第1部 小規模事業者の構造分析

第2節 小規模事業者の増減の背景

第1節では、小規模事業者は、高度経済成長期からの大きな経済社会情勢の変動の中で、業種別の推移のトレンドを織り交ぜながら現在に至っていることを見てきた。本節では、その変遷の背景や要因について分析することとする。

1 事業の好調、不調の時期

第1-2-9図は、小規模事業者に、「事業が最も好調だった時期」と「事業が最も不調だった時期」について尋ねたものである。(なお、回答した経営者の業歴の長さにより、「事業が最も好調だった時期」、「事業が最も不調だった時期」の回答に隔たりがあることが考えられるため、「1980年代以前に創業した小規模事業者のグループ」とバブル経済崩壊後の「1990年代以降に創業した小規模事業者のグループ」の2つに大別し、分析を行った。)

「1980年代以前に創業した小規模事業者のグループ」を見ると、「事業が最も好調だった時期」は1980年代、1990年代とする回答が際立つ。これは、いわゆるバブル経済期及びその前後の期間に相当している。その一方、「事業が最も不調だった時期」は2000年代、2010年以降とする回答が際立っており、事業の好調・不調を認識する時期がはっきり分かれた。特にリーマン・ショック以降の近年(2010年以降)の不調を認識する経営者が非常に多い傾向がある。

次に、「1990年代以降に創業した小規模事業者のグループ」では、事業の好調、不調を認識する経営者は、年代が直近になるに従って、増加する傾向にある。このグループについても特にリーマン・ショック以降の近年(2010年以降)の不調を認識する経営者が非常に多い傾向がある。

以上から、〔1〕全体としては、いわゆるバブル経済期が「事業が最も好調だった時期」とする事業者が最も多く、2000年代以降が「事業が最も不調だった時期」とする事業者が多いこと、〔2〕1990年代以降に創業した小規模事業者については、「事業が最も不調だった時期」が2000年代以降に増えている一方で、それと同数程度「事業が最も好調だった時期」とする事業者が増えており、小規模事業者の間で認識が分かれていること、〔3〕1990年代以降に創業した小規模事業者にとって、「事業が最も好調だった時期」が2000年代以降増えている傾向を踏まえると、1980年代以前に創業した小規模事業者にとっても、いわゆるバブル経済期の特異な時期を除けば、近年、事業が好調となっている事業者が一定数存在するといったことがいえる3

3 事業が最も好調だった時期、不調だった時期を、それぞれ択一回答により結果を得ている。

第1-2-9図 事業が最も好調だった時期、不調だった時期
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