平成26年度において講じた中小企業施策

第2章 中小企業の新陳代謝を活発にする

第1節 起業・創業支援

1.創業促進補助金(事業者向け)

新たな需要を創造する新商品・サービスを提供する創業者(第二創業者含む)に対して、店舗借入費や設備費等の創業に要する費用の一部の支援を行った。平成26年度は3,124件の採択を行った。

2.創業・第二創業促進補助金【26年度補正:50.4億円】

女性・若者等の創業者や、事業承継を契機に既存事業を廃業し、新分野に挑戦する等の第二創業者に対して、店舗借入費や設備費等(第二創業の場合、廃業コストを含む)に要する費用の一部の支援を行うこととした。また、産業競争力強化法における創業支援事業者が認定創業支援事業計画に基づき行う創業者支援の取組に要する費用の一部を支援する予算を措置した。

3.新創業融資制度【財政投融資】

新創業融資制度とは、新たに事業を開始する者や事業を開始して間もない者に対し、無担保・無保証人で日本公庫が融資を行う制度である。平成26年度は平成27年2月末までに、18,808件、731億円の融資を実行し、平成13年度の制度創設から平成27年2月末までの融資実績は、累計で130,400件、4,513億円となった。

4.中小企業新陳代謝円滑化普及等事業【26年度補正:23.9億円】

中小企業・小規模企業の経営者の計画的な事業承継や廃業の備えのため、企業の新陳代謝に関する施策の講習会・説明会の開催や個別相談員の派遣などを実施する予算を措置した。

5.女性、若者/シニア起業家支援資金【財政投融資】

多様な事業者による新規事業の創出を支援するため、女性や30歳未満の若者、55歳以上の高齢者のうち、開業して概ね7年以内の者を対象に、日本公庫(中小企業事業・国民生活事業)が優遇金利で融資する制度である。平成11年の制度創設から平成27年2月末までの融資実績は、累計で125,916件、6,512億円となった。

6.新事業育成資金(グローバル展開志向創業支援関連)【財政投融資】

高い成長性が見込まれる新たな事業を行い、海外を含めたマーケティングを踏まえた自社製品開発や、国内外への販路開拓等を行う中小企業者を対象に、日本公庫による優遇金利を適用する融資制度である。平成23年12月の制度創設から平成27年2月末までの融資実績は、累計で13件、5.2億円となった。

7.再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)【財政投融資】

日本公庫が、いったん事業に失敗した起業家の経営者としての資質や事業の見込み等を評価することにより、再起を図る上で、困難な状況に直面している者に対して融資を実施した。平成26年度(平成27年2月末時点)の貸付実績は、403件、15億円となった。

8.創業者向け保証

民間金融機関による創業者への融資を後押しするため、信用保証協会において、これから創業する者又は創業後5年未満の者等を対象とする保証制度である。平成26年度(平成26年12月末現在)の保証承諾実績は、10,247件、467億円であった。

9.ファンド出資事業(起業支援ファンド、中小企業成長支援ファンド)

民間の投資会社が運営する投資ファンドについて、中小機構が出資(ファンド総額の1/2以内)を行うことで、民間資金の呼び水としてファンドの組成を促進し、創業又は成長初期の段階にあるベンチャー企業(中小企業)や新事業展開等により成長を目指す中小企業への投資機会の拡大を図る事業である。起業支援ファンドについては、累積出資先ファンド数90件、出資約束総額1,452億円、累積投資先企業数2,327社に至った(平成26年3月末現在)。また、中小企業成長支援ファンドについては、累積出資先ファンド数65件、出資約束総額3,329億円、累積投資先企業数644社に至った(平成26年3月末現在)。

10.地域創業促進支援委託事業【26年度予算:7.5億円】

全国227か所にて「創業スクール」を開催し、創業予備軍の掘り起こしをはじめ、創業希望者の基本的知識の習得からビジネスプランの策定までを支援した。

11.先端課題に対応したベンチャー事業化支援等事業【平成26年度補正:11.6億円】

成長力のある起業家に対して、ベンチャーキャピタル(VC)や起業経験者等が経営支援を実施することにより、新事業の創出を図る。また、これらの起業家や支援人材、大企業等によるネットワークの形成等を図り、新事業創出ノウハウの普及等による人材育成や事業連携等を促進し、新事業創出のための環境整備を図る予算を措置した。

12.エンジェル税制【税制】

創業後間もないベンチャー企業への個人投資家(エンジェル)による資金供給を促進するため、一定の要件を満たす中小企業に対して、個人投資家が投資を行った時点と、当該株式を譲渡した時点において所得税の優遇を受けることができる制度である。平成9年の制度創設から、平成27年2月末までに、累計で423社に対し、約117.7億円の投資が行われた。

13.企業のベンチャー投資促進税制【税制】

企業が、産業競争力強化法に基づき経済産業大臣の認定を受けたベンチャーファンドを通じてベンチャー企業に出資した場合に、その出資額の8割を限度として損失準備金を積み立て、損金算入することができる制度である。

