第8節 まとめ
中小企業・小規模事業者を取り巻く経営環境は、2年に及ぶ感染症の流行や原油・原材料価格の高騰、部材調達難、人材不足といった供給面の制約もある中で、引き続き厳しい状況にある。
こうした中、中小企業・小規模事業者の業況や業績は、感染症の流行直後において多くの業種で急激に悪化した状態から、緩やかな回復傾向にあるものの、依然として感染症流行前の水準まで回復していない業種も多い。一方で、感染症の流行により影響を受けている中小企業・小規模事業者に対して行われた資金繰り支援策の効果などにより倒産は低水準にとどまっている。
ただし、資金繰りの状況は回復のテンポが弱まっており、特に小規模事業者においては感染症の影響を受ける前の水準に戻っていない状況にある。
雇用環境については、依然として人手不足の状況が続いていることや、特に感染症の影響を受けた「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」においては、いまだ雇用者数が戻っていない様子が明らかとなった。
今後は感染症だけでなく多様なリスクがもたらす影響により、厳しい経営環境が続く可能性もある中、中小企業・小規模事業者においては様々な経営課題に対応することが求められている。