平成26年度において講じた中小企業施策

第4章 海外に打って出る

第1節 海外展開の支援

1.中小企業・小規模事業者海外展開支援事業【26年度予算:22.8億円の内数】

独立行政法人日本貿易振興機構(以下、「ジェトロ」という。)及び中小機構が連携して、中小企業の海外展開を支援した。具体的には、ジェトロが、海外販路や技術等を有する外国企業とのマッチングやASEAN等での展示会・商談会の開催などを通じて、海外販路開拓を支援するとともに、12か国17か所に設置した中小企業海外展開現地支援プラットフォームにより海外での法務・労務等の課題解決や移転・撤退等の支援を行った。また、中小機構において、認定支援機関などの民間支援機関に対する海外展開支援研修や、優れた支援機関へのインターンシップによる実践的な支援ノウハウの習得を図る研修を実施した。

2.中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業【26年度予算:22.8億円の内数】

ジェトロ及び中小機構が連携して、中小企業の海外展開を支援した。具体的には、中小機構が、海外展開を目指す中小企業の裾野拡大のため、経験の少ない中小企業に対し、海外展開戦略策定支援や商品パンフレットの外国語対応支援等海外展開に向けた準備支援を実施するとともに、多数の海外バイヤーが訪れる国内見本市における支援を実施した。また、ジェトロにおいては、広範なネットワークを活用し、中小企業に対する海外見本市への出展支援や海外バイヤーを招へいした商談会の開催、ビジネスマッチングの機会提供、海外市場等に関する各種情報の提供や現地における各種支援等を実施した。

3.地域中堅・中小企業海外販路開拓支援事業【26年度補正:14.9億円】

中堅・中小企業・小規模事業者が、新興国等への海外展開に取り組む際の経費等(専門家雇用費、登記代行委託費など)の一部を助成することで、中堅・中小企業の海外販路開拓の実現を支援する予算を措置した。

4.海外情報提供事業【26年度予算:0.5億円】

日台間の産業協力を促進するため、交流協会が行う台湾企業の情報収集・提供や日台間の企業連携のためのセミナー・商談会を支援した。

平成26年度は、セミナーを16回、商談会を6回実施した(平成27年2月27日現在)。

5.新興市場開拓人材育成支援事業【26年度予算:12.1億円】

開発途上国の経済発展と我が国企業の海外事業展開を支援するため、経営・製造・オペレーション等に従事する開発途上国の管理者・技術者等に対し、官民連携の下、日本への受入研修、専門家派遣による指導等を支援。平成26年度は1,332名の研修及び71名の専門家派遣を実施した。

6.貿易投資促進事業【26年度予算:19.6億円の内数】

今後の急成長が見込まれる新興国市場獲得のため、以下2事業を実施した。

(1)インフラ受注率を高めるため、我が国技術等の優位性の理解促進を目的とした研修及び専門家派遣を実施。平成26年度は16件の研修及び2件の専門家派遣を実施。

(2)中小企業の海外展開やインフラビジネス獲得に向けた「国際即戦力人材」育成のため、我が国若手人材の海外インターンシップを実施。平成26年度は191名の若手人材を17か国に派遣。

7.青年海外協力隊における民間連携ボランティア制度の活用【26年度予算:1.6億円】

国際協力機構においては青年海外協力隊事業を活用し、特定の途上国を熟知した人材と企業が必要とする人材のマッチング促進を行うとともに、各企業及び途上国のニーズに合わせ、社員を青年海外協力隊・シニア海外ボランティアとして途上国に派遣する民間連携ボランティア制度を活用し、グローバル社会で活躍できる人材の育成に努めた。

8.海外展開資金【財政投融資】

経済の構造的変化に適応するために海外展開することが経営上必要な中小企業の資金繰りを支援するため、日本公庫(中小企業事業、国民生活事業)による融資を実施した。平成26年度(平成27年2月末現在)の貸付実績は、1,108件、213億円となった。

9.海外子会社の資金調達支援等

中小企業経営力強化支援法に基づき、日本公庫が、新事業活動促進法の経営革新計画の承認等を受けた中小企業者の海外子会社等の現地金融機関からの借入れに対して債務保証を実施した。平成26年度(平成26年12月末現在)においては、40件の保証を行った。

10.グローバルニッチトップ支援貸付制度【財政投融資】

特定分野に優れ、世界で存在感を示す中堅中小企業(グローバルニッチトップ企業)やその候補となる中堅・中小企業等の戦略的な海外展開を支援するため、商工中金がグローバルニッチトップ支援貸付制度により、長期・一括返済・成功払い金利による融資を行った。平成26年度の実績は、112件、135億円となった(平成27年3月末現在)。

