第2部 中小企業の稼ぐ力

第3節まとめ

本節では、金融機関の非金融面の支援である経営支援サービスについて、その取組の状況や効果、課題について見てきた。ビジネスマッチング等の販路・仕入先拡大支援や、補助金情報等の諸制度の情報提供の利用割合が高く、そうした支援により中小企業は売上の増加や財務内容の改善等の効果が出ていることが分かった。他方で、企業側のニーズが高いものの、金融機関の人材育成支援が不十分であるなど、一部企業のニーズと合致していない部分があり、これからの課題も見受けられた。

また、経営支援サービスの提供における連携の重要性を確認しつつも、連携すべき相手が見つからない場合や、連携するための内部体制が整わないなどの理由により連携が不十分な面もあった。経営支援サービスを充実させるためには、支援機関同士の連携を活発化させることが重要ではないだろうか。金融機関との関係が希薄な無借金企業を含め、中小企業が重視する相談相手として税理士等が挙げられるが、税理士等は金融機関との連携が極めて強いものの、その他の認定支援機関との連携が弱い部分もある。

こうした認定支援機関との連携の中心になるのは、金融機関であることが多い。また、金融機関との関係が希薄な無借金企業に対しては、税理士、弁護士、弁理士、中小企業診断士等が連携の中心となることが期待される。このように、認定支援機関等が連携し、それぞれの強みを活かす形で中小企業支援を行うことが効果を高めることにつながるのではないか。

本章では、中小企業の成長投資に向けて、中小企業は金融機関への適切な情報開示を行い、金融機関は事業性を評価した融資等のために更に関係機関との連携の強化を図ることで、中小企業の成長投資に向けた資金供給の可能性が広がることを見てきた。中小企業の成長を支える、金融機関を含む支援機関が相互連携を図りながら支援を行うことで、中小企業があらためて成長に向けて舵を切り、稼ぐ力を向上させることが期待される。

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