平成26年度において講じた中小企業施策

第3章 下請構造から脱却し、自ら積極的に成長分野に参入する

第1節 技術力の強化

1.中小企業のものづくり基盤技術の高度化に向けた総合支援

中小ものづくり高度化法に基づき、高度化指針に沿った特定研究開発等計画について認定を行い、認定された中小企業に対して戦略的基盤技術高度化支援事業や日本公庫による低利融資などの支援を実施した。

平成27年2月に、商品の付加価値を高める技術開発を支援するため、特定ものづくり基盤技術に「デザイン開発技術」に関する分野を追加した。

【実績】(平成26年度)※平成27年2月28日時点

(・特定研究開発等計画の認定:389件(累計4,653件)

(・戦略的基盤技術高度化支援事業の新規採択件数:150件

(・融資実績:26件(累計626件)

2.新製品・新技術の試作開発や販路開拓等に取り組む中小企業への低利融資

【財政投融資】

(中小ものづくり高度化法に規定する特定ものづくり基盤技術を活用し、新製品・新技術の試作開発及び当該試作開発の成果に係る販路開拓等に取り組む者に対し、事業計画の審査により日本公庫が低利融資を実施した。平成26年度は36件(累計358件※ 平成27年2月末時点)の融資を実施した。

3.研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)【税制】

中小企業・小規模事業者等が行う研究開発活動に対して、試験研究費の12%相当額の税額控除ができる措置(税額控除限度額は当期の法人税額の30%(平成26年度末まで))を講じた。上記に加え、〔1〕試験研究費の増加額が5%を超える場合に、増加額に試験研究費の増加した割合(上限30%)を乗じた額又は〔2〕試験研究費の額が平均売上金額の10%相当額を超える場合に、その超過額に一定の割合を乗じた額を控除できる制度のいずれかを選択して適用できる措置(税額控除限度額は当期の法人税額の10%(平成28年度末まで))を講じた。

4.ものづくり中小企業・小規模事業者等連携事業創造促進事業【26年度予算:126億円】

中小企業・小規模事業者が大学、公設試験研究機関等の研究機関と連携して行う、特定ものづくり基盤技術(精密加工、立体造形等の11技術)の高度化に資する、製品化につながる可能性の高い研究・開発及び販路開拓への取組を一貫して支援した。平成26年度においては、150件の認定計画に従って行われる取組を採択した。

また、技術の市場価値を評価できる専門家の目利きを踏まえて行う、大企業や大学等の知を活用したシーズ発掘・橋渡し研究を支援した。平成26年度においては、シーズ発掘事業を1件、橋渡し研究事業を11件採択した。

5.ものづくり・商業・サービス革新事業【26年度補正:1,020.4億円】

国内外のニーズに対応したサービスやものづくりの新事業を創出するため、認定支援機関と連携して、革新的な設備投資やサービス開発・試作品の開発を行う中小企業を支援する予算を措置した。

6.地域オープンイノベーション促進事業【26年度補正:18.0億円】

地域のものづくり企業の研究開発を支え、新分野への進出を促す観点から、戦略分野に基づき地域ブロックを超えた複数の公設試験研究機関等が連携して実施する設備機器の整備、中堅・中小企業が新事業を展開する際の実現可能性調査、企業連携体が新事業展開へ取り組むためのネットワーク形成によるイノベーションの創出を支援する予算を措置した。(再掲)

第2節 販路開拓支援

1.小規模事業対策推進事業【26年度予算:18.8億円】

地域の小規模事業者による全国規模の市場に向けた事業展開を促進するため、商工会・商工会議所等が事業者と協力して進める、特産品開発や観光開発及びその販路開拓等の事業(調査研究事業:87件、本体事業(1年目:83件、2年目:39件)に対し、幅広い支援を行った。

