第1章 新型コロナウイルス感染症対策
第1節 資金繰り支援
1.日本政策金融公庫等による資金繰り支援【財政投融資】
新型コロナウイルス感染症の影響により業況が悪化している中小企業・小規模事業者への資金繰り支援として、日本政策金融公庫及び商工組合中央金庫において、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」及び「新型コロナ対策資本性劣後ローン」等を実施。2020年1月末に新型コロナウイルスに関する特別相談窓口を設置して以降、2020年12月末までの新型コロナ関連の融資実績は、約76万件、約14兆6千億円となっている。また、特に業況が悪化している中小企業・小規模事業者を対象に、中小企業基盤整備機構を通じて、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」等の貸付金利を当初3年間実質無利子化する措置を実施した。
2.民間金融機関を通じた資金繰り支援(信用保証制度)【R2年度補正予算:72,336億円】
新型コロナウイルス感染症の影響により業況が悪化している中小企業・小規模事業者への資金繰り支援として、制度創設後初めて危機関連保証を発動したことに加え、感染の広がりや深刻さを踏まえ、都道府県等の制度融資を活用し民間金融機関を通じた実質無利子・無担保融資制度を実施。2020年1月末に新型コロナウイルスに関する特別相談窓口を設置して以降、2020年12月末までの新型コロナ関連の保証実績は、約148万件、約27兆9千億円となっている。
3.持続化給付金【R2年度補正予算:47,936億円/R2年度予備費:9,150億円】
新型コロナウイルス感染症拡大により特に大きな影響を受ける事業者の事業の継続を下支えするため、ひと月の売上げが前年同月比で50%以上減少している中堅・中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主等に対して、中小法人等は上限200万円、個人事業者等は上限100万円の使途に限定のない現金給付を行った。2021年2月末時点で、約423万件、約5.5兆円の給付を行った。
4.家賃支援給付金【R2年度2次補正予算:11,992億円】
新型コロナウイルス感染症を契機とした2020年5月の緊急事態宣言の延長等により、売上げの減少に直面する事業者の事業継続を下支えするため、地代・家賃の負担を軽減することを目的として、法人は最大600万円、個人事業主は最大300万円の現金を一括で給付する家賃支援給付金を創設。2021年2月末時点で、約101万件、約8,800億円の給付を行った。
5.小規模事業者経営改善資金の拡充(新型コロナウイルス対策マル経)【財政投融資】
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた小規模事業者に対し、無担保・無保証人・低利で利用できる日本政策金融公庫によるマル経融資の貸付限度の拡充や金利の引下げを実施した。
6.小規模企業共済制度の特例緊急経営安定貸付等
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、業況が悪化したことにより売上げが減少した小規模企業共済の契約者に対し、掛金の範囲内で所定の割合に応じて、運営主体である中小企業基盤整備機構が経営の安定を図るための事業資金を貸し付け、緊急経営安定貸付の貸付利率の無利子化、据置期間の設定、償還期間の延長などの貸付要件の緩和を実施した。
7.新型コロナウイルス感染症にかかる経営セーフティ共済の特例措置について
新型コロナウイルス感染症の影響を受けている契約者に共済金の償還(返済)期日の繰下げ、一時貸付金の返済猶予、掛金の納付期限の延長等の特例措置を講じた。
第2節 投資促進・販路開拓支援
1.中小企業生産性革命推進事業【R1年度補正予算:3,600億円の内数】
働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入など相次ぐ制度変更等に対応するため、中小企業基盤整備機構が複数年にわたり中小企業の生産性向上を継続的に支援した。
具体的には、〔1〕設備導入、IT 導入、販路開拓等への支援を一体的かつ機動的に実施するとともに、〔2〕先進事例を収集し、各種支援策とともに幅広く情報発信を行った。加えて、〔3〕制度変更にかかる相談対応や国内外の事業拡大等にかかる専門家支援等のハンズオン支援を行った。
2.中小企業生産性革命推進事業(令和元年補正)の特例措置【R2年度1次補正予算:700億円の内数】
中小企業の生産性向上を継続的に支援する「生産性革命推進事業」について、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために前向きな投資を行う事業者向けに、補助率又は補助上限を引き上げた「特別枠」を設けた。
3.中小企業生産性革命推進事業による事業再開支援【R2年度2次補正予算:1,000億円の内数】
中小企業の生産性向上を継続的に支援する「生産性革命推進事業」について、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために前向きな投資を行う事業者向けの「特別枠」の補助率を引き上げた。
また、中小企業の事業再開を強力に後押しするため、「事業再開支援パッケージ」として業種別ガイドライン等に基づいて行う取組への支援を拡充した。
