第2部 中小企業の稼ぐ力 

第2章 中小企業におけるITの利活用

第1節 生産性を向上させるためのIT投資の必要性

第1部及び第2部第1章で見てきたように、我が国の中小企業は、少子高齢化に伴う総人口、生産年齢人口の減少という構造的要因により、人手不足に直面している。この構造上の問題を短期的に解決することは困難であるため、人手不足を前提とした省力化・合理化を進めるべきであると考えられる。

また、第2部第1章で見たように、親企業―下請企業の関係も徐々に変化が生じており、親企業との関係が希薄化していく中で、下請企業にとっては自ら営業に乗り出し、顧客を開拓することの重要性が増してきている。しかし、人手不足の中で営業にこれまで以上に人を割くことは容易ではなく、また、営業を行うにしても、新しい需要や顧客を自ら開拓することは難しい。

人手不足、取引形態の変容等の課題を克服し、売上拡大と費用削減を進め、中小企業が稼ぐ力を高めていくためには、第2部第1章で見たように近年発達・普及が著しいITの活用が重要であると考えられる。そのため、次節以降では、「中小企業の成長と投資行動に関するアンケート調査1」により、IT導入による具体的な効果や、中小企業のITの導入実態と課題について分析を行い、今後中小企業が成長していくためのIT投資の在り方について検討していく。

1 中小企業庁の委託により、(株)帝国データバンクが、2015年12月に中小企業30,000社を対象に実施したアンケート調査。回収率15.3%。

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