第1部 小規模事業者の動向

3 現経営者の今後の事業承継の方針について

第1-2-90図は、現経営者の事業承継についての今後の方針を示したものである。

これを見ると、「当面、事業承継も廃業もする必要がない」が36.1%と最も多い。次に、「承継予定であり、後継者は決定している」(22.4%)と「承継予定であり、後継者候補がいる」(9.9%)という、承継を予定している者が32.3%を占めている。

他方、「承継したいが現時点で後継者候補が見つからない」(5.9%)と「承継したいが承継できない(収入・生活面での不安など)」(2.2%)という、承継を希望するが承継できない者が計8.1%となっている。

さらに、「廃業を予定している」(3.3%)と「廃業したいが、現時点で廃業できない」(1.5%)という、廃業を考えている者が計4.8%となっている。

また、「事業承継するか廃業するか検討中である」(3.1%)と「まだ、事業承継も廃業も検討していない」(14.5%)という、事業承継の方針が固まってない者が17.6%となっている。

このように、それぞれの小規模事業者の事業環境や経営者の年齢などにより、事業承継についての方針も様々である。そうした中で、「承継したいが承継できない」や「承継したいが、現時点で後継者候補が見つからない」、「廃業したいが廃業できない」など、円滑な事業承継や廃業に支障を来たしている者も一定割合存在しており、こうした者に対する支援が望まれる。

第1-2-90図 事業承継(後継者)についての方針
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第1-2-91図は、第1-2-90図で見た事業承継についての方針で、「承継予定であり、後継者が決定している」又は「承継予定であり後継者候補がいる。」とした者の後継者又は後継者候補の属性を示したものである。

これを見ると、「子供」が90.4%を占め、「親族(配偶者、子供以外)」が5.2%、「親族外従業者」が3.2%となっている。また、「社外の第三者」や「配偶者」は僅かなものとなっている。

このことから、「後継者」や「後継者候補」が決まっている小規模事業者は、そのほとんどが「子供」を後継者にすることを念頭においていることが分かる。

第1-2-91図 「後継者及び後継者候補」の属性
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また、第1-2-92図は、第1-2-90図で見た事業承継についての方針で、「承継したいが、現時点で後継者候補が見つからない」とした者に対し、「親族以外への承継に対する抵抗感」について聞いたものである。

これを見ると、親族以外への事業承継に抵抗感が「とてもある」又は「ややある」とした者が52.1%、「あまりない」又は「ない」とした者が47.9%となっている。

このことから、事業承継を行いたいと考えているものの、現時点で後継者候補が見つからない現経営者の約半数は、親族以外への承継に抵抗感がないことが分かった。

第1-2-92図 親族以外への事業承継に対する抵抗感
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逆に親族以外への事業承継に抵抗感があるとした者について、その理由を示したものが第1-2-93図である。

これを見ると、「親族(同族)で経営しているため」が56.4%、「事業所・店舗等と居住場所が一体のため」が55.0%、「事業用資産を親族以外に承継したくないため」が49.0%、「承継後の経営方針の変更が心配なため」が34.2%、「借入金を親族以外に承継しにくいため」が33.5%となっている。また、第1位の回答だけを見れば「事業所・店舗等と居住場所が一体のため」が最も多い。

小規模事業者については、同族経営も多いということや、事業用資産を親族以外に承継したくないという思いだけでなく、事業所・店舗等と居住場所が一体であるという事情で親族以外への事業承継に慎重にならざるを得ない側面があることが分かる。

第1-2-93図 「親族以外への承継に抵抗感がある」理由
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