第4節 まとめ
本章では、支援機関の支援力強化に向けた取組について確認した。
第1節では、中小企業・小規模事業者における、支援機関の活用状況とその効果等について概観した。支援機関は事業者に幅広く利用されており、支援機関の活用が事業者の業績や集客力の向上につながっている可能性が示唆された。支援機関は足下で、事業者から資金繰り、販路開拓、人材確保といった経営課題の相談を受ける頻度が高く、支援機関によって対応する頻度の高い経営課題に違いがある様子が見て取れた。また、事業者の規模によって支援ニーズに違いがあることも見て取れた。他方で、支援機関の存在や、その利用方法、得意分野・強み等が分からず活用していない事業者も一定数存在し、支援機関側の周知活動には、改善の余地がある可能性が示唆された。
第2節では、支援機関の取組状況、支援機関が抱えている課題、支援の質の維持・向上に向けた取組について確認した。支援先事業者の経営課題が多様化・複雑化する中で、事業者を支える支援機関は、「経営力再構築伴走支援ガイドライン」に基づく「対話と傾聴」を通じて、事業者の本質的な課題の解決に向けて、より丁寧に支援を行っている様子が推察された。一方で、地方圏を中心に相談員の不足感が高まっており、「支援ノウハウ・知見の蓄積」等に課題を感じていることが分かった。こうした中、支援機関は支援の質の維持・向上に向けて、他機関や自機関の他拠点との連携、相談員の能力開発を重視して取り組んでいることが分かった。実際に他機関と連携している支援機関ほど事業者の経営課題を解決できている割合が高い傾向にあり、支援機関同士の連携が支援の質の向上に有効であることが示唆された。他方で、支援機関同士の連携を推進するに当たって、連携の仕組みの整備や、他機関の特徴や強みの理解が課題であることも明らかになった。
第3節では、支援機関及び地方公共団体における強みの理解と連携強化について確認した。足下で、支援機関及び地方公共団体の約8割が他機関と連携しており、機関によって連携先に違いがあることが分かった。次に、支援機関及び地方公共団体の強みをいかした有機的な連携構築に向けて、自機関の強みと感じる点、自機関に不足していると感じる点を確認した。各機関が強みと感じる点、不足していると感じる点は大きく異なっており、それぞれの機関に特色があることや、互いの強みをいかした効果的な支援体制を構築することができる可能性が示唆された。他方で、自機関の支援内容や得意分野が、他機関から十分に認識されていない状況も分かり、支援機関及び地方公共団体が改めて自機関の強みを整理し、他機関に発信していくことが、連携強化につながる可能性が示唆された。最後に、支援機関及び地方公共団体が今後連携を強化していきたい先を確認したところ、いずれの機関でも「金融機関」との連携を期待している様子などが確認できた。