3 産業財産権や知的資産について
本項では、中長期的側面からの取組の例として、産業財産権や知的資産の保有状況について見ることとする。
第1-2-48図は、産業財産権の保有状況と保有している産業財産権の種類を示したものである。
これを見ると、産業財産権を「保有している」者は全体の6.0%であった。保有する産業財産権の種類を見ると「商標権」が58.4%を占め最も多く、続いて「特許権」(20.2%)、「意匠権」(10.8%)、「実用新案権」(10.5%)となっていることが分かる。
第1部 小規模事業者の動向
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3 産業財産権や知的資産について
本項では、中長期的側面からの取組の例として、産業財産権や知的資産の保有状況について見ることとする。
第1-2-48図は、産業財産権の保有状況と保有している産業財産権の種類を示したものである。
これを見ると、産業財産権を「保有している」者は全体の6.0%であった。保有する産業財産権の種類を見ると「商標権」が58.4%を占め最も多く、続いて「特許権」(20.2%)、「意匠権」(10.8%)、「実用新案権」(10.5%)となっていることが分かる。
また、産業財産権の保有状況について業種別に見たものが、第1-2-49図である。
これを見ると、「製造業」が最も多く、17.9%の事業者が保有しており、小規模事業者であっても約6者に1者が産業財産権を保有していることが分かる。また、「卸売業」も9.4%と相対的に保有比率が高い。
その一方、「サービス業」が1.9%、「宿泊,飲食サービス業」が3.1%、「その他の業種」が3.2%、「建設業」が3.4%、「小売業」が3.4%となっており、これらの業種においては相対的に保有比率が低いものとなっている。
第1-2-50図は、産業財産権の保有の有無と売上総利益(粗利)の傾向を比較したものである。これを見ると「保有している」者の売上総利益(粗利)の増加傾向は30.0%であるのに対し、「保有していない」者の売上総利益(粗利)の増加傾向は21.9%となっており、産業財産権を保有している者の方が、業績傾向が良いことが分かる。
次に、「知的資産」の保有状況についても見てみることとする。
「知的資産」とは、人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランドなど、目に見えない資産のことを意味し、「産業財産権」などの権利化された「知的財産」だけではなく、事業者の強みとなる資産を総称する幅広い考え方である。
今回、この「知的資産」について上記定義を紹介しながらアンケートでその保有状況を聞いたものが、第1-2-51図である。
これを見ると、全体の25.1%が「知的資産」を保有しているとの認識を有していることが分かった。
また、知的資産の保有状況について、業種別に見たものが第1-2-52図である。
これを見ると、「製造業」の保有比率が35.5%と最も高くなっている。そのほかの業種では、約2~3割の者が「知的資産」を保有していることが分かる。
小規模事業者における「知的資産」は、事業活動における様々な「知恵」や「工夫」、「経験」などが含まれ、実態としては今回の調査結果よりも、より多くの者が知的資産を保有しているものと思われる。今回の調査結果において知的資産を保有しているとの回答が少なかったのは、小規模事業者の多くが自身の持つ「知恵」や「工夫」、「経験」などについて「資産」という捉え方をしていないためではないかと考えられる。小規模事業者には、自らが保有する「知的資産」を再認識し、これを積極的に活用していくことが期待される。
第1-2-53図は、知的資産の保有の有無と売上総利益(粗利)の傾向を比較したものである。
これを見ると「保有している」者の売上総利益(粗利)の増加傾向は29.0%であるのに対し、「保有していない」者の売上総利益(粗利)の増加傾向は20.2%と、知的資産を保有していると認識している者の方が、業績傾向が良いことが分かる。
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