2.各種展示会や商談会等による販路開拓支援

中小機構が農商工連携や地域資源活用等により開発した商品・サービス等や、魅力ある隠れた地域産品等について、展示会や商談会等の開催を通じて、販路開拓・拡大を支援した。平成26年5月開催の「中小企業総合展2014 in Kansai」においては、301社が出展し、24,455人が来場した。平成26年11月開催の「新価値創造展 東京」においては565社が出展し、48,550人が来場した。

3.販路開拓コーディネート事業

新事業活動促進法に基づいて経営革新計画の承認を受けた中小企業者等に対し、中小機構に配置されている商社・メーカー等出身の販路開拓の専門家(販路開拓コーディネーター)が新たな市場開拓につなげるための支援を行った。具体的な取組として、開発した新商品等を商社・企業等に紹介又は取次ぎを行い、新商品・新サービスを持つ企業のマーケティング企画から、首都圏・近畿圏を舞台に想定市場の企業へのテストマーケティング活動までの支援を行った。平成26年度(平成27年1月末現在)は104件の支援を行った。

4.販路開拓サポート支援事業

中小機構が、中小機構主催の展示会又はそれらの同時開催展等の出展企業に対し、バイヤーの招へいや販路開拓のアドバイス等を行うことにより、マッチングを促進し、中小・ベンチャー企業の販路開拓を支援した。平成26年度(平成26年12月末現在)は146件のマッチング支援を行った。

5.J-GoodTech(ジェグテック)

中小機構が、ニッチトップやオンリーワンなどの優れた技術・製品を有する日本の中小企業の情報をウェブサイトに掲載し、国内大手メーカーや海外企業につなぐことで、中小企業の国内外販路開拓を支援した。

第3節 新分野・新事業展開、異業種連携

1.中小企業技術革新制度(SBIR制度)に基づく支援

新産業の創出につながる新技術開発のための特定補助金等の指定、支出の目標額、特定補助金等を利用して開発した成果の事業化支援措置等の方針の作成等により、引き続き国の研究開発予算の中小企業・小規模事業者への提供拡大、及び技術開発成果の事業化を図った。さらに、技術開発成果の事業化を促進するため、特定補助金等の採択企業の技術力をPRするデータベースや日本公庫による低利融資等の事業化支援措置を中小企業・小規模事業者等に周知し、利用促進を図るとともに、特定補助金等への多段階選抜方式の導入拡大を図った。

2.新連携支援事業【26年度予算:10.8億円の内数】

中小企業新事業活動促進法に基づき、異分野の中小企業が連携し、その経営資源(技術、販路等)を有効に組み合わせて行う新商品・新サービスの開発・販売等の事業計画に対して認定を行い、補助金による支援を行うとともに、融資、保証の特例等により総合的な支援を実施した。平成26年度においては、44件の事業計画の認定を行った。

3.農商工等連携促進対策支援事業【26年度予算:10.8億円の内数】

農商工等連携促進法に基づき、中小企業者と農林漁業者とが有機的に連携し、それぞれの経営資源を有効に活用した新商品・新サービスの開発・販売等を行う事業計画に対して認定を行い、補助金による支援を行うとともに、融資、保証の特例等により総合的な支援を実施した。平成26年度においては、46件の事業計画の認定を行った。

4.新事業創出支援事業

中小機構の全国10支部・事務所にマーケティング等に精通した専門家を配置し、中小企業新事業活動促進法、中小企業地域産業資源活用促進法、農商工等連携促進法の枠組みにより、新事業に取り組む中小企業等に対して一貫してきめ細かな支援を行った。平成26年度(平成26年12月末現在)の支援件数は15,456件であり、内訳は、支援事務局における窓口相談2,851件、事業者の認定計画をサポートするブラッシュアップ支援3,540件、販路開拓支援等のフォローアップ支援9,065件である。

5.医工連携事業化推進事業【26年度予算:30.5億円】

医療現場が抱える課題に対する有効性評価や臨床評価を担う医療機関、開発・課医療を実現するためのものづくり技術を有する中小企業、製造や販売を見据えて目利きする企業・コーディネーターからなる「医工連携」による医療機器の事業化に向けた開発・改良、臨床評価、薬事承認対応等を支援した。平成26年度は、前年度における課題解決型医療機器等開発事業からの継続分と合わせて、53件の医療機器実用化を支援した。

