第1部 平成26年度(2014年度)の中小企業・小規模事業者の動向

2 消費の動向

以降では、最近の我が国経済の動きについて、需要項目ごとに詳細に確認していく。

第一に、消費の動向について見ていく(第1-1-4図)。内閣府「消費総合指数」4により、2010年を100とした指数で消費の動向を見ると、2012年末から2014年2月までの間は、消費が持ち直し傾向で推移し、2014年3月には消費税率引上げに伴う駆け込み需要により大きく増加したが、同年4月には駆け込み需要の反動もあり弱い動きとなった。続く5、6月には引き続き弱い動きを示しつつも、徐々に反動からの持ち直しの動きが見られるようになったが、7、8月は天候不順の影響もあり、再び弱い動きとなった。9月以降は、底堅い動きで推移している。

4 消費総合指数とは、消費の動向を需要面と供給面の双方から捉えるため、需要面の統計である家計調査と、供給面の統計である鉱工業出荷指数、特定サービス産業動態統計等を加工・統合し、作成した指数。

第1-1-4図 消費総合指数の推移
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消費税率引上げが消費の動向に与えた影響について、1997年の引上げ時との比較を通じてその特徴を確認する。消費税率引上げ前年の4月(1996年4月、2013年4月)の水準を100とした指数で、消費税率引上げ前後の消費の動きを見ると、1997年当時の消費の動きは、消費税率引上げ前の駆け込み需要で1997年3月に106.6に上昇した後、同年4月には反動により減少したものの、同年5月には100.5まで回復し、その後、半年程度でおおむね消費税率引上げ前の水準まで戻っている(第1-1-5図)。他方、今回の引上げについて見てみると、消費税率引上げ前の駆け込み需要の反動により2014年4月には96.2まで落ち込み、その後は緩やかに回復しているが、依然100を超えることはなく、弱さが残る状況が続いている。こうした消費の回復の遅れは、前回引上げ時の動きとは異なっているが、弱い動きの背景には、先述の夏の天候不順等の影響もあるものと考えられる。

第1-1-5図 消費税率引上げ前後の消費総合指数の推移(1997年引上げ時との比較)
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