第3章 創業・事業承継を通じた挑戦・自己変革の推進

第1節 創業支援

1.経営者保証を徴求しない新たな創業時の信用保証制度

2023年3月より、起業・創業の促進を目的に、経営者保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度として、スタートアップ創出促進保証制度を開始。創業者又は創業予定者等の創業資金の円滑な資金繰り支援のために、創業関連保証と併せて引き続き措置する。

2.ファンド出資事業(起業支援ファンド、中小企業成長支援ファンド)

民間の投資会社が運営する投資ファンドについて、中小企業基盤整備機構が出資(ファンド総額の1/2以内又は4/5以内)を行うことで、民間資金の呼び水としてファンドの組成を促進し、創業又は成長初期の段階にあるベンチャー企業(中小企業)、新事業展開等により成長を目指す中小企業への投資機会の拡大を図る。

3.起業家教育事業【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画の認定を受けた市区町村等における創業機運の醸成に資する取組として、若年層向け起業家教育の導入を推進する。

4.ローカルスタートアップ支援制度

地域の活性化を加速化し、地域から全国へとボトムアップの成長に向け、事業立ち上げの各段階に応じて支援するローカルスタートアップ支援制度を創設し、地域でのスタートアップを幅広く支援。

5.新創業融資制度【財政投融資】

株式会社日本政策金融公庫が、新たに事業を開始する者や新規開業して税務申告を2期終えていない者に対し、無担保・無保証人で融資を実施する。

6.女性、若者/シニア起業家支援資金【財政投融資】

女性や35歳未満の若者、55歳以上の高齢者のうち、新たに事業を開始する者または、新規開業して概ね7年以内の者を対象に株式会社日本政策金融公庫が優遇金利を適用し、多様な事業者による新規事業の創出を支援する。

7.再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)【財政投融資】

株式会社日本政策金融公庫が、新たに事業を開始する者又は開業後概ね7年以内の者で、事業に失敗した起業家の経営者としての資質や事業の見込み等を評価することにより、再起を図る上で、困難な状況に直面している者に対して融資を実施する。

8.中小企業・小規模事業者経営力強化融資【財政投融資】

株式会社日本政策金融公庫が、認定経営革新等支援機関による指導及び助言を通じ経営革新又は異分野の中小企業と連携して新分野の開拓等を行う中小企業の経営力や資金調達力の強化を支援するため、必要な資金の貸付を行う。

9.創業支援貸付利率特例制度【財政投融資】

新たに事業を開始する者又は新規開業後税務申告を2期終えていない者への貸付利率を引下げ、創業前・後の円滑な資金調達を支援し、創業しやすい環境の創出や創業機運の醸成を図る。

10.経営革新支援事業

中小企業等経営強化法に基づき、中小企業が新たな事業活動を行うことで経営の向上を図ることを目的として作成し、承認された経営革新計画に対し、低利の融資制度や信用保証の特例等の支援策を通じ、その事業活動を支援する。

また、都道府県に対し、2022年度に構築したシステムを用いた経営革新計画の電子申請の普及を図る。

11.オープンイノベーション促進税制【税制】

スタートアップ企業と事業会社の協働によるオープンイノベーションを促進する観点から、イノベーションの担い手となるスタートアップ企業へ資本金の増加を伴う現金による出資を行う事業会社に対し、税制措置(法人税の所得控除)を講じる。また、令和5年度税制改正により、事業会社によるスタートアップ企業のM&Aを後押しする観点から、発行済株式を取得した場合にも適用可能とする拡充を行った。

12.地域における創業支援体制の構築【税制】

地域の創業を促進させるため、産業競争力強化法において、市区町村が民間の創業支援事業者等と連携して創業支援等事業計画を作成し、国の認定を受けた場合、計画に基づく特定創業支援等事業を受けた創業者に対し、信用保証の特例、税制(登録免許税半減)等の支援を行うとともに、創業支援事業者に対し信用保証等の支援を行う。

13.わたしの起業応援団

2020年12月に設立した「わたしの起業応援団」において、女性起業家の支援事例や支援手法・関係省庁の施策情報の共有を行うとともに、引き続き女性起業家支援に携わる自治体等の担当者に対する研修を実施する。

また、支援を求める女性起業家のニーズに応えるべく、応援団を構成する支援機関の支援対象・支援手法を整理し、公開する。

これらにより、女性起業家の起業・創業の活性化を図っていく。

14.スタートアップ・エコシステムの抜本的強化【税制】

個人からスタートアップへの投資と起業を一層促進するため、令和5年度税制改正にて保有株式の譲渡益を元手に創業者が創業した場合やエンジェル投資家がプレシード・シード期のスタートアップに再投資を行った場合に、再投資分につき上限を20億円として、株式譲渡益に課税しない制度を創設する。引き続き本税制の普及啓発を実施し、スタートアップの起業と資金供給の環境整備を図る。