6.グローバル農商工連携推進事業【26年度予算:6.8億円】

農林水産物・食品の輸出促進に向けて、商工業の先端技術・ノウハウ等を活用した生産・加工・流通システム(植物工場・コールドチェーン等)の構築と海外市場でのブランド構築を図るコンソーシアムによる実証等の取組9件に対し支援を行った。

第4節 下請脱却支援

1.下請代金法の運用強化【26年度予算:5.7億円の内数】

下請取引の公正化、下請事業者の利益保護のため、公正取引委員会と中小企業庁が密接な協力関係の下、下請代金法を執行した。また、平成26年度においても、公正取引委員会及び中小企業庁が親事業者等に対して書面調査等を実施した。加えて、下請代金法違反事実に関する情報提供・申告等を行うための「申告情報受付窓口」により、下請代金法違反に関する情報収集を行い、下請代金法の厳格な運用に努めた。さらに、11月に実施した「下請取引適正化推進月間」においては、特別事情聴取を実施し、下請代金法の厳格な運用を図った。また、年末の金融繁忙期に向けた下請事業者の資金繰り確保の点から、親事業者代表取締役(約20万社)及び関係事業者団体代表者(645団体)に対し、経済産業大臣、公正取引委員会委員長の連名で、下請代金法に基づく下請取引の適正化の要請文を発出し、同法の周知徹底を図った。

2.相談体制の強化と下請取引適正化に関する普及啓発【26年度予算:5.7億円の内数】

全国48か所に設置した「下請かけこみ寺」において、中小企業の企業間取引に関する相談に対応した(平成26年度の相談件数は5,473件、無料弁護士相談681件)。また、下請代金法等の違反行為を未然に防止するため、親事業者の調達担当者等を対象とした講習会を151回開催し、一層の周知を図ったほか、全国8会場で親事業者の取組事例等を紹介し、広く下請代金法等の遵守を呼びかけるシンポジウム等を開催した。さらに、親事業者と下請事業者の望ましい取引関係を構築するためのガイドライン(下請適正取引等の推進のためのガイドライン)について、16業種のガイドラインの説明会を233回開催した。

3.下請中小企業・小規模事業者の自立化支援【26年度予算:7.0億円の内数】

改正下請中小企業振興法(平成25年9月20日施行)に基づき、特定の親事業者への取引依存度の高い下請中小企業・小規模事業者が連携して課題解決型ビジネスを行う事業計画の認定を行い、補助金、融資、保証の特例により支援を実施した。また、親事業者の生産拠点が閉鎖又は縮小(予定も含む)された地域における下請中小企業等が行う新分野進出等に対し、補助金により支援を実施した。

4.下請取引あっせん、商談会による販路開拓支援【26年度予算:0.5億円の内数】

新たな取引先を開拓したい下請中小企業に対して、「ビジネス・マッチング・ステーション(BMS)」の運用により、自社の希望する業種、設備、技術等の条件に合った製造委託等の受発注情報の提供を行った。平成27年3月末現在の登録企業数は26,172社である。また、新たな販路開拓を支援するため、広域商談会を8会場で開催した。

5.下請事業者への配慮要請等【26年度予算:5.7億円の内数】

下請中小企業振興法に基づく下請事業者及び親事業者がよるべき一般的基準(振興基準)等について、講習会等で周知を図った。

第5節 技術・技能の伝承

1.小規模事業者等人材・支援人材育成等事業【26年度予算:4.7億円】

小規模事業者を支援する経営指導員等が、個々の小規模事業者の強みを分析し、その強みに応じた対策を提案・実行できるようにするため、全国各地で研修等を行った。

また、中小サービス事業者の次世代経営者候補等を対象として、成功企業のDNAを体得する機会を提供するほか、地域に根付いて地域のサービス業活性化のために企画立案やコーディネートする人材を育成した。

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