4.中小企業デジタル化応援隊事業【R2年度1次補正予算:99.8億円】
中小企業のデジタル化・IT活用について、専門的なサポートを充実させるため、フリーランスや兼業・副業人材等を含めたIT専門家を「中小企業デジタル化応援隊」として選定し、その活動を支援した。
中小企業のデジタル化にかかるハンズオン支援を提供する民間のIT専門家(フリーランス、兼業・副業人材を含む)がECサイト構築やテレワーク導入相談等の支援サービスを中小企業に提供した場合に、定型業務ごとに定める単価と支援実績等に応じて定額を補助した。
クラウドソーシング、専門人材派遣業者、副業・兼業人材マッチングプラットフォーム事業者等の民間事業者と連携し、中小企業のデジタル化を応援する人材を幅広く募った。
中小企業が自ら経営課題を認識し、その解決に必要なITツールを選択するための「自己診断WEBツール」や「ツール導入ガイド」等のコンテンツを開発し、普及に取り組んだ。
民間事業者と連携し、中小企業向け「EC活用ガイド」等のコンテンツを作成する等、非対面型の販路開拓を支援した。
5.地域企業再起支援事業【R2年度1次補正予算:200.0億円】
新型コロナウイルス感染症の影響による中小企業被害が多大な地方公共団体が、地域企業の再起を支援していく取組を着実に実行できるようにしていくため、地方公共団体に対して、その実行に係る経費の一部を補助する制度を創設した。
6.JAPANブランド育成支援等事業【R2年度当初予算:10.0億円/R2年度1次補正予算:15.0億円】
中小企業等の海外展開や全国展開、インバウンド需要の獲得を目的とした新商品・サービス開発や販路開拓・ブランディング等の取組を支援した。また、民間支援事業者や地域の支援機関等が複数の中小企業者に対して海外展開や全国展開、インバウンド需要の獲得に関する支援を行うとき、その経費の一部を補助した。特に、クラウドファンディングや電子商取引(EC)を活用した取組を重点的に支援した。
7.サプライチェーン対策のための国内投資促進事業【R2年度1次補正予算:2,200億円・R2年度予備費860億円】
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、我が国サプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから、生産拠点の集中度が高い製品・部素材、又は国民が健康な生活を営む上で重要な製品・部素材に関し、国内の生産拠点等の整備を進めることにより、製品・部素材の円滑な供給を確保するなど、サプライチェーンの強靱化を図ることを目的とし、設備の導入等を支援した。
8.海外サプライチェーン多元化等支援事業【R2年度1次補正予算:235億円】
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、我が国サプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから、生産拠点の集中度が高い製品・部素材等のASEAN等における海外生産拠点の多元化や生産拠点・ネットワークの高度化等に向けた設備導入・実証試験・FS調査等の支援を実施した。
9.非対面・遠隔の海外展開支援事業(越境EC) 【R2年度1次補正予算:40.0億円の内数】
感染症流行下における中堅・中小企業の輸出促進のため、日本貿易振興機構(JETRO)による、BtoBオンライン展示会型ECへの出展支援を実施し、約1,000社が活用した。
10.国内外の中堅・中小企業等へのハンズオン支援【R2年度1次補正予算:10.0億円】
日本貿易振興機構(JETRO)は新型コロナウイルス感染症の影響を受けた国内外の中堅・中小企業等を支援するために、各種相談対応・情報提供業務を強化した。これに加え、日本国内の外資系企業向けの多言語対応の相談センターの設置、海外企業・スタートアップ企業に対する風評被害払拭のための情報発信・広報を実施したほか、在留資格等の手続等に関する情報提供を実施するため「高度外国人材活躍推進プラットフォーム」のポータルサイト内に特設サイトの設置等を行った。
第3節 経営環境の整備
1.経営資源引継ぎ・事業再編支援事業【R2年度1次補正予算:100億円(中小企業経営力強化ファンドについてはR2年度2次補正予算600億円の内数を加算)】
第三者承継の相談件数増加に対応できるよう、事業引継ぎ支援センターの体制を整備した。また、中小企業の第三者承継時の負担である、士業専門家の活用に係る費用等を補助したほか、地域の核となる中小企業の倒産・廃業を防ぎ、出資やハンズオンにより経営力強化を支援する官民ファンドを設立した。
2.認定支援機関による経営改善計画策定支援事業【R2年度1次補正予算:48.2億円】
借入金の返済負担等の財務上の問題を抱え、金融支援を伴う本格的な経営改善を必要とする中小企業・小規模事業者等に対して、中小企業等経営強化法に基づく認定支援機関(税理士、公認会計士、地域金融機関等)による経営改善計画策定支援や当該計画に係るフォローアップに要する費用の一部を負担(2/3)し、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、売上高が減少している事業者は上限額の範囲内で、複数回利用を可能とした。2020年4月から12月末における相談件数は2,882件、新規受付件数は843件となり、制度発足時(2013年3月)から2020年12月末までの実績は、相談件数59,055件、新規受付件数は19,372件となった。また、資金繰り管理や採算管理などの早期の経営改善計画の策定を必要とする中小企業・小規模事業者に対して、認定支援機関による早期経営改善計画策定支援に係る費用の一部を負担(2/3)した。2020年4月から12月末における相談件数は1,714件、新規受付件数は1,123件となり、制度発足時(2017年5月)から2020年12月末までの実績は、相談件数16,987件、新規受付件数12,916件となった。
