2 小規模事業者の事業用資産
ここからは、小規模事業者がどのような事業用資産を活用して経営をしているのか見ていく。第1-1-64図は、事業用資産の把握状況について聞いたものである。
第1部 小規模事業者の構造分析
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2 小規模事業者の事業用資産
ここからは、小規模事業者がどのような事業用資産を活用して経営をしているのか見ていく。第1-1-64図は、事業用資産の把握状況について聞いたものである。
これを見ると、いずれの資産についても把握しているとする回答がほとんどであった。実際には、事業用資産を把握していると一口に言っても、小規模事業者によって、どの程度把握しているかは、まちまちであると考えられる。なお、本図においては、事業用資産の把握の程度についてまでは、触れていないことに留意が必要である。手持ちの事業用資産をしっかり把握し、これを有効活用することは、人材の活用と並んで、経営上、最も大切な要素の一つと考えられる。
次に、小規模事業者が保有している事業用資産の価値について見ると(第1-1-65図)、価値の高い順に、「土地」、「建物・構築物・建物付属設備」、「現金・預金」などとなっている。
なお、金額については、回答の平均値と中央値の間に開きがあることが分かった。中央値とは、回答者の保有する事業用資産を、価値の高い順に並べた時、ちょうど真ん中の順位に位置する金額を意味するが、このことは、小規模事業者が保有する事業用資産の価値について一定のばらつきがあることを示唆している。
さらに、小規模事業者が保有する事業用資産の価値について、業種間で比較したものが第1-1-66図である。例えば、「受取手形・売掛金」を見ると、生鮮食料品や日用品といった現金決済が多いと考えられる小売業では、この保有額は他業種と比較して小さい。「土地」を見ると、卸売業や製造業では、商品保管のための倉庫や工場等の用地を必要とすることが考えられ、保有額が他業種と比較して大きいといった特徴が見受けられる。
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