トップページ 白書・統計情報 小規模企業白書 2021年版 小規模企業白書(HTML版) 令和2年度において講じた小規模企業施策 第3章 新陳代謝の促進

第3章 新陳代謝の促進

第1節 創業・第二創業支援

1.新創業融資制度【財政投融資】

日本政策金融公庫を通じて、新たに事業を開始する者や新規開業して税務申告を2期終えていない者に対し、無担保・無保証人で融資を実施した。

2.女性、若者/シニア起業家支援資金【財政投融資】

女性や35歳未満の若者、55歳以上の高齢者のうち、新規開業しようとする者又は、新規開業しておおむね7年以内の者を対象に日本政策金融公庫が優遇金利を適用し、多様な事業者による新規事業の創出を支援した。

3.再挑戦資金(再チャレンジ支援融資)【財政投融資】

日本政策金融公庫を通じて、新たに開業する者又は開業後おおむね7年以内の者で、事業に失敗した起業家の経営者としての資質や事業の見込み等を評価することにより、再起を図る上で、困難な状況に直面している者に対して融資を実施した。

4.エンジェル税制【税制】

創業間もないベンチャー企業への個人による資金供給を促進するため、令和2年度税制改正により、対象となるベンチャー企業要件の緩和や、ベンチャー投資促進に寄与するクラウドファンディング業者の認定制度を創設した。

5.地域における創業支援体制の構築【税制】

地域の創業を促進させるため、産業競争力強化法において、市区町村が民間の創業支援事業者と連携して創業支援等事業計画を作成し、国の認定を受けた場合、計画に基づく創業支援を受けた創業者に対し、信用保証の特例、税制(登録免許税半減)等の支援を行うとともに、創業支援事業者に対し信用保証等の支援を行った。

6.中小企業・小規模事業者経営力強化融資【財政投融資】

日本政策金融公庫を通じて、認定経営革新等支援機関による指導及び助言を通じ経営革新又は異分野の中小企業と連携して新分野の開拓等を行う中小企業の経営力や資金調達力の強化を支援するため、必要な資金の貸付を行った。

7.創業者向け保証

民間金融機関による創業者への融資を後押しするため、信用保証協会において、これから創業する者又は創業後5年未満の者等を対象とする保証制度を実施した。

8.ファンド出資事業(起業支援ファンド、中小企業成長支援ファンド)

民間の投資会社が運営する投資ファンドについて、中小企業基盤整備機構が出資(ファンド総額の1/2 以内)を行うことで、民間資金の呼び水としてファンドの組成を促進し、創業又は成長初期の段階にあるベンチャー企業(中小企業)や新事業展開等により成長を目指す中小企業への投資機会の拡大を図った。起業支援ファンドについては、累積出資先ファンド数124件、出資約束総額3,714億円、累積投資先企業数3,324社に至った。また、中小企業成長支援ファンド(中小企業経営力強化支援ファンドを除く)については、累積出資先ファンド数123件、出資約束総額9,505億円、累積投資先企業数1,810社に至った(両ファンドともに2020年12月末時点)。

9.経営革新支援事業

中小企業等経営強化法に基づき、中小企業が新たな事業活動を行うことで経営の向上を図ることを目的として作成し、承認された経営革新計画に対し、低利の融資制度、信用保証の特例等の支援策を通じ、その事業活動を支援した。

10.グローバル・スタートアップ・エコシステム強化事業【R2年度当初予算:13.0億円】

グローバルで成長するスタートアップのロールモデル創出に向けて、官民で連携し、海外展開を含むスタートアップの育成・支援を行う「J-Startup」プログラムを実施。本プログラムの一環として起業家等100名を対象とした人材育成事業等を行ったほか、政府調達における優遇や、ものづくり系スタートアップの量産化・事業化支援を行った。

11.わたしの起業応援団

女性の起業を後押しするため、地域の金融機関や産業・創業支援機関、女性に対するキャリア相談を行う民間事業者・NPO等を中心とした「女性起業家等支援ネットワーク」において各地で蓄積された女性起業家等への支援ノウハウを引き続き全国に普及すべく、各省関係者・自治体・女性起業家支援機関をメンバーとした「わたしの起業応援団」を設立。2020年12月には第1回関係者連絡会議を実施。また、支援者の育成のための研修等も実施した。

