第3部:平成26年度において講じた小規模企業施策

第2章 新陳代謝の促進

<小規模企業振興基本計画における目標(2)>

(2)新陳代謝の促進
−多様な人材・新たな人材の活用による事業の展開・創出−


小規模企業は、経営者・従業員の高齢化、後継者不足等により、廃業が増加する傾向にある。他方で、女性・若者・シニアなど多様な人材に対して、小規模企業は、様々な価値観に基づく多様な働き方を提供している。また、我が国全体としての雇用拡大にも貢献している。

多様な働き方を提供し、自己実現、社会貢献等の生きがいを生み出す小規模企業の起業・創業や第二創業を促進する。また、事業承継により、本来我が国経済社会にとって有用な経営資源の散逸を防ぎ、地域の経済社会の発展に結びつけていく。事業の継続が見込まれない場合には、事業の廃止を円滑化することで、その生活の安定や再チャレンジに向けた環境を整備する。さらに、小規模企業の人材確保・育成を強化し、多様で新たな人材がその能力を発揮できる環境を整備することにより、誰もが小規模企業で働きやすい地域社会の実現を目指す。

第1節 起業・創業支援

1.地域創業促進支援委託事業【26年度予算:7.5億円】

全国227箇所にて「創業スクール」を開催し、創業予備軍の掘り起こしをはじめ、創業希望者の基本的知識の習得からビジネスプランの策定までを支援した。

2.地域における創業支援体制の構築

地域の創業を促進させるため、産業競争力強化法において、市区町村が民間の創業支援事業者と連携して創業支援事業計画を作成し、国の認定を受けた場合、計画に基づく創業支援を受けた創業者に対し、信用保証の拡充、税制(株式会社の設立登記に係る登録免許税の軽減半減)等の支援を行うとともに、創業支援事業者に対し信用保証等の支援を行った。平成26年度においては、186件(207自治体)の事業計画の認定を行った。

3.創業促進補助金(事業者向け)

新たな需要を創造する新商品・サービスを提供する創業者(第二創業者含む)に対して、店舗借入費や設備費等の創業に要する費用の一部の支援を行った。平成26年度は3,124件の採択を行った。

4.新事業創出のための目利き・支援人材育成等事業

ベンチャーファンド、金融機関、税理士・会計士等の官民の起業支援人材の連携を強化し、成長可能性の高いビジネスアイディアやシーズに対する徹底したハンズオン支援を行うことを通じ、成功事例やノウハウの共有・周知を行うことにより、優秀な支援人材の育成や、ベンチャーの創出を促進するための措置を講じた。

5.先端課題に対応したベンチャー事業化支援等事業【26年度予算:11.6億円の内数】

成長力のある起業家に対して、ベンチャーキャピタル(VC)や起業経験者等が経営支援を実施することにより、新事業の創出を図る。

また、これらの起業家や支援人材、大企業等によるネットワークの形成等を図り、新事業創出ノウハウの普及等による人材育成や事業連携等を促進し、新事業創出のための環境整備を図る予算を措置した。

6.創業・第二創業補助金【26年度補正:50.4億円の内数】

女性・若者等の創業者や、事業承継を契機に既存事業を廃業し、新分野に挑戦する等の第二創業者に対して、店舗借入費や設備費等(第二創業の場合、廃業コストを含む)に要する費用の一部の支援を行うこととした。また、産業競争力強化法における創業支援事業者が認定創業支援事業計画に基づき行う創業者支援の取組に要する費用の一部を支援する予算を措置した。

7.新創業融資制度【財政投融資】

新たに事業を開始する者や事業を開始して間もない者に対し、無担保・無保証人で日本公庫が融資を行う制度である。平成26年度は平成27年2月末までに、18,808件、731億円の融資を実行し、平成13年度の制度創設から平成27年2月末までの融資実績は、130,400件、4,513億円となった。

8.女性、若者/シニア起業家支援資金【財政投融資】

多様な事業者による新規事業の創出を支援するため、女性や30歳未満の若者、55歳以上の高齢者のうち、開業して概ね7年以内の者を対象に、日本公庫(中小企業事業・国民生活事業)が優遇金利で融資する制度である。1999年の制度創設から、2015年2月末までに、125,916件、6,512億円の融資を実施している。

9.新事業育成資金(グローバル展開志向創業支援関連)【財政投融資】

高い成長性が見込まれる新たな事業を行い、海外を含めたマーケティングを踏まえた自社製品開発や、国内外への販路開拓等を行う中小企業者を対象に、日本公庫による優遇金利を適用する融資制度である。平成23年12月の制度創設から平成27年2月末までの融資実績は、13件、5.2億円となった。