14.起業・創業時に必要となるリスクマネーの供給強化

産業革新機構のベンチャー案件等に係る手続簡素化措置等を通じてベンチャー企業への支援を促進するとともに、株式会社日本政策投資銀行や株式会社商工組合中央金庫(以下、「商工中金」という。)の活用等により、起業・創業時及び事業化に必要となるリスクマネーの供給を図った。

15.地域における創業支援体制の構築

地域の創業を促進させるため、産業競争力強化法において、市区町村が民間の創業支援事業者と連携して創業支援事業計画を作成し、国の認定を受けた場合、計画に基づく創業支援を受けた創業者に対し、信用保証の拡充、税制(株式会社の設立登記に係る登録免許税の軽減)等の支援を行うとともに、創業支援事業者に対し信用保証等の支援を行った。平成26年度においては、186件(207自治体)の事業計画の認定を行った。

16.地域経済循環創造事業交付金【26年度予算:15.0億円】

産学金官地域ラウンドテーブルを構築し、地域の資源と資金(地域金融機関の融資等)を活用して、雇用吸収力の大きい地域密着型企業を立ち上げる「ローカル10,000プロジェクト」を推進するため、民間事業者が事業化段階で必要となる初期投資費用等に対して、地方自治体が助成する経費に対し、交付金を交付した。(再掲)

第2節 承継支援

1.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度(事業承継税制)【税制】

事業承継税制は、後継者が経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の株式等を先代経営者から相続、遺贈又は贈与により取得した場合において、その後継者が事業を継続することを前提に、相続税・贈与税の納税を猶予し、後継者の死亡等の一定の場合には猶予税額を免除する制度である。平成21年度より事業承継税制の適用の基礎となる認定を開始し、平成27年2月末までに、相続税に係る認定を651件、贈与税に係る認定を346件実施した。

2.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度(事業承継税制)の拡充【税制】

平成25年度税制改正において、適用要件の緩和等、事業承継税制の拡充が図られ、一部を除き平成27年1月以後の相続、遺贈又は贈与から適用されることとなった。主な改正内容は以下のとおりである。

(1)後継者は、先代経営者の親族に限定されていたが、親族外承継も適用対象となった。

(2)雇用の8割以上を「5年間毎年」維持する要件について、雇用の8割以上を「5年間平均」で評価することとなった。

(3)要件を満たせず納税猶予打ち切りの際は、納税猶予額に加え利子税の支払いが必要となるが、利子税の税率が引き下げられる(現行2.1%から0%へ。平成26年1月から。)とともに、承継から5年を超えての打ち切りの場合には5年間の利子税が免除されることとなった。

(4)民事再生、会社更生、中小企業再生支援協議会での事業再生の際にも、納税猶予額を再計算し、猶予税額を一部免除されることとなった。

(5)贈与税の納税猶予制度の適用要件のうち、現経営者が贈与時に役員を退任するとの要件について、贈与時に代表者を退任するとの要件に改められた。

(6)納税猶予制度の利用の前に、経済産業大臣の事前確認を受ける必要があったが、事前確認を受けていなくても制度利用が可能となった(平成25年4月から)。

3.事業引継ぎ支援事業【26年度予算:44.4億円の内数】

後継者不在等の問題を抱える中小企業・小規模事業者に対し、47都道府県の各認定支援機関に設置されている「事業引継ぎ相談窓口」において事業引継ぎ等に関する情報提供・助言等を行うとともに、事業引継ぎ支援の需要が多く、支援体制が整った地域に「事業引継ぎ支援センター」を設置した。

「事業引継ぎ支援センター」は、平成26年度に秋田、広島、沖縄、三重、香川、栃木に新たに設置し、平成26年度末時点で、北海道、宮城、秋田、栃木、東京、長野、静岡、愛知、三重、大阪、岡山、広島、香川、愛媛、福岡、沖縄の計16か所に設置済みである。

また、平成26年度より事業引継ぎ支援全国本部を中小機構に設置し、全国の「事業引継ぎ相談窓口」、「事業引継ぎ支援センター」に対する指導、助言等の支援業務を実施した。

4.小規模企業共済制度【中小機構交付金の内数】

小規模企業共済制度とは、小規模企業者である個人事業主や会社等の役員が掛金を積み立て、廃業や引退をした際に共済金を受け取れる制度であり、いわば小規模企業の経営者のための「退職金制度」である。平成26年12月末現在で124.3万人が在籍しており、平成26年4月から12月までの新規加入者は5.7万人に上った。

5.経営承継円滑化法による総合的支援

経営承継円滑化法には、遺留分の制約を解決するための民法の特例をはじめとした総合的支援が盛り込まれており、平成27年2月末までに、民法特例の適用の基礎となる経済産業大臣の確認を85件実施した。

6.事業承継円滑化支援事業【中小機構交付金の内数】

全国各地で中小企業の事業承継を広範かつ高度にサポートするための事業承継支援ネットワーク体制の形成、中小企業支援者向けの研修や事業承継フォーラムによる中小企業経営者等への普及啓発を実施した。

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