第1部 平成27年度(2015年度)の中小企業の動向

7 まとめ

2015年度の我が国経済は、2012年末からの緩やかな回復基調が続いているものの、設備投資や個人消費等の支出面の回復には遅れがみられる。個人消費は、消費者物価の上昇に伴う実質賃金の低下もあって伸び悩んでおり、民間企業設備投資も、未だリーマン・ショック前の水準に達していない。他方で、雇用環境は改善を続け、国民全体の稼ぎである雇用者報酬も増加しており、企業の経常利益も過去最高水準にあるなど、消費、投資を取り巻く環境は改善している部分もある。今後は、個人消費は持ち直しに向かい、設備投資は増加し、景気は緩やかな回復に向かうことが期待される。

我が国経済は、2012年末より持ち直しに転じており、企業収益の拡大が賃金上昇や雇用拡大につながり、消費の拡大や投資の増加を通じて更なる企業収益の拡大に結びつくという、「経済の好循環」が回り始めている。しかし、企業と家計の所得増に比べると、設備投資や個人消費等、支出への波及には遅れがみられる。こうした内需の弱さに、中国経済を始めとする新興国経済の減速の影響等も加わり、最近では生産面にも弱さが現れている。本章では、消費、投資、輸出等のGDPの項目ごとに、2015年度における我が国経済の動向を概観していく。

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