12.ローカル10,000プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金)【R2年度当初予算:9.0億円の内数】

産学金官の連携により、地域の資源と資金(地域金融機関の融資)を活用して、雇用吸収力の大きい地域密着型事業の立ち上げを支援するため、民間事業者等が事業化段階で必要となる初期投資費用(ハード整備)について、地方公共団体が助成する経費の一部に対し、交付金として交付した。

13.中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)【R2年度当初予算:0.2億円】

40歳以上の中高年齢者の雇用機会の創出を図り、生涯現役社会の実現を推進するため、40歳以上の中高年齢者が起業を行い、事業運営のための従業員を雇い入れる際に必要となる、募集・採用や教育訓練にかかる経費の一部を助成するとともに、起業後一定期間経過後に生産性向上が図れた場合に上乗せの助成金を別途支給する制度改正を実施した。

第2節 事業承継支援

1.中小企業再生支援・事業引継ぎ支援事業(事業引継ぎ支援事業)【R2年度当初予算:75.1億円の内数】

後継者不在等の問題を抱える中小企業・小規模事業者に対し、各都道府県の各認定支援機関に設置されている「事業引継ぎ支援センター」において、事業引継ぎ等に関する情報提供・助言等を行うとともに、M&A 等によるマッチング支援を実施した。

2.経営資源引継ぎ・事業再編支援事業(経営資源引継ぎ補助金)【R2年度1次補正予算:100億円の内数】

中小企業の第三者承継時の負担である、士業専門家の活用に係る費用、及び経営資源の一部を引き継ぐ場合における譲渡側の廃業費用を補助した。

3.個人版事業承継税制【税制】

平成31年度税制改正において、個人事業者の事業承継を促進するため、2019年からの10年間限定で、多様な事業用資産の承継に係る相続税・贈与税を100%納税猶予する制度を創設した。

4.法人版事業承継税制【税制】

平成30年度税制改正において、「法人版事業承継税制」を抜本拡充し、2018年からの5年以内に特例承継計画を提出し、10年以内に実際に承継を行う者を対象に、非上場株式に係る贈与税・相続税の納税を猶予・免除する特例措置を講じた。

5.中小企業・小規模事業者の事業再編等に係る税負担の軽減措置の創設【税制】

M&Aにより経営資源や事業の再編・統合を通じて事業の継続・技術の伝承等を図る事業者を支援するため、中小企業等経営強化法上の認定を受けた経営力向上計画に基づいて再編・統合を行った際にかかる登録免許税・不動産取得税を軽減する。令和2年度税制改正において、適用期限を2 年延長することとされた。

6.経営承継円滑化法による総合的支援

経営承継円滑化法には事業承継税制以外の支援策も盛り込まれている。民法特例においては相続人間の一定の合意により、遺留分に伴う相続紛争を防止した。金融支援においては事業承継に伴う各種資金ニーズに対応するための措置を講じた。

7.事業承継円滑化支援事業

全国各地で中小企業の事業承継を広範かつ高度にサポートするため、中小企業支援者向けの研修や事業承継フォーラムによる中小企業経営者等への普及啓発を実施した。

8.事業承継・世代交代集中支援事業(プッシュ型事業承継支援高度化事業)【R1年度補正予算:64億円の内数】

早期・計画的な事業承継の準備に対する経営者の「気付き」を促すため、各道府県の地域内の金融機関や商工団体等で構成する事業承継ネットワークにおいて、経営者に対するプッシュ型の事業承継診断による事業承継ニーズの発掘や地域の専門家派遣による支援等を実施した。また、事業承継時の経営者保証解除に向けた、専門家による「経営者保証に関するガイドライン」の充足状況の確認と目線合わせの支援等を実施した。

9.事業承継・世代交代集中支援事業(事業承継補助金)【R1年度補正予算:64億円の内数】

事業承継・世代交代を契機として、経営革新や事業転換に挑戦する中小企業に対し、設備投資・販路拡大・既存事業の廃業等に必要な経費を支援した。また、新規事業への参入を行う場合などには重点的に支援を行い、ベンチャー型事業承継・第二創業を後押しした。さらに、経営資源を譲り渡した事業者の廃業費用も補助した。