3.中小企業再生支援協議会【R2年度当初予算:75.1億円の内数、R2年度1次補正予算:30.7億円】
各都道府県の商工会議所等に設置した中小企業再生支援協議会において、事業の収益性はあるが、債務超過等の財務上の問題を抱えている中小企業・小規模事業者に対し、窓口相談による課題解決に向けたアドバイスや、関係金融機関等との調整も含めた再生計画の策定支援を行った。
また、2020年4月から、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者の資金繰りを支援するため、窓口相談や既往債務にかかる最長1年間の元金返済猶予要請や、新規融資を含めた関係金融機関との調整も含めた資金繰り計画の策定支援(新型コロナ特例リスケジュール支援)を開始した。
2020年4月から12月末までの実績は、相談件数4,462件、再生計画の策定完了件数263件であり、新型コロナ特例リスケジュール支援開始の影響もあって相談件数は過去最大の年間件数が見込まれる。また、制度発足時から2020年12月末までの実績は、相談件数48,853件、再生計画の策定完了件数15,448件となった。
4.中小企業再生ファンド【R2年度2次補正予算:600億円の内数】
事業再生に取り組む中小企業への経営支援や資金供給等を実施するため、中小企業基盤整備機構と地域金融機関、信用保証協会等が一体となって、中小企業の再生を地域内で支援する地域型ファンドや広域的に支援する全国型ファンドの組成・活用を促進する取組を行った。事業再生に取り組む中小企業への投資機会の拡大を図るため、中小企業基盤整備機構がファンド総額の2分の1以内の出資を可能としていたが、令和2年度補正予算により、出資上限割合を5分の4まで引き上げ、ファンドの組成を促し、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業の再生に万全を期した。2020年12月末までに64件のファンドが創設され、ファンドの総額は約2,158億円に上った。また、当該再生ファンドによる投資実績は2020年12月末までに597社、約1,249億円に上った。
5.中小・小規模事業者向け経営相談体制強化事業(1次補正)【R2年度1次補正予算:20.0億円】
新型コロナウイルス感染症の影響により、売上減少等の影響を受けた中小・小規模事業者が多く発生している中で、様々な支援が実施されているところ、よろず支援拠点、商工会・商工会議所等の経営支援機関に寄せられる相談が増加している状況にある。新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中小企業・小規模事業者からの当面の資金繰りの安定化をはじめとした経営課題に関する相談に対応していくため、よろず支援拠点の専門家の増員や、専門家派遣体制の強化を実施した。その他、中小企業診断士等の専門家による電話相談窓口(相談件数:5,332件)及びオンライン相談窓口(相談件数:2,000件見込み)を設置することで経営支援機関の体制強化を実施した。
6.中小・小規模事業者向け経営相談体制強化事業(2次補正)【R2年度2次補正予算:94.0億円】
新型コロナウイルス感染症の影響により、売上減少等の影響を受けた中小・小規模事業者が多く発生している中で、様々な支援が実施されているところ、よろず支援拠点、商工会・商工会議所等の経営支援機関に寄せられる相談が増加している状況にある。このため、必要な支援を中小・小規模事業に届け、雇用の維持と事業の継続が可能な環境を整備するため、よろず支援拠点については各市町村に専門家を派遣し、都道府県商工会連合会及び商工会議所については相談員等を配置することで経営支援機関の体制強化を実施した。
7.GoTo商店街事業【R2年度1次補正予算:51.0億円】
感染拡大防止対策を徹底しながら、商店街等が行うオンライン活用事業、新たな商材開発やプロモーション制作など、「地元」や「商店街」の良さを再認識するきっかけとなるような取組を支援した。令和2年12月18日時点で、532件採択した。
8.感染症対策を含む中小企業強靱化対策事業【R2年度1次補正予算:5.96億円】
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中小企業・小規模事業者に対して、感染症を含む自然災害等に対する中小企業の事前対策に係る計画(BCP、事業継続力強化計画等)の普及啓発及び策定支援を実施した。
9.「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」の設置
今般の新型コロナウイルスの流行により、影響を受ける又は、その恐れがある中小企業・小規模事業者を対象として相談窓口を設置し、経営上の相談を受け付けた。
10.下請けGメンによる実態把握
全国で120名の下請Gメンが中小企業を訪問し、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う取引状況の変化やその影響など、取引実態について継続的にヒアリングを行っており、収集した現場の声を踏まえて、取引適正化に向けた対策の検討に活用した。
