第4章 地域の中の小規模事業者
地域内を主たる商圏とする小規模事業者は、地域経済の重要な担い手の一員である。一方、我が国では、少子高齢化の進行に伴う本格的な人口減少社会の到来が予測されており、今後、地域における域内需要が縮小し、小規模事業者を取り巻く事業環境が年々厳しさを増していくことが懸念されている。
本章では、上記のような認識に基づき、地域における小規模事業者について人口増減との関係から分析するととともに、地域における小規模事業者の意義等について多面的に示していくこととする。
第1部 小規模事業者の動向
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第4章 地域の中の小規模事業者
地域内を主たる商圏とする小規模事業者は、地域経済の重要な担い手の一員である。一方、我が国では、少子高齢化の進行に伴う本格的な人口減少社会の到来が予測されており、今後、地域における域内需要が縮小し、小規模事業者を取り巻く事業環境が年々厳しさを増していくことが懸念されている。
本章では、上記のような認識に基づき、地域における小規模事業者について人口増減との関係から分析するととともに、地域における小規模事業者の意義等について多面的に示していくこととする。
第1節 地域における人口の増減と小規模事業者数
本節では、地域における自治体の人口規模と小規模事業者数の視点から分析を行う。
1 我が国の人口構造の変化について
まず、我が国の人口変化について見ていくこととする。第1-4-1図は、1980年から2015年までの人口増減を市町村別に示したものである。
これを見ると、この35年間に我が国の人口は全体としては約1,117万人増加しているが、その要因は東京特別区や政令指定都市、県庁所在地を中心とした都市部での人口増加によるものであり、地方ほど人口減少が著しいことが分かる。
第1-4-2図は地域を「東京特別区+政令指定都市」、「県庁所在市及び30万人以上都市」、「地方都市」及び、「郡部の町村」の4区分に分け、1980年を基点として2015年までの人口の増減率を示したものである。
これを見ると「東京特別区+政令指定都市」と「県庁所在市及び30万人以上都市」では、1980年から2015年まで人口の増加が続き、同期間中に「東京特別区+政令指定都市」は16%、「県庁所在市及び30万人以上都市」は14%、それぞれ人口が増加した。
また、「地方都市」の人口は、1980年から2000年までの間に9%増加したものの、2000年から2015年にかけては微減から横ばいの傾向となっている。
他方、「郡部の町村」の人口は、1980年から1995年までは微増から横ばいで推移していたが、1995年から2015年にかけて減少傾向にあることが分かる。
なお、我が国の基礎自治体数を上記の4つの地域区分で示したものが第1-4-3図であり、我が国の人口を4つの地域区分で示したものが第1-4-4図である。
これを見ると、自治体数では過半数を超える「郡部の町村」が、人口では8.9%を占めているに過ぎない。
また、「郡部の町村」と「地方都市」を併せた基礎自治体数は全体の9割を超えているのに対し、人口では約5割にとどまっていることが分かる。
また、我が国の小規模事業所が、地域区分別にどの程度存在しているのかを示したものが第1-4-5図であり、我が国の小規模事業所に勤務する従業者が、地域区分別にどの程度存在しているのかを示したものが第1-4-6図である。
これを見ると、「小規模事業所数」と「小規模事業所従業者数」ともに、第1-4-4図で見た「地域区分別の人口」とほぼ同一の構成割合であることが分かる。
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