2 経営者の年代別に見た小規模事業者の特徴
続いて、小規模事業者の事業活動について、経営者の年代別に見ていくこととする。第2-1-3図は、商圏の拡大・縮小傾向について、経営者の年代別に示したものである。
これを見ると、商圏が「拡大」又は「やや拡大」する傾向にあるとする者の割合は、20代以下が61.1%と最も高く、30代でも52.2%と非常に高くなっている。
また、年代が上昇するにつれて拡大傾向とする割合は低下しており、若い経営者ほど、商圏範囲が拡大傾向にあることが分かる。
第2部 小規模事業者の未来
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2 経営者の年代別に見た小規模事業者の特徴
続いて、小規模事業者の事業活動について、経営者の年代別に見ていくこととする。第2-1-3図は、商圏の拡大・縮小傾向について、経営者の年代別に示したものである。
これを見ると、商圏が「拡大」又は「やや拡大」する傾向にあるとする者の割合は、20代以下が61.1%と最も高く、30代でも52.2%と非常に高くなっている。
また、年代が上昇するにつれて拡大傾向とする割合は低下しており、若い経営者ほど、商圏範囲が拡大傾向にあることが分かる。
次に、経営者の年代別に、直近3年間の売上高の傾向を示したものが第2-1-4図、今後3年間の売上高の見通しについて示したものが第2-1-5図である。
これを見ると、直近3年間の売上高が増加傾向にある者の割合は、30代が51.2%と最も高く、次いで20代以下が38.9%となっている。それ以外の年代では、年代が上昇するにつれて、売上高が増加傾向であるとする者の割合が低下している。
また、今後3年間の売上高の見通しが増加傾向にある者の割合は、20代以下が50.0%と最も高く、年代が上昇するにつれて、売上高の見通しが増加傾向とする者の割合が低下する。
売上高の実績では、経営者としてのある程度の経験を積んだ30代が最も高く、今後の売上高の見通しについては、最も若い世代である20代以下が強気の見通しを立てている割合が高いことがわかる。
次に、第2-1-6図は、パソコン、スマホ、タブレット等の事業用に利用しているIT機器(情報通信機器)の保有状況について、経営者の年代別に示したものである。これを見ると、どの世代も総じてIT機器(情報通信機器)の保有する割合は高い。特に、20代以下と30代、40代は、各年代とも約95%と保有割合が高くなっている。
これに対し、50代は約9割、60代は約8割、70代以上は約7割と年代が上昇するにつれて、保有割合が低下している。
第2-1-7図は、情報管理面におけるITの活用状況について、経理ソフト、顧客管理ソフト、販売・仕入れソフト(在庫管理など)、顧客管理ソフト及びその他の業務用ソフトの活用の有無を、経営者の年代別に示したものである。
なお、ここでは、事務処理ソフト(ワープロ、表計算、グラフ作成など)のみの活用者を除いて集計を行っている
これを見ると、いずれの年代も総じて活用している割合は総じて高いといえる。特に50代以下では8割以上の活用割合となっている。
他方で、50代以降では年代が上昇するにつれて、活用割合が低下しており、60代は73.3%、70代以上は62.0%となっている。
第2-1-8図は、ホームページやブログ、SNS、電子メール、メルマガ、ネットでの受注・販売・予約など、宣伝面におけるIT活用の有無について、経営者の年代別に示したものである。
これを見ると、活用割合は、20代以下(72.2%)と30代(72.8%)が7割を超えて最も高く、40代は65.2%、50代は57.4%、60代は49.8%、70代以上は40.5%と、年代が上昇するにつれて活用割合が急激に低下している。
これまで、見てきたように、IT機器(情報通信機器)の保有や情報管理面におけるITの活用については、年齢世代間の差が比較的小さく、高い年齢世代においても活用が比較的進んでいることが明らかとなった。
他方、宣伝面におけるITの活用状況については、年代間の格差が大きく、若い世代ほど宣伝面にITを活用していることが分かった。
次に、第2-1-9図は、経営計画の作成の有無について、経営者の年代別に示したものである。
これを見ると、経営計画を作成したことのある者は、20代以下が77.8%と最も高く、30代が63.8%、と40代が60.6%、50代が53.7%、60代が47.5%、70代以上が43.1%と、年代が上昇するにつれて、経営計画を作成したことのある者の割合が低下している。
第1部第2章第3節で示したとおり、経営計画を作成したことのある者の方が業績傾向が良い傾向であることを踏まえれば、今後、中小企業支援機関等においては、年齢世代が高い経営者に対する経営計画の作成支援をより積極的に推進していく必要があるといえよう。
次に、第2-1-10図は、「他組織と連携して新商品や新サービスを開発したことの有無」ついて、経営者の年代別に示したものである。
これを見ると、他組織と連携した割合は、20代が5.6%と最も低く、40代が15.1%と最も高くなっている。
他組織との連携については、経営者としての経験年数がある程度でき、人脈も広がっていると考えられる40代前後の年代を中心に、相対的に多く取り組まれていることがうかがえる。
小規模事業者による他組織との連携割合は全般的に低く、中小企業支援機関等によるビジネスマッチング支援等が有効であると考えられるが、この調査結果を踏まえれば、若手経営者が他組織と連携できるような機会を増やしていくことが重要であるといえよう。
また、第2-1-11図は、人材育成の取組の有無について、経営者の年代別に示したものである。
これを見ると、人材育成に取り組んでいるとした者の割合は、どの年齢世代においても約3割から約4割の取組状況となっており、年代間での大きな差異は見られない。
以上、経営者の年代別に、小規模事業者の活動状況について見てきた。
全体的に見れば、総じて若い年代の方が、事業活動が活発な様子がうかがえること、また、若い年代の方が業績傾向も良い傾向にあることが分かった。こうしたことから、中小企業支援機関等においては、年代が高い経営者の事業経営の効率化や持続的発展に向けての取組を推進する一方、他組織との連携支援等においては若い経営者に対する重点的な支援について検討していく必要があるということができよう。
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