第12節 まとめ
第3章では、我が国経済の動向について概観するとともに、中小企業・小規模事業者の動向及び中小企業・小規模事業者を取り巻く経営環境を確認した。
まず、我が国経済は、感染症の5類移行や半導体不足の緩和等を受け、2023年4-6月期の実質GDPは3四半期連続のプラス成長となった。また、中小企業の業況判断DIは全産業で約30年ぶりの高水準に回復しており、設備投資も伸びている兆候が見られ、投資意欲が拡大しつつあることが分かった。
一方で、円安による物価高は継続しており、中小企業において収益が悪化している状況も見られる。また、少子高齢化による後継者不足や、構造的な人手不足の課題が再び顕在化しており、事業承継の必要性や、新卒・中途採用や外国人材の採用意向が高まっている状況を確認した。こうした外部環境の変化を受けて、中小企業の経営課題も、感染症による売上不振から、原材料高や求人難に移り変わっていることが分かった。また、ロシアによるウクライナ侵略の長期化などを受けて、中小企業においても、地政学リスクが一定程度実感されていることを確認した。