平成27年度において講じようとする中小企業施策

第6章 創業・事業承継の促進

第1節 創業・第二創業支援

1.創業・第二創業促進補助金【27年度予算:7.6億円】

女性・若者等の創業者や、事業承継を契機に既存事業を廃業し、新分野に挑戦する等の第二創業者に対して、店舗借入費や設備費等(第二創業の場合、廃業コストを含む)に要する費用の一部の支援を行う。また、産業競争力強化法における創業支援事業者が認定創業支援事業計画に基づき行う創業者支援の取組に要する費用の一部の支援を行う。(新規)

2.新創業融資制度【財政投融資】

新たに事業を開始する者や事業を開始して間もない者に対し、無担保・無保証人で日本公庫が融資を行う制度である。(継続)

3.女性、若者/シニア起業家支援資金【財政投融資】

女性や30歳未満の若者、55歳以上の高齢者のうち、開業して概ね7年以内の者を対象に日本公庫(中小企業事業・国民生活事業)が優遇金利を適用し、多様な事業者による新規事業の創出を支援する。(継続)

4.再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)【財政投融資】

日本公庫が、いったん事業に失敗した起業家の経営者としての資質や事業の見込み等を評価することにより、再起を図る上で、困難な状況に直面している者に対して融資を実施する。(継続)

5.創業者向け保証

民間金融機関による創業者への融資を後押しするため、信用保証協会において、これから創業する者又は創業後5年未満の者等を対象とする保証制度である。(継続)

6.起業・創業時に必要となるリスクマネーの供給強化

産業革新機構、株式会社日本政策投資銀行及び商工中金の活用等により、起業・創業時及び事業化に必要となるリスクマネーの供給を引き続き促進していく。(継続)

7.ファンド出資事業(起業支援ファンド、中小企業成長支援ファンド)

民間の投資会社が運営する投資ファンドについて、中小機構が出資(ファンド総額の1/2以内)を行うことで、民間資金の呼び水としてファンドの組成を促進し、創業又は成長初期の段階にあるベンチャー企業(中小企業)や新事業展開等により成長を目指す中小企業への投資機会の拡大を図る。(継続)

8.地域創業促進支援委託事業【27年度予算:4.4億円】

全国各地で「創業スクール」を開催し、創業予備軍の掘り起こしをはじめ、創業希望者の基本的知識の習得からビジネスプランの策定までを支援する。また、大学等における起業家教育の普及や、小中学校を対象にした地元起業家等との交流などにより「起業家教育」の充実化を図り、創造性や積極性等からなる「起業家精神」を有する人材の裾野拡大を図る。(継続)

9.ベンチャー創造支援事業【27年度予算:3.4億円】

起業家や、大企業等で新事業開拓を担う社内起業家の候補等を、世界をリードするベンチャー企業を輩出するシリコンバレー等に派遣して、事業目線の引き上げを図る。また、起業家やベンチャーキャピタル(VC)、大企業等からなる「ベンチャー創造協議会」において、ビジネスマッチングやネットワークの形成等を図り、グローバル市場等を目指すベンチャーの輩出や、大企業等のオープンイノベーションを促進するための基盤形成を図る。(新規)

10.エンジェル税制【税制】

創業後間もないベンチャー企業への個人投資家(エンジェル)による資金供給を促進するため、引き続き、本税制の普及啓発を実施し、起業促進の環境整備を図る。(継続)

11.企業のベンチャー投資促進税制【税制】

企業が、産業競争力強化法に基づき経済産業大臣の認定を受けたベンチャーファンドを通じてベンチャー企業に出資した場合に、その出資額の8割を限度として損失準備金を積み立て、損金算入することができる制度である。

本制度が有効活用され、我が国から多くの魅力的なベンチャー企業が生まれるよう、引き続き周知普及を徹底する。(継続)

12.経営革新支援事業

新事業活動促進法に基づき、中小企業が新たな事業活動を行うことで経営の向上を図ることを目的として作成し、承認された経営革新計画に対し、低利の融資制度や信用保証の特例等の支援策を通じ、その事業活動を支援する。(継続)