11.中小企業の貿易保険利用における企業信用調査料の減免措置

中小企業の貿易保険を活用した輸出支援のため、貿易保険を利用する際に必要な取引先の信用情報の提供について、独立行政法人日本貿易保険(以下、「NEXI」という。)がその費用を負担する措置を引き続き講じた。平成26年度は375件の利用があった(平成27年2月24日現在)。

12.中小企業による貿易保険の利用促進のための普及・広報活動(セミナー・相談会等)

中小企業による貿易保険の利用を促進するため、中小企業向けのホームページを刷新した。更に、平成26年度は全国でNEXIが主催するセミナーや個別相談会を開催するとともに、中小企業関係機関等が主催するセミナーや提携地方銀行等の行員勉強会などにNEXIから講師を派遣し、貿易保険の普及啓発を行った(講師派遣数は85件)。合わせて中小企業への客先同行を165社実施し、貿易保険の認知度向上と利用拡大に取り組んだ。

13.貿易保険へのアクセス改善

中小企業の海外展開を支援するため、NEXIは、平成23年12月に地方銀行11行との提携による「中小企業海外事業支援ネットワーク」を発足した。平成24年度の18行、平成25年度の20行追加に加えて、平成26年度は6行と提携し、計55行にネットワークを拡大した。さらに、平成25年度に22の信用金庫と提携を行うことによって信金ネットワークを構築し、これらによって全国77金融機関によるネットワーク構築に至った。

同ネットワークを形成することを通じて、地域の中小企業の貿易保険へのアクセス改善等、利便性の向上を図った。

14.安全保障貿易管理の支援

外国為替及び外国貿易法に基づく安全保障貿易管理の実効性向上のため、全国各地で説明会を約60回開催した。その他、中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業との連携による専門家派遣等を通じ、輸出や技術提供を行う中小企業における安全保障貿易管理に係る自主管理体制の整備を支援した。

15.BOPビジネスの推進【26年度予算:1.5億円】

BOP/ボリュームゾーン・ビジネスを推進するため、ジェトロでは、30件を越える個別企業の事業フェーズに応じた一貫した支援を実施した。また、現地コーディネーターを南西アジアやアフリカに加え、ウズベキスタン、カザフスタンの計11か所に配置し、支援体制を強化した。さらに、中央アジアへのミッション派遣やナイジェリア及びバングラデシュでの受容性調査及びアフリカビジネス実証事業などを実施した。

16.中小企業等の製品・技術等とODAのマッチング事業【26年度予算:45.5億円、26年度補正:22.2億円】

ODAにより、日本の中小企業等の優れた製品・技術等を途上国の開発に活用することで、途上国の開発と日本経済の活性化の両立を図ることを目的としている。平成26年度は、101件の事業を採択。(ニーズ調査4件、案件化調査51件、普及・実証事業46件(平成27年3月現在))

17.中小企業海外高度人材育成確保支援事業【26年度予算:0.5億円】

中小企業・小規模事業者の優秀な現地人材の確保のため、タイ、ベトナム、インドネシアの大学・高専等との連携による現地でのジョブフェア、企業文化講座を実施した。平成26年度は、タイ、ベトナム、インドネシアにおいて、計7回のジョブフェア及び計16大学等と連携した日本企業文化講座を実施した。

18.中堅・中小・小規模事業者新興国進出支援専門家派遣事業【26年度補正:15.0億円】

引き続き、新興国進出に取り組もうとする中堅・中小・小規模事業者に対し、新興国でのビジネス経験・ノウハウが豊富な企業OB等のシニア人材を派遣し、事業リスクの高い新興国への進出支援する予算を措置した。

19.中小企業ノン・プロジェクト無償資金協力【26年度予算:24.0億円、26年度補正:30.0億円】

途上国政府の要望や開発ニーズに基づき、日本の中小企業の製品を供与することを通じ、その途上国の開発を支援するのみならず、中小企業の製品に対する認知度の向上等を図るもの。具体的には、途上国の開発ニーズに基づく中小企業の製品リスト(注:個別の商標名のリストでない)を医療や農業、職業訓練等の分野ごとにパッケージとして途上国側に提示し、途上国側の要請内容に基づいた製品を供与した。平成26年度の実績は13件(当初予算12件+補正予算1件)となった。(平成27年3月現在)

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