第1部 小規模事業者の動向

第5節 小規模事業者の人材の確保と育成

小規模事業者の従業者数は全業種平均で約3.5人と極めて少ない。このように数少ない人材で事業を継続する小規模事業者にとって、人材の確保と育成は、極めて重要な課題であると考えられる。

本節では、小規模事業者における人材の確保と育成状況について見ていくこととする。

1 小規模人材育成の取組の状況

第1-2-54図は、小規模事業者が直近3年以内に行った人材育成に関する取組の有無について示したものである。

これを見ると、「取り組んでいる」とした者は全体の4割に満たず、小規模事業者の6割以上が人材育成に取り組めていないことが分かる。

さらに、これを業種別に示したものが第1-2-55図である。

これを見ると、最も人材育成に「取り組んでいる」とする割合が高かったのは「建設業」であり、47.5%となっている。次いで「製造業」46.3%、「その他の業種」42.3%、「専門・技術サービス業」40.1%となっている。

他方、「取り組んでいる」とする割合が相対的に低い業種は、「飲食サービス業」(28.1%)や「小売業」(28.5%)となっている。

第1-2-54図 人材育成の取組の有無(直近3年以内)
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第1-2-55図 業種別の人材育成の取組の有無(業種別)
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第1-2-56図は、人材育成の取組の有無と、売上高の傾向を見たものである。

これを見ると、人材育成に「取り組んでいる」とした者のうち売上高が増加傾向にある者は34.9%であるのに対し、「取り組んでいない」とした者で売上高が増加傾向にある者は23.1%にとどまっている。小規模事業者の約6割は人材育成に取り組めていないが、人材育成に取り組んでいる者の業績傾向が良いことが分かる。

第1-2-56図 人材育成の取組の有無による売上高の傾向
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