることができた。
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フリーランスとして事業活動を営む者の属性(職種、年齢、性別、年収、主業と副業の別等)を明らかにした。
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フリーランスの事業活動の実態を、売上高の傾向や商圏範囲の拡大・縮小の傾向別、年収別、職種別、受注する企業規模別等の観点から分析した。また、フリーランスとして求める支援内容についても分析した。
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フリーランス自身の今後の働き方の見通しや、年齢によって働き方の見通しが異なる点について分析した。
これらで見てきたように、フリーランスという働き方は、収入面などでの満足度は必ずしも高くないものの、仕事をする上での時間や場所の制約が少なく、様々な可能性を秘めている働き方である。このフリーランスの中でも、売上げを拡大させている者は、自らの技術・技能を向上させるなど、顧客により良い商品・サービスを提供するための様々な取組を積極的に行っている。近年、ITツールの発展により、クラウドソーシングによる仕事の受注も可能となった。良質な商品・サービスを提供しながらも受注機会が限定されていたフリーランスにとっては、より自由な受注の可能性が開けたといえる。
今後、発注者・就業者の双方が、こうしたフリーランスの特徴を踏まえた上で、フリーランスに対する認知度を高めていくことが期待される。