10.事業承継・世代交代集中支援事業(承継トライアル実証事業)【R1年度補正予算:64億円の内数】

後継者選定後に行う教育について、有効な内容や型を明らかにし、標準化を進めるため、後継者不在の中小企業が後継者の受入れを順次開始し、後継者教育を実施した。

11.小規模企業共済制度

小規模企業共済制度は、小規模企業者である個人事業主や会社等の役員が掛金を積み立て、廃業や引退をした際に共済金を受け取れる制度であり、いわば小規模企業の経営者のための「退職金制度」である。2020年12月末現在で151.6万人が在籍しており、2020年4月から2020年12月までの新規加入者は8.1万人に上った。

12.事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策【R1年度補正予算:64.0億円の内数】

事業承継時に後継者の経営者保証を可能な限り解除していくため、「事業承継に焦点を当てた「経営者保証ガイドライン」の特則」の運用を開始(2020年4月1日)。経営者保証解除に向けて、経営者保証コーディネーターによるガイドライン充足状況の確認や支援体制を構築したほか、事業承継時に一定の要件の下で、経営者保証を不要とする新たな信用保証制度を創設。また、専門家による中小企業の磨き上げ支援、経営者保証解除に関する金融機関との目線合わせへの専門家の同席支援等も実施した。

13.中小企業成長促進法

第201回国会で可決された中小企業の事業承継の促進のための中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律(中小企業成長促進法)では、事業承継の障壁である経営者保証の解除を支援するための措置を盛り込んだ。あわせて、中小企業が中堅・大企業に成長した後も一定期間は中小企業者向け支援を継続するみなし中小企業者特例制度や、日本政策金融公庫による海外展開支援、計画認定制度の簡素化の措置を盛り込み、事業承継による経営資源の円滑な引継ぎの促進や、計画認定制度、海外展開支援等を通じて、中小企業が成長を実現できる環境の整備を講じた。

第3節 資金繰り支援、事業再生支援

1.セーフティネット貸付【財政投融資】

日本政策金融公庫が、社会的、経済的環境の変化等外的要因により、一時的に売上の減少等業況悪化を来している中小企業・小規模事業者等の資金繰りを支援。2020年度の貸付実績は、約4,700件、約950億円となった(2020年12月末時点)。

2.資本性劣後ローンの推進【財政投融資】

日本政策金融公庫が、新事業展開や経営改善に取り組む中小企業・小規模事業者に対し、財務体質を強化するとともに、民間金融機関からの資金調達の円滑化を図るため、金融機関の資産査定上自己資本とみなし得る一括償還の資金(資本性資金)を供給することで、中小企業・小規模事業者の資金繰りを支援。2020年度の貸付実績は、約130件、約88億円となった(2020年12月末時点)。

3.信用補完制度を通じた資金繰り支援等

信用補完制度により、〔1〕取引先の倒産、自然災害、取引金融機関の経営合理化等により経営の安定に支障が生じている中小企業・小規模事業者に信用保証協会が通常の保証枠とは別枠を措置、〔2〕令和2年7月豪雨など自然災害等の影響により経営の安定に支障が生じた中小企業に対しセーフティネット保証4号を措置。また、東日本大震災により被害を受けた中小企業・小規模事業者を対象とした保証制度(東日本大震災復興緊急保証)を措置、〔3〕信用保証協会による複数の借入債務の一本化を通じて足下の返済負担の軽減を図る借換保証等を実施、〔4〕経営者保証の存在が経営の承継の支障となっているため、令和2年4月から事業承継特別保証を創設、10月には経営承継円滑化法の改正により経営承継借換関連保証を創設。これらにより我が国中小企業の課題の一つである事業承継を推進、〔5〕信用保証協会の利用者又は利用を予定している創業(予定)者、経営改善や事業承継、生産性向上に取り組もうとする者に対して信用保証協会が地域金融機関と連携して、専門家派遣をはじめとした経営支援を実施し、資金繰り支援と一体となった支援を実施。