10.再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)【財政投融資】

日本公庫が、いったん事業に失敗した起業家の経営者としての資質や事業の見込み等を評価することにより、再起を図る上で、困難な状況に直面している者に対して融資を実施した。平成26年度(平成27年2月末時点)の貸付実績は、403件、15億円となった。

11.創業者向け保証

民間金融機関による創業者への融資を後押しするため、信用保証協会において、これから創業する者又は創業後5年未満の者等を対象とする保証制度である。平成26年度(平成26年12月末現在)の保証承諾実績は、10,247件、467億円であった。

12.起業・創業時に必要となるリスクマネーの供給強化

産業革新機構のベンチャー案件等に係る手続簡素化措置等を通じてベンチャー企業への支援を促進するとともに、日本政策投資銀行や株式会社商工組合中央金庫(以下「商工中金」という。)の活用等により、起業・創業時及び事業化に必要となるリスクマネーの供給を図った。

13.ファンド出資事業(起業支援ファンド、中小企業成長支援ファンド)

民間の投資会社が運営する投資ファンドについて、中小機構が出資(ファンド総額の1/2以内)を行うことで、民間資金の呼び水としてファンドの組成を促進し、創業又は成長初期の段階にあるベンチャー企業(中小企業)や新事業展開等により成長を目指す中小企業への投資機会の拡大を図る事業である。起業支援ファンドについては、累積出資先ファンド数90件、出資約束総額1,452億円、累積投資先企業数2,327社に至った(平成26年3月末現在)。また、中小企業成長支援ファンドについては、累積出資先ファンド数65件、出資約束総額3,329億円、累積投資先企業数644社に至った(平成26年3月末現在)。

14.エンジェル税制【税制】

創業後間もないベンチャー企業への個人投資家(エンジェル)による資金供給を促進するため、一定の要件を満たす中小企業に対して、個人投資家が投資を行った時点と、当該株式を譲渡した時点において所得税の優遇を受けることができる制度である。1997年の制度創設から、2015年2月末までに、423社に対し、約117.7億円の投資が行われた。

15.企業のベンチャー投資促進税制【税制】

企業が、産業競争力強化法に基づき経済産業大臣の認定を受けたベンチャーファンドを通じてベンチャー企業に出資した場合に、その出資額の8割を限度として損失準備金を積み立て、損金算入することができる制度である。

16.地域経済循環創造事業交付金【26年度予算:15.0億円】

産学金官地域ラウンドテーブルを構築し、地域の資源と資金(地域金融機関の融資等)を活用して、雇用吸収力の大きい地域密着型企業を立ち上げる「ローカル10,000プロジェクト」を推進するため、民間事業者が事業化段階で必要となる初期投資費用等に対して、地方自治体が助成する経費に対し、交付金を交付した。

第2節 承継支援

1.小規模企業共済制度【中小機構交付金の内数】

小規模企業共済制度は、小規模企業者である個人事業主や会社等の役員が掛金を積み立て、廃業や引退をした際に共済金を受け取れる制度であり、いわば小規模企業の経営者のための「退職金制度」である。平成26年12月末現在で124.3万人が在籍しており、平成26年4月から12月までの新規加入者は5.7万人に上った。

2.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度(事業承継税制)【税制】

事業承継税制は、後継者が経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の株式等を先代経営者から相続、遺贈又は贈与により取得した場合において、その後継者が事業を継続することを前提に、相続税・贈与税の納税を猶予し、後継者の死亡等の一定の場合には猶予税額を免除する制度である。平成21年度より事業承継税制の適用の基礎となる認定を開始し、平成27年2月末までに、相続税に係る認定を651件、贈与税に係る認定を346件実施した。

3.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度(事業承継税制)の拡充【税制】

平成25年度税制改正において、適用要件の緩和等、事業承継税制の拡充が図られ、一部を除き平成27年1月以後の相続、遺贈又は贈与から適用されることとなった。主な改正内容は以下のとおりである。

(1)後継者は、先代経営者の親族に限定されていたが、親族外承継も適用対象となった。

(2)雇用の8割以上を「5年間毎年」維持する要件について、雇用の8割以上を「5年間平均」で評価することとなった。

(3)要件を満たせず納税猶予打ち切りの際は、納税猶予額に加え利子税の支払いが必要となるが、利子税の税率が引き下げられる(現行2.1%から0.9%へ。平成26年1月から。)とともに、承継から5年を超えての打ち切りの場合には5年間の利子税が免除されることとなった。

