第4節 まとめ
本章では、小規模事業者が感染症下で取り組んだ事業の見直しについて、現下の売上回復・維持・向上に向けた取組と、中長期を見据えて持続的な成長を目指す取組に分けて確認した。
第1節では、多くの小規模事業者が2021年においても引き続き感染症による売上高への影響を受けていることを示しつつ、感染症により売上げにマイナスの影響を受けた小規模事業者が売上減少を契機として実施した事業見直しの内容について確認した。多くの小規模事業者が事業見直しに取り組んでおり、複合的に取組を進めた小規模事業者も一定数存在することなどを明らかにした。また、事業見直しに取り組んだ小規模事業者においては、事業計画書の作成や支援機関の活用が今後の売上げへの期待感につながっていることを確認した。
第2節では、今後の市場動向を見据えて中長期的な視点で取り組む小規模事業者の事業見直しについて確認し、小規模事業者が事業見直しによって持続的な成長を目指す上では、事業者間連携が重要な要素の一つであり、連携による新たな取引の創出や取引先との関係強化といった経営上の効果を確認した。また、事業見直し時に小規模事業者が直面する課題に対して、支援機関が重要な役割を担う存在であることを指摘した。
第3節では、事業見直しにおける支援機関の活用状況や支援機関が小規模事業者支援を行う際の課題について確認した。事業見直しを実施した約7割の小規模事業者が支援機関を活用しており、その大半が支援による成果を実感していることを示した。また、小規模事業者は、個別の経営課題の解決や支援策の提案などよりも、支援の際における話・相談のしやすさといった対話を重視していることを確認した。支援機関の活用による成果を更に高めていくためにも、支援機関においては、まずは小規模事業者が気軽に話すことができる環境を整えた上で、小規模事業者が抱える個別具体の支援を行っていくことが期待される。