4.(再掲)認定支援機関による経営改善計画策定支援事業【R2年度1次補正予算:48.2億円】

5.(再掲)中小企業再生支援協議会【R2年度当初予算:75.1億円の内数、R2年度1次補正予算:30.7億円】

6.(再掲)中小企業再生ファンド【R2年度2次補正予算:600億円の内数】

7.「経営者保証ガイドライン」の利用促進等【R2年度当初予算:42.4億円の内数】

「経営者保証に関するガイドライン」(2013年12月5日公表)及び「事業承継時に焦点を当てた「経営者保証に関するガイドライン」の特則」(2019年12月24日公表)の周知・普及、利用促進を図るため、相談窓口を設置し、ガイドライン利用希望者への専門家派遣(190件)、弁護士・税理士等の支援専門家や事業者向けセミナー(55回)を開催したほか、新聞広告やインターネット広告の掲載、動画配信等の広報活動も実施した。また、経営者保証ガイドライン等の事業者への浸透度合いや経営者保証解除に関するニーズを把握するため、認知度調査も実施した。

8.小規模事業者経営改善資金融資事業(マル経融資)【財政投融資】

小規模事業者を金融面から支援するため、商工会、商工会議所、都道府県商工会連合会の経営指導を受けている小規模事業者に対して、日本政策金融公庫が無担保・無保証人・低利で融資を行った(2020年度の実績は、3万9,959件、2,255億円(2020年12月末時点))。

9.小規模事業者経営発達支援融資事業【財政投融資】

事業の持続的発展に取り組む小規模事業者を支援するため、小規模事業者支援法第7条に基づく経営発達支援計画の認定を受けた商工会・商工会議所による経営指導を受ける小規模事業者に対し、日本政策金融公庫が低利で融資を行った(2020年度の実績は、4件、1億円(2020年12月末時点))。

10.(再掲)中小企業・小規模事業者経営力強化融資【財政投融資】

11.金融行政における中小企業・小規模事業者に対する経営支援の強化等

金融機関に対し、担保・保証に過度に依存することなく、取引先企業の事業の内容や成長可能性等を適切に評価(事業性評価)することを通じて、企業に有益なアドバイスとファイナンスを行うよう促した。

12.沖縄の中小企業金融対策【財政投融資】

沖縄振興開発金融公庫を活用した沖縄の中小企業対策は、日本政策金融公庫が行う業務・取組について同様に行うとともに、沖縄の特殊事情を踏まえ独自の貸付制度の拡充を実施した。

第4節 人材・雇用対策

1.地域中小企業人材確保支援等事業【R2年度当初予算:11.7億円の内数】

中小企業・小規模事業者が、その経営課題に応じ、地域内外の女性・若者・シニア等の多様な人材から、必要な人材を確保できるよう、企業の魅力発信やマッチングの促進等を実施した。また、中核人材確保のため、地域の経営支援機関等による経営課題の明確化・人材ニーズの掘り起こし等の支援ノウハウの向上や、ネットワークづくりの取組等の支援を行った。

2.中小企業大学校における人材育成事業

全国9か所にある中小企業大学校において、中小企業の経営者、管理者等を対象に経営課題の解決に直接結びつくような研修等を実施した。また、地域中小企業等からのアクセス改善に向けた「サテライト・ゼミ」等の実施や、豊富なメニューをそろえたウェブ活用型研修「WEBee Campus」、ケースメソッド型の高度実践プログラムを行った。

3.(再掲)賃上げの促進に係る税制【税制】

4.サプライヤー応援隊事業【R2年度当初予算:11.7億円の内数】

民間団体等が、中小企業・小規模事業者の次世代自動車への対応等を支援する人材(サプライヤー応援隊)を育成し、派遣することにより、自動車産業の底上げを図る事業を支援した。事業実施に当たり、2020年度においては、計9拠点を整備した。

5.労働者の雇用維持対策【R2年度当初予算:35億円/R2年度補正予算:30,296億円/R2年度予備費:2,454億円】

雇用調整助成金は、景気の変動、産業構造の変化等の経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業、教育訓練又は出向を行って労働者の雇用の維持を図る場合に、休業手当、賃金などの一部を助成するものである。

新型コロナウイルス感染症や令和2年7月豪雨の影響を受けて事業が縮小した事業主に対しては、雇用調整助成金の特例措置を実施し、支給要件を緩和するとともに、助成率の引上げ、提出書類の簡素化等、更なる雇用調整助成金の特例措置を実施した。