13.地域における創業支援体制の構築

地域の創業を促進させるため、産業競争力強化法において、市区町村が民間の創業支援事業者と連携して創業支援事業計画を作成し、国の認定を受けた場合、計画に基づく創業支援を受けた創業者に対し、信用保証の拡充、税制(株式会社の設立登記に係る登録免許税の軽減)等の支援を行うとともに、創業支援事業者に対し信用保証等の支援を行う。(継続)

14.地域経済循環創造事業交付金【27年度予算:23.1億円】

産学金官地域ラウンドテーブルを構築し、地域の資源と資金(地域金融機関の融資等)を活用して、雇用吸収力の大きい地域密着型企業を立ち上げる「ローカル10,000プロジェクト」を推進するため、民間事業者が事業化段階で必要となる初期投資費用等に対して、地方自治体が助成する経費に対し、交付金を交付する。(継続)(再掲)

第2節 新陳代謝の促進

1.地域課題解決ビジネス普及事業【27年度予算:0.6億円】

介護、保育、教育といった分野を中心に、地域が抱える課題をビジネスの手法により解決する中小企業やNPO法人等が地域の新たな需要・雇用を創出できる環境を整えるため、アンケート調査や有識者等による委員会を通して、ビジネスモデルの評価手法や融資・支援のガイドラインを作成するとともに、作成した評価手法及びガイドラインの普及啓発を目的としてフォーラムを開催し、専門的な中間支援組織(プロボノ・ファンドレイザー・ネットワーク構築支援等)が一同に会する場を設け、金融機関・中間支援組織・事業者の連携を促す機会を提供する。(新規)

2.事業引継ぎ支援事業【27年度予算:44.8億円の内数】

後継者不在等の問題を抱える中小企業・小規模事業者に対し、47都道府県の各認定支援機関に設置されている「事業引継ぎ相談窓口」において事業引継ぎ等に関する情報提供・助言等を行うとともに、事業引継ぎ支援の需要が多く、支援体制が整った地域に「事業引継ぎ支援センター」を設置する。

「事業引継ぎ支援センター」は、平成26年度末時点で、北海道、宮城、秋田、栃木、東京、長野、静岡、愛知、三重、大阪、岡山、広島、香川、愛媛、福岡、沖縄の計16か所に設置済みであり、平成27年度中に全国展開を目指す。(継続)

3.非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度の拡充【税制】

以下のとおり、事業承継税制の拡充を講じる。(以下は1代目→2代目→3代目と株式が贈与された場合を例とした。)〔1〕経営承継期間後に、2代目が3代目に株式を贈与した場合(3代目も納税猶予の適用を受けることが必要)、2代目の猶予税額は免除される。〔2〕経営承継期間内であっても、2代目がやむを得ない事情(※)で代表を辞して、3代目に株式を贈与した場合(3代目も納税猶予の適用を受けることが必要)、2代目の猶予税額は免除される。〔3〕上記〔1〕〔2〕の場合において、1代目が死亡すれば、3代目の猶予されている贈与税が相続税に切り替わる。(2代目が死亡しても相続税には切り替わらない。)(継続)

なお、何代も続いて贈与税の納税猶予を受けた場合は、最も古い時期の認定贈与に係る贈与者が死亡した場合に相続税に切り替わる。(1代目→2代目→3代目→4代目と贈与が続いた場合は、1代目が死亡したときに、4代目は相続税に切り替わる。)

※やむを得ない事情とは、主に以下のとおりである。

・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた(障害等級1級に限る)

・身体障害者手帳の交付を受けた(身体上の障害の程度が1級又は2級に限る)

・要介護認定を受けた(要介護状態区分が要介護5に限る)

4.小規模企業共済制度の見直し

小規模企業の経営者に退職金を支給する小規模企業共済制度について、経営の新陳代謝の円滑化に係る機能を強化するため、親族内への事業譲渡に係る共済事由の引き上げ等の見直しを行う。(継続)

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