第1部 平成26年度(2014年度)の中小企業・小規模事業者の動向

10 同一企業規模内における企業の売上高経常利益率の比較

これまで、企業規模間の比較を通じて企業の収益力の特徴を確認してきたが、以降では、同一企業規模内における企業の収益力の比較を通じて、その特徴を確認していく。同一企業規模内で売上高経常利益率が上位25%の企業(以下、「高収益企業」という。)と下位25%の企業(以下、「低収益企業」という。)の売上高経常利益率の平均を比較すると、どの規模で見ても全産業でその差が拡大傾向にあることが分かる(第1-3-8図)。また、低収益企業における大企業と中規模企業・小規模企業を比べると、大企業が底堅く推移しているのに対して中規模企業・小規模企業は悪化しており、特に小規模企業で大きく悪化している。これに対して、高収益企業においては、大企業、中規模企業・小規模企業ともに同様に高水準で推移しており、全体の平均値で見た際に観察される大企業と中規模企業・小規模企業の売上高経常利益率の差の拡大は、低収益の中規模企業・小規模企業の収益悪化によって生じている面もあるものと考えられる。

第1-3-8図 同一企業規模間における売上高経常利益率の比較
Excel形式のファイルは こちら

業種別に見ても、全産業と同様の傾向が確認されるが、製造業における高収益企業を見ると、小規模企業の売上高経常利益率が2000年代後半以降、大企業の利益率を上回っている点が特徴的である。

前の項目に戻る 次の項目に進む