6.魅力ある職場づくりに向けた雇用管理の改善の支援【R2年度当初予算:72.7億円】

人材確保等支援助成金においては、2019年度に実施した助成のほか、事業主が外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を通じて、外国人労働者の離職率の改善に取り組む場合に助成を行う「外国人労働者就労環境整備助成コース」を創設した。

7.地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)【R2年度当初予算:24.7億円】

地域における雇用の創出及び安定を図るため、雇用機会の不足している地域等において事業所の設置又は整備を行い、併せて地域の求職者等を雇い入れる事業主に対して、設置等の費用及び雇入れ人数に応じて助成を行う地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)を支給した。

8.中途採用等支援助成金(UIJターンコース)【R2年度当初予算:2.3億円】

東京一極集中の是正を図るとともに、人手不足に直面する地域の企業の人材確保を図るため、地方公共団体が地方創生推進交付金(移住・起業・就業タイプ)を活用して実施する移住支援事業により移住した者を雇い入れた事業主に対して、その採用活動に要した経費の一部を助成した。

9.地域活性化雇用創造プロジェクト【R2年度当初予算:52.6億円】

地域における安定した良質な雇用機会の確保に向けた取組を推進するため、産業政策と一体となって実施する正社員雇用機会の確保に向けた都道府県の取組に対する支援を実施した(23道府県において実施)。

10.成長分野等への人材移動の促進【R2年度当初予算:36.2億円】

事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者(再就職援助計画対象者等)に対する再就職支援を民間職業紹介事業者への委託等により行う事業主に対して、労働移動支援助成金(再就職支援コース)による助成を行った。

また、労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)において、再就職援助計画対象者等を早期に雇い入れた、又は早期に雇い入れた再就職援助計画対象者等に訓練を実施した事業主に対する助成を実施した。

さらに、中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)において、中途採用者の能力評価、賃金、処遇の制度を整備した上で中途採用者の採用を拡大させた事業主に対する助成を行った。

11.人材確保対策推進事業【R2年度当初予算:38.6億円/R2年度2次補正予算:3.4億円】

人材不足分野のマッチング支援のため、全国の主要なハローワークに設置する「人材確保対策コーナー」を中心に、きめ細かな職業相談・職業紹介、求人者への助言・指導等を実施した。

12.若者雇用促進法に基づくユースエール認定制度【R2年度当初予算:5.5億円の内数】

若者の雇用管理が優良な中小企業について、「青少年の雇用の促進等に関する法律」(昭和45年法律第98号)に基づき、厚生労働大臣が「ユースエール認定」企業として認定し、中小企業の情報発信を後押しすることにより、当該企業が求める人材の円滑な採用を支援した。

13.キャリアコンサルティングの普及促進

企業(人事管理・人材育成)、労働力需給調整機関(職業マッチング)、学校(キャリア教育)などにおいて、キャリアコンサルティングの普及を進めた。また、2016年4月に国家資格化されたキャリアコンサルタントについて、養成と周知に取り組んだ。さらに、2020年度に運営開始したキャリア形成サポートセンターにおいて、労働者等に対するキャリアコンサルティング機会の提供とともに、企業に対するセルフ・キャリアドック(※)の導入を推進した。

(※)企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組、また、そのための企業内の「仕組み」。

14.最低賃金の引上げに向けた中小企業・小規模事業者支援【R2年度当初予算:175.4億円/R2年度補正予算:20.6億円】

最低賃金・生産性向上による賃金の引上げに向けた中小企業・小規模事業者の生産性向上等のための支援として、

〔1〕 働き方改革に関する相談等にワンストップで対応するため、「働き方改革推進支援センター」を全国(47か所)に設置し、無料の相談対応・専門家派遣を実施した。

〔2〕 生産性を高めながら労働時間の縮減等に取り組む中小企業・小規模事業者や、傘下企業の労働時間短縮や賃上げに向けて生産性向上に資する取組を行った中小企業団体に対し、その取組に要した費用を助成した。

〔3〕 全国47都道府県の中小企業・小規模事業者を対象として、生産性向上のための設備投資等を行い、事業場内の最低賃金(事業場内で最も低い時間給)を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資などに要した費用の一部を助成するとともに、賃金引上げ労働者数に応じて助成上限額を上乗せして支給を行った(助成上限額450万円)。3次補正予算により既存の30円コースに加え、感染症流行下でも申請しやすい20円コースを新設。