第3節 小規模事業者の効率的な経営に向けた取組
本節では、小規模事業者による効率的な経営に向けた取組の状況等について見ていくこととする。
1 自社の取引の記帳頻度や決算頻度について
第1-2-26図は、小規模事業者の経営活動面において、最も基本となる、自社取引の記帳頻度について示したものである。これを見ると、「毎月」が34.7%と最も多く、次いで「毎日」が22.6%、「毎週」が15.8%と、毎日~毎月の範囲で記帳している者が全体の約7割を占めている。
これを、業種別に示したものが第1-2-27図である。これを見ると、記帳頻度が高い業種は「卸売業」、「小売業」、「宿泊業」などであり、「飲食サービス業」や「その他のサービス業」、「建設業」などは相対的に記帳頻度が低い。
また、記帳頻度と売上総利益(粗利)の傾向を示したものが、第1-2-28図である。
これを見ると、記帳頻度と売上総利益(粗利)の傾向の間には明確な相関は見られないが、記帳頻度の多い方が、売上総利益(粗利)が増加傾向とする者の割合がやや高い傾向にあるといえる。
第1-2-29図は、小規模事業者が決算又は棚卸を行う頻度について示したものである。これを見ると、「1年毎」が65.3%と最も多く、全体の6割を超えており、次いで「毎月」が16.8%、「6ヶ月毎」が9.5%、「3ヶ月毎」が7.4%となっている。
さらに、これを業種別に示したものが、第1-2-30図である。これを見ると、最も決算又は棚卸を行う頻度が高い業種は「製造業」であり、次いで「その他の業種」、「建設業」などとなっている。他方、「宿泊業」や「生活関連サービス業」、「飲食サービス業」などにおいて、決算や棚卸しの頻度が相対的に低いことが分かる。
また、「自社の決算・棚卸の頻度と売上高の傾向」を示したものが第1-2-31図、「自社の決算や棚卸しの頻度と売上総利益(粗利)の傾向」を示したものが第1-2-32図である。
双方のグラフを見ると、決算又は棚卸しの頻度が多いほど、売上高や売上総利益(粗利)が増加する傾向が明確に見て取れる。このことから、決算や棚卸をこまめに行うことは、小規模事業者が効率的な経営をする上で重要な要素であるといえよう。