(4)民事再生、会社更生、中小企業再生支援協議会での事業再生の際にも、納税猶予額を再計算し、猶予税額を一部免除されることとなった。

(5)贈与税の納税猶予制度の適用要件のうち、現経営者が贈与時に役員を退任するとの要件について、贈与時に代表者を退任するとの要件に改められた。

(6)納税猶予制度の利用の前に、経済産業大臣の事前確認を受ける必要があったが、事前確認を受けていなくても制度利用が可能となった(平成25年4月から。)。

4.事業引継ぎ支援事業【26年度予算:44.4億円の内数】

後継者不在等の問題を抱える中小企業・小規模事業者に対し、47都道府県の各認定支援機関に設置されている「事業引継ぎ相談窓口」において事業引継ぎ等に関する情報提供・助言等を行うとともに、事業引継ぎ支援の需要が多く、支援体制が整った地域に「事業引継ぎ支援センター」を設置した。

「事業引継ぎ支援センター」は、平成26年度に秋田、広島、沖縄、三重、香川、栃木に新たに設置し、平成26年度末時点で、北海道、宮城、秋田、栃木、東京、長野、静岡、愛知、三重、大阪、岡山、広島、香川、愛媛、福岡、沖縄の計16か所に設置済みである。

また、平成26年度より事業引継ぎ支援全国本部を中小機構に設置し、全国の「事業引継ぎ相談窓口」、「事業引継ぎ支援センター」に対する指導、助言等の支援業務を実施した。

5.経営承継円滑化法による総合的支援

経営承継円滑化法には、遺留分の制約を解決するための民法の特例をはじめとした総合的支援が盛り込まれており、平成27年2月末までに、民法特例の適用の基礎となる経済産業大臣の確認を85件実施した。

6.事業承継円滑化支援事業

全国各地で中小企業の事業承継を広範かつ高度にサポートするための事業承継支援ネットワーク体制の形成、中小企業支援者向けの研修や事業承継フォーラムによる中小企業経営者等への普及啓発を実施した。

7.中小企業新陳代謝円滑化普及等事業【26年度補正:23.9億円の内数】

中小企業・小規模企業の経営者の計画的な事業承継や廃業の備えのため、企業の新陳代謝に関する施策の講習会・説明会の開催や個別相談員の派遣などを実施する予算を措置した。

第3節 人材・雇用対策

1.中小企業・小規模事業者人材対策事業

中小企業・小規模事業者の優秀な人材の確保を支援する目的で、〔1〕新卒者等の未就職者に対し、中小企業・小規模事業者の事業現場で働く上で必要な技能・技術・ノウハウを習得する機会を提供するため、〔2〕中小企業・小規模事業者が実施する職場実習や、育児等で退職し、再就職を希望する主婦等に対し、職場経験のブランクを埋める機会を提供するため、中小企業・小規模事業者が実施する職場実習を支援した。また、中小企業・小規模事業者と学生との顔の見える関係作りから、新卒者等の採用・定着までを一貫して支援した。加えて、実務経験豊富なシニア人材の確保・定着を支援したほか、正規社員を希望する非正規雇用者、若年離職者、就職を希望する主婦層等の確保・定着を支援した。

2.中小企業大学校における人材育成事業【中小機構交付金の内数】

全国9か所にある中小企業大学校において、中小企業支援人材の能力向上のための研修を実施するとともに、中小企業の経営者、管理者等を対象に経営課題の解決に直接結びつくような研修を実施した。

3.労働者の雇用維持対策【26年度予算額:545.2億円の内数】

景気の変動等に伴う経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業、教育訓練又は出向により、労働者の雇用の維持を図った場合に、雇用調整助成金を支給した。また、本助成金については不正受給防止対策にも積極的に取り組んでおり、不正受給を行った事業主名等の公表、実地調査の実施等、本助成金のより一層の適正な支給に努めた。

4.魅力ある雇用創出に向けた雇用管理の改善の支援

企業の雇用管理改善の取組を支援し、魅力ある雇用創出を図るため、重点分野等の中小企業団体(事業協同組合等)が労働環境向上事業を行った場合に助成金を支給した。また、重点分野等の中小企業・小規模事業者が就業規則・労働協約等を変更し、雇用管理制度を新たに導入して実際に適用した場合に助成金を支給した。

5.地域雇用開発奨励金【26年度予算:32.9億円の内数】

地域における雇用の創出及び安定を図るため、雇用機会が特に不足している地域等において事業所の設置又は整備を行い、併せて地域求職者を雇い入れる事業主に対して、設置等の費用及び雇入れ人数に応じて助成を行う地域雇用開発奨励金を支給した。