11.中小企業サイバーセキュリティ対策促進事業【R2年度当初予算:4.0億円/R2年度1次補正予算:7.7億円】
中小企業のサイバーセキュリティ対策強化のため、インシデント発生時の駆けつけ支援や簡易保険などを組み合わせたサービスを確立することを目的とした「サイバーセキュリティお助け隊」実証事業、専門家派遣によるセキュリティ基本方針等の策定支援、全国各地でのセキュリティコミュニティの形成支援を実施した。
12.電力・ガス料金の支払猶予等
個人又は企業にかかわらず、新型コロナウイルス感染症の影響により、電気・ガス料金の支払に困難な事情がある方に対しては、その置かれた状況に配慮し、料金の未払による供給停止の猶予など、電気・ガス料金の支払の猶予について、柔軟な対応を行うことを電気・ガス事業者に要請した。(2020年4月7日)
13.貿易保険による新型コロナウイルス感染症に関する支援策
新型コロナウイルス感染症拡大による損失は保険金支払対象となることを公表し、安心して海外ビジネスが継続できるよう情報発信を行った。また、感染症流行下におけるお客様の業務実施の制約等を踏まえ、必要に応じて保険契約に係る諸手続、保険事故・回収関連の被保険者義務の猶予等を行った。
14.輸出入手続の緩和等
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、輸出入手続の緩和措置を以下のとおり講じた。
(1)押印関連
2020年4月30日から、6月30日までを期限とし、外国為替及び外国貿易法に基づく申請手続等の一部について、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、申請手続等に係る書面への押印が難しい場合には、理由書の提出により、申請手続等における押印を不要とする措置を講じた。その後、措置対象となる申請手続等を拡大するとともに、同措置を随時延長し、12月28日には、恒久的な制度的対応として、関連省令等を改正し、すべての申請手続等における押印を不要とした。
(2)輸入関連
2020年2月17日から、3月31日までを期限とし、輸入承認証の有効期間の延長申請において「延長を必要とすることを立証する書類」の入手が困難な場合には、「延長が必要となった具体的な事情・経緯及び延長を必要とすることを立証する書類の提出が困難であることの理由を記載した理由書」の提出により当該書類に替えることができる措置を講じた。その後、同措置を随時延長し、11月17日には、今後当面の間、同措置を適用することとした。
(3)輸出関連
2020年2月17日から、中国を仕向地とする輸出許可証に付された許可条件の履行について、2020年3月31日までに履行期限が到来するものについては、一律、2020年3月31日まで履行期限を延長、同延長に係る内容変更申請は不要とする措置を講じた。その後、措置対象となる仕向地を全地域に拡大するとともに、同措置を8月31日まで随時延長した。
15.雇用調整助成金の特例措置【R2年度当初予算:35億円/R2年度補正予算:30,296億円/R2年度予備費:2,454億円】
雇用調整助成金は、景気の変動、産業構造の変化等の経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業、教育訓練又は出向を行って労働者の雇用の維持を図る場合に、休業手当、賃金などの一部を助成するものである。
新型コロナウイルス感染症や令和2年7月豪雨の影響を受けて事業が縮小した事業主に対しては、雇用調整助成金の特例措置を実施し、支給要件を緩和するとともに、助成率の引上げ、提出書類の簡素化等、更なる雇用調整助成金の特例措置を実施した。
16.新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金【R2年度2次補正予算:5,442億円】
新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止の措置の影響により休業させられた労働者のうち、休業中に賃金(休業手当)を受け取ることができなかった方に対して、当該労働者の申請により、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金を支給した。
17.小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得支援(小学校休業等対応助成金・支援金)【R2年度1次補正予算:1,673.0億円/R2年度2次補正予算:46.1億円/R2年度予備費:140.9億円】
新型コロナウイルス感染症の影響により、小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子どもの保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規雇用・非正規雇用を問わず、有給(賃金全額支給)の休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除く。)を取得させた企業に対する助成金を創設。2020年2月27日から2021年3月31日の間に取得した休暇について支給した。
