3 資本装備率、資本生産性について
続いて、生産性と関連の深いその他の指標について確認したい。
中小企業が効率的に付加価値を生み出し、生産性を向上させるために、機械や設備への投資は有効な手段の一つであり、こうした機械や設備への投資の程度を表すのが「資本装備率」である。資本装備率とは、総資本を労働力で除した指標で、これが高ければ高いほど資本集約的となる。反対に、低くなるほど労働集約的と評価することができる。
また、生産性向上のためには、投資した機械や設備が効率的に活用されることも重要である。「資本生産性」とは、保有している機械や設備、土地等の資本がどれだけ効率的に成果を生み出したかを定量的に数値化したものであり、設備の利用頻度や稼働率向上、効率改善に向けた努力等によって向上すると考えられる。
ここで、労働生産性の定義を確認すると、以下のようになる。

これは、以下のように展開することができる。

資本ストックを労働力で除したものと、付加価値額を資本ストックで除したものは、それぞれ「資本装備率」、「資本生産性」と呼ばれる。すなわち、労働生産性は、以下のように資本装備率と資本生産性でも説明することができる。
労働生産性 = 資本装備率 × 資本生産性
第1-3-10図は、2014年における各業種内の資本装備率について、平均値だけでなく、第一・第三四分位点で分布の範囲を示したグラフである。また、第1-3-10図は、2014年における業種ごとの資本生産性について、同様にして分布の範囲を示したグラフである。両図を見ると、情報通信業は最も資本集約度が低い一方で、資本生産性が最も高い。また、電気・ガス・熱供給・水道業は最も資本装備率が高い一方、資本生産性は最も低くなっている。労働生産性の平均で見ると情報通信業では861万円/人、電気・ガス・熱供給・水道業では1,299万円/人と両業種共に高い水準となっており、労働生産性の高い企業においても、その高め方には業種ごとの特徴が現れている。