第2部 中小企業の稼ぐ力 

2 中小企業のIT活用の実態

■業種別のIT導入状況

ここからは、中小企業におけるIT投資の現状について確認していく。第2-2-6図は、ITの導入状況を業種別に見たものであるが、ハードウェア17の導入については、中小企業の75.6%、さらにそのハードウェアにソフトウェア18等(情報システム19、クラウド・コンピューティングを含む)を追加してハードウェア・ソフトウェアを活用している中小企業は63.7%と半数以上の企業がハードウェア・ソフトウェアを経営に活用していることが分かる。また、業種別に見てみると、製造業や卸売業がほかの業種に比べて若干ではあるがハードウェア、ソフトウェアの導入割合がともに高いことが見て取れる。他方で、いずれの業種についても約2〜3割の企業がハードウェア、約3〜4割の企業がソフトウェア等を導入していないことからも、中小企業におけるIT活用が遅れていることが分かる。

17 「ハードウェア」とは、パーソナルコンピューター、スマートフォンといったコンピュータ本体及びそれを構成している回路や装置、設備、機材等の総称であり、物理的な実態を伴うもののことをいう。

18 「ソフトウェア」とは、ハードウェアに導入されるコンピュータプログラムやデータ等、それ自体は物理的な実体を伴わないもののことをいう。

19 「情報システム」とは、コンピュータ(電子計算機)による情報処理によって、情報を的確に保存・管理するための仕組みのことをいう。

第2-2-6図 業種別に見たITの導入状況
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■中小企業における記帳を行う際のIT利用状況

また、第2-2-7図は、中小企業庁の委託により(株)帝国データバンクが2012年度に実施した「平成24年度中小企業の会計に関する実態調査」により、中小企業における記帳を行う際のITの活用状況について示したものである。これを見ると、経営で記帳する際に約2割の中小企業がパソコンを使用しておらず、さらにパソコンを利用している中小企業の中でも約3割の企業が会計ソフトを利用せずに記帳していることが分かる。

第2-2-7図 中小企業における記帳を行う際のITの活用状況
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このように、ITを導入していない中小企業は、いまだに手作業で記帳を行っており、それによる記帳ミスや時間のロス、発生するコストが企業の生産性、収益力を押し下げていると推察される。

■業務領域におけるIT活用

ここからは、各業務領域におけるITの導入状況について確認していく。第2-2-8図と第2-2-9図は、業務領域別のITの導入状況と導入方法を見たものである。これを見ると、「財務・会計」、「人事・給与」、といったバックオフィス分野の業務領域においては、いずれの業種でも必要な業務分野であるため、ITを導入している企業の割合も高く、その内容を見ると、パッケージソフト・システムを中心に導入されていることが分かる。他方で、「開発・設計」、「物流」、「カスタマーサポート」といった業務領域は、業種によっては必要ではない業務領域であるため、これらの業務領域でのIT導入状況は低くなっている。また、導入方法については、パッケージソフト・システムではなく、自社に適したITを導入できるように「自社開発ソフト・システム」、「オーダーメイド・システム」を導入している企業の割合が高い傾向にあることが分かる。

第2-2-8図 業務領域別に見たITの導入状況
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第2-2-9図 業務領域別に見たITの導入方法
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このように、パッケージソフト・システムで対応できる業務分野を中心にIT活用が進んでいるものの、財務・会計、人事・給与といったいずれの業種にも必要な業務領域においても、ITを活用していない企業が少なからずいることが分かる。

■中小企業におけるIT投資の重要度

最後に、我が国の中小企業において、IT投資がどれくらい重要視されているかを見てみる(第2-2-10図)。これによると、ITの活用が重要でないと考えている企業がまだ約4割もいることが分かる。

第2-2-10図 中小企業におけるIT投資の重要度
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以上、本節では我が国の中小企業のIT活用の実態とIT導入によって得られる効果について見てきたが、情報化の進展に伴い中小企業においてもITの利活用が進んできてはいるものの、ITを活用せずに事業を行っている企業も少なからず存在することが分かった。前述したとおり、IT投資によって業務プロセスの合理化、コスト削減、売上の拡大といった様々な効果が得られることからも、我が国の中小企業が人手不足の中、稼ぐ力を強化していくためには、ITの活用が重要である。

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