また、委託を受けて個人で仕事をする方が、小学校等の臨時休業に伴い、保護者として子どもの世話を行うため、契約した仕事ができなくなった場合、2020年2月27日から2021年3月31日の間に就業できなかった日について支給した。
18.両立支援等助成金(介護離職防止支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例))【R2年度当初予算:118.3億円の内数】
新型コロナウイルス感染症への対応として、法定の介護休業と別に家族の介護が必要な労働者のための有給休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除く)を設け、仕事と介護の両立支援制度の内容を含めて周知し、当該休暇を取得させた中小企業事業主に対して支給した。
19.新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援【R2年度2次補正予算:90億円】
妊娠中の女性労働者が、離職に至ることなく安心して休暇を取得して出産し、出産後も継続して活躍できる職場環境の整備を推進するため、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、医師等の指導により休業が必要とされた妊娠中の労働者が取得できる有給の休暇制度を設け、当該休暇を取得させた事業主に対する助成制度を創設した。
20.厚生年金保険料等の猶予制度
新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年2月以降の任意の期間において、事業等に係る収入が前年同期に比べておおむね20%以上減少している等の場合に、事業主からの申請により、厚生年金保険料等の納付を、無担保かつ延滞金なしで1年間猶予する特例措置を実施した。(令和2年2月1日から令和3年2月1日までに納期限が到来する厚生年金保険料等(令和2年1月分から令和2年12月分まで)が対象。)上記特例猶予の期限後においても厚生年金保険料等の納付が困難である場合には、従来から設けられている厚生年金保険料等の猶予の仕組みを活用し、事業所の状況に応じて対応した。
日本年金機構受付分(厚生年金保険料・健康保険料(協会けんぽ分))は、令和2年12月28日までに、約9.1万事業所、約7,600億円を猶予。健康保険組合受付分(健康保険料(組合分))は、令和2年2月から令和2年11月分保険料として、128組合、約390.0億円を猶予した。
21.厚生年金保険料等の標準報酬月額の特例改定
新型コロナウイルス感染症の影響による休業があったことにより、報酬が著しく低下した方などの厚生年金保険料等について、報酬低下の翌月から標準報酬月額の減額改定を行うことができる特例措置を実施した。令和2年12月28日までに、約2.5万事業所、約40万人に決定した。
22.2021年度の固定資産税・都市計画税の減免措置【税制】
新型コロナウイルス感染症の影響で事業収入が減少している中小企業者・小規模事業者に対して、事業者の保有する2021年度の固定資産税・都市計画税を事業収入の減少幅に応じてゼロ又は1/2とする措置を講じた。
23.申告・納付期限の延長【税制】
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、2019年分の申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告期限・納付期限について2020年4月16日まで延長することとした。
また、感染拡大状況に鑑み、2020年4月17日以降であっても2020年分の申告期限まで柔軟に取り扱うこととした。
24.テレワーク等の導入支援について
(1)(再掲)中小企業デジタル化応援隊事業【R2年度1次補正予算:99.8億円】
(2)税制面での支援
中小企業経営強化税制において、新たな類型としてデジタル化設備を取得した場合に、即時償却又は10%の税額控除(資本金3000万円超の法人の税額控除は7%)ができる措置を講じた。
(3)IT導入補助金【R1年度補正予算:3,600億円の内数】
中小企業等が行う、バックオフィス業務の効率化や新たな顧客獲得等の付加価値向上に資するITツールの導入を支援した。
(4)テレワークマネージャー派遣事業
テレワーク導入を検討する中小企業等に対して、専門家(テレワークマネージャー)による無料相談を実施した。
(5)テレワーク・サポートネットワーク事業
中小企業を支援する団体にテレワーク普及の担い手機能を付加(テレワーク・サポートネットワーク)し、中小企業向けセミナー・相談会等の実施を通じてテレワークの地域展開を推進した。
(6)テレワーク導入事例の紹介
総務省のテレワーク総合情報サイト「Telework Net」や厚生労働省「テレワーク総合ポータルサイト」により、テレワーク導入企業の事例を紹介した。
(7)働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)
新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のための特例的対応として、中小企業が新たにテレワークを導入した場合に要する費用の助成を行った。
(8)テレワークについての相談窓口
テレワーク導入実施に当たっての不明点等について、テレワーク相談センターにおいて相談を受け付けているところ、2021年1月の緊急事態宣言を受け、一部機能の拡充を行った(相談受付時間の延長、オンラインコンサルティングの実施)。