第2節 事業承継・引継ぎ・再生等の支援

1.事業承継総合支援事業【令和4年度補正予算67億円の内数、令和5年度予算157億円の内数】

全国の認定支援機関等に設置された事業承継・引継ぎ支援センターにおいて、後継者不在の中小企業・小規模事業者と事業等の譲受を希望する事業者とのマッチング支援や、プッシュ型の事業承継診断・事業承継計画の策定支援等を実施する。また、事業承継・引継ぎの機運醸成に向けた普及啓発や、M&A支援機関の登録制度といった事業承継・引継ぎ推進に係る基盤整備を実施する。

2.後継者支援ネットワーク事業【令和5年度当初予算:2.1億円】

後継者による既存事業及び経営資源の活用を踏まえた新規事業等の企画・実行に向けた具体的な行動を引き出すため、後継者向けのピッチイベントを開催する。ピッチイベントを通じた、後継者の掘り起こし並びに後継者同士、先輩経営者とのつながり強化も図る。さらに、ピッチイベント出場者には先輩経営者等を派遣し、事業計画の磨き上げ等を実施する。

3.中小企業活性化事業【令和5年度当初予算:157.0億円の内数】

各都道府県の商工会議所等に設置した中小企業活性化協議会において、事業の収益性はあるが、増大する債務等により経営状況が悪化した中小企業・小規模事業者に対し、資金繰り管理や採算管理などの早期の収益力改善、経営改善から抜本的な事業再生に向けた支援等を行うとともに、経営改善計画策定支援事業を活用し、民間専門家との連携を図ることで、同協議会がハブとなり、中小企業・小規模事業者の収益力改善・事業再生・再チャレンジを地域全体で推進していく。

4.中小企業再生ファンド

事業再生に取り組む中小企業への経営支援や資金供給等を実施するため、中小企業基盤整備機構と地域金融機関、信用保証協会等が一体となって、中小企業の再生を地域内で支援する地域型ファンドや、広域的に支援する全国型ファンドの組成・活用の促進に取り組み、新型コロナウイルス感染症の影響等により高まる中小企業の再生支援のニーズに万全を期す。

5.中小企業経営力強化支援ファンド【令和2年度第1次補正予算100億円の内数、令和2年度第2次補正予算600億円の内数および令和3年度補正予算750億円の内数】

長期化する新型コロナウイルス感染症の影響等により業況が悪化した、地域経済の中核となる中小企業等の経営力強化と成長を支援する。具体的には、中小機構からの出資も呼び水に、官民連携の全国ファンド等を組成した上で、資本性資金の投入ときめ細やかなハンズオン支援を行うことで、経営力の強化と成長を図り、事業再構築や事業再編を促進する。

6.事業承継円滑化支援事業

全国各地で中小企業の事業承継を広範かつ高度にサポートするため、中小企業支援者向けの研修や事業承継フォーラムによる中小企業経営者等への普及啓発を実施する。

7.中小企業の経営資源の集約化に資する税制【税制】

経営資源の集約化によって生産性向上等を目指す計画の認定を受けた中小企業が、計画に基づくM&Aを実施した場合に、〔1〕設備投資減税〔2〕準備金の積立を認める措置を講じる。

8.個人版事業承継税制【税制】

平成31年度税制改正において、「個人版事業承継税制」を創設し、2019年からの5年以内に個人事業承継計画を提出し、10年以内に実際に承継を行う者を対象に、事業用資産に係る贈与税・相続税の納税を猶予・免除する特例措置を講じる。

9.法人版事業承継税制(特例措置)【税制】

2018年からの6年以内に特例承継計画を提出し、10年以内に実際に承継を行う者を対象に、非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税を猶予・免除する特例措置を講じる。

10.中小企業・小規模事業者の事業再編等に係る税負担の軽減措置【税制】

M&Aにより経営資源や事業の再編・統合を通じて事業の継続・技術の伝承等を図る事業者を支援するため、中小企業等経営強化法上の認定を受けた経営力向上計画に基づいて再編・統合を行った際にかかる登録免許税・不動産取得税を軽減する措置を講じる。

11.経営承継円滑化法による総合的支援

経営承継円滑化法に基づき、相続人間の一定の合意により、遺留分に伴う相続紛争を防止するため、民法の特例措置を講じる。また、事業承継に伴う各種資金ニーズに対応するための金融支援措置を講じる。さらに、事業承継(M&Aを含む)に伴う株式の集約を円滑化するため、所在不明株主からの株式買取り等の手続きに必要な期間を5年から1年に短縮する会社法の特例措置を講じる。

12.小規模企業共済制度

小規模企業共済制度は、小規模企業者である個人事業主や会社等の役員が掛金を積み立て、廃業や引退をした際に共済金を受け取れる制度であり、いわば小規模企業の経営者のための「退職金制度」である。引き続き、制度への加入促進と共済金等の支給を着実に実施する。

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