第1部 小規模事業者の動向

2 原材料・商品仕入単価、売上単価、採算(経常利益)

ここでは、中小企業の原材料・商品仕入単価、売上単価及び採算(経常利益)の動向について見ていくこととする。第1-1-5図は、景況調査により、中小企業の原材料・商品仕入単価DI3、売上単価DI4及び採算(経常利益)DI5の推移を示したものである。

2015年II期(4-6月期)に、前期と比べて、原材料・商品仕入単価DIのプラス幅がやや拡大(I期39.7→II期40.5)したが、売上単価DIのマイナス幅が縮小(I期▲12.7→II期▲8.9)したことを受け、採算(経常利益)DIのマイナス幅が縮小(I期▲29.0→II期▲23.3)した。

その後、同年III期(7-9月期)以降、2期連続で、原材料・商品仕入単価DIのプラス幅が縮小(II期40.5→III期35.3→IV期30.6)したのに対し、売上単価DIのマイナス幅は小幅な縮小(II期▲8.9→III期▲9.5→IV期▲10.0)に留まったことを受け、採算(経常利益)DIは、やや改善(II期▲23.3→IV期▲22.3)した。足下(2016年I期)は、原材料・商品仕入単価DIのプラス幅が縮小(IV期30.6→I期22.6)したが、売上単価DIのマイナス幅が拡大(IV期▲10.0→I期▲13.5)したことを受け、採算(経常利益)DIのマイナス幅は拡大(IV期▲22.3→I期▲25.6)した。

3 原材料・商品仕入単価DI(前年同期比):前年同期に比べて、原材料・商品仕入単価が「上昇」と答えた企業の割合(%)から、「低下」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。

4 売上単価DI(前年同期比):前年同期に比べて、売上が「上昇」と答えた企業の割合(%)から、「低下」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。

5 採算(経常利益)DI(前年同期比):前年同期に比べて、採算(経常利益)が「好転」と答えた企業の割合(%)から、「悪化」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。

第1-1-5図 中小企業の原材料・商品仕入単価DI、売上単価DI、採算(経常利益)DIの推移
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第1-1-5図で見た中小企業の原材料・商品仕入単価、売上単価及び採算(経常利益)の各DIの推移を、小規模事業者、中規模事業者別に見ていく。

始めに、採算(経常利益)DIの推移を見ることとする(第1-1-6図)。小規模事業者の採算(経常利益)DIは、拡大・縮小を繰り返しながら推移した。2015年II期(4-6月期)に、前期と比べてマイナス幅が縮小(I期▲31.1→II期▲25.6)した。その後、同年III期(7-9月期)にマイナス幅が小幅に拡大(II期▲25.6→III期▲26.4)したが、同年IV期(10-12月期)にはマイナス幅が縮小(III期▲26.4→IV期▲24.9)した。足下(2016年I期)では、マイナス幅が拡大(IV期▲24.9→I期▲28.1)した。

同期間における中規模事業者の採算(経常利益)DIは、同年II期(4-6月期)以降、3期連続でマイナス幅が縮小傾向(I期▲21.1→II期▲15.1→III期▲13.2→IV期▲12.8)にあったが、足下(2016年I期)では、マイナス幅が拡大(IV期▲12.8→I期▲16.5)した。

足下の小規模事業者の採算(経常利益)DIの水準(I期▲28.1)は、中規模事業者(I期▲16.5)と比べて依然として低くなっている。

第1-1-6図 中規模事業者・小規模事業者の採算(経常利益)DIの推移
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この背景について、原材料・商品仕入単価DIと売上単価DIのそれぞれの推移を、小規模事業者、中規模事業者別に見ることとする。

まず、原材料・商品仕入単価DIの推移(第1-1-7図)について、小規模事業者では、2015年II期(4-6月期)に前期と比べてプラス幅がやや拡大(I期39.8→II期40.1)したが、同年III期(7-9月期)以降、3期連続してプラス幅が縮小(II期40.1→III期35.2→IV期31.1→I期24.0)しており、原材料・商品仕入単価が低下傾向であることを示している。

同期間における中規模事業者の原材料・商品仕入単価DIも、小規模事業者と同じ傾向で推移した。

足下における小規模事業者(I期24.0)の水準は、中規模事業者 (I期17.5)と比較してやや高くなっている。

第1-1-7図 中規模事業者・小規模事業者の原材料・商品仕入単価DIの推移
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次に、売上単価DIの推移(第1-1-8図)を、小規模事業者、中規模事業者別に見ることとする。

小規模事業者の売上単価DIは、2015年II期(4-6月期)に、前期と比べてマイナス幅が縮小(I期▲14.7→II期▲11.2)したが、同年III期(7-9月期)以降、3期連続してマイナス幅が拡大(II期▲11.2→III期▲12.2→IV期▲12.5→I期▲15.5)した。この期間の売上単価DIの変動幅は、原材料・商品仕入単価DIと比べて小さかった。

同期間における中規模事業者の売上単価DIは、III期にマイナス幅がやや縮小(II期▲1.2→III期▲0.3)したことを除けば、小規模事業者とほぼ同じ傾向で推移した。

足下の小規模事業者の水準(I期▲15.5)は、中規模事業者(I期▲6.4)と比べて依然として低くなっている。

第1-1-8図 中規模事業者・小規模事業者の売上単価DIの推移
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