6.戦略産業雇用創造プロジェクト【26年度予算:100.3億円の内数】

良質かつ安定的な雇用機会の創出に向けた取組みを推進するため、製造業などの戦略産業を対象として、産業施策と一体となって実施する地域の自主的な雇用創造プロジェクトを支援する戦略産業雇用創造プロジェクトを実施した。

7.雇用促進税制【税制】

平成23年4月1日から平成28年3月31日までの期間内に始まる各事業年度において、雇用保険の一般被保険者が5人(中小企業等は2人。)以上、かつ、10%以上増加等の要件を満たす企業に対し、増加した雇用保険の一般被保険者一人あたり40万円を税額控除することができる税制措置を実施した。

8.失業なき労働移動の促進(労働保険特別会計)【26年度予算:301.3億円の内数】

労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)により、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者等に対して、その再就職を実現するための支援を民間職業紹介事業者に委託等して行う事業主に対して助成を行った。また、労働移動支援助成金(受入れ人材育成支援奨励金)により、公共職業安定所の認定を受けた再就職援助計画等の対象となった労働者等を雇入れ、または移籍等により労働者を受入れ、その労働者に対してOff-JTのみまたはOff-JT及びOJTを行った事業主に対して助成を行った。

9.地域人づくり事業

女性や若者、高齢者の活躍推進等を通じた雇用の拡大を図るとともに、賃金引上げ等の処遇改善を推進し、地域の実情に応じた「人づくり」を支援するための事業を実施した。

10.起業支援型地域雇用創造事業

地域の産業・雇用振興策に沿った起業支援等を行うことにより、地域の雇用の受け皿を確保し、安定的な雇用創出に資する事業を民間企業等へ委託し、失業者を雇い入れる事業を実施した。

11.福祉人材確保重点プロジェクト【26年度予算:14.1億円の内数】

福祉(介護・医療・保育)分野におけるサービスを担う質の高い人材の安定的な確保のため、全国の主要なハローワークに設置する「福祉人材コーナー」において、きめ細かな職業相談・職業紹介、求人者への助言・指導等を実施するとともに、「福祉人材コーナー」を設置していないハローワークにおいても、福祉分野の職業相談・職業紹介、職業情報の提供及び「福祉人材コーナー」への利用勧奨等の支援を実施した。

12.最低賃金の引き上げに向けた中小企業・小規模事業者支援【26年度予算:27.5億円の内数】【26年度補正:14.2億円の内数】

最低賃金の引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援として、〔1〕経営改善と労働条件管理の相談等にワンストップで対応するための「最低賃金総合相談支援センター」を全国(47カ所)に設置し、無料の相談対応・専門家派遣を行うとともに、〔2〕業種別中小企業団体が行う取組に対する助成(業種別団体助成金、対象業種33業種、上限2000万円)等及び〔3〕労働能率増進等のための経費助成(業務改善助成金、42道府県対象、上限100万円)を実施した。なお、2015(平成27)年2月からは、引上げ人数に応じて助成上限額の引上げ(上限150万円)を実施した。

13.地域若者サポートステーション事業【26年度補正:34.6億円の内数】

ニート等の若者の職業的自立を支援するため地域若者サポートステーション(以下、「サポステ」という。)を設置し、専門的な相談やネットワークを活用した適切な機関への誘導など、多様な就労支援メニューを実施する予算を措置した。平成26年度においては、全国160箇所で実施するとともに、新たに職場体験等の協力依頼・開拓、企業・利用者のフォロー、ノウハウ提供を行う体験先コーディネーターを全国4箇所に配置した。

14.キャリア教育専門人材養成事業(大学等)(キャリア教育等の推進)【26年度予算:0.1億円の内数】

大学等のキャリアセンターの中核人材やキャリア・コンサルタント等を対象に、厚生労働省が有する雇用・労働に関する知見やキャリア教育や就職支援に資するツール、キャリア・コンサルティングやその担い手であるキャリア・コンサルタントに係る知識及びその活用方法等についての理解を深める講習を実施し、大学等におけるキャリア教育を推進するとともに、大学等におけるキャリア・コンサルタントの活用促進を図った。

15.キャリア教育プログラム開発事業(キャリア教育等の推進)【26年度予算:0.1億円の内数】

効果的なキャリア教育を実施するために、必要な職業についての情報の付与やキャリア・コンサルティングのツールやノウハウなど、労働行政が有する知見を活かしたキャリア教育のためのプログラムを開発するとともに、職業情報に関する教材の開発を行い、大学等におけるキャリア教育の推進を図った。

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