第3節 まとめ
本章では、商工会・商工会議所による経営相談等の実態や感染症流行下における小規模事業者への支援について分析した。
第1節では、商工会・商工会議所の相談実態と小規模事業者からの評価について確認した。感染症流行後における小規模事業者からの相談は会員・非会員ともに大幅に増加したことが分かった。また、商工会・商工会議所が感染症流行下において、有効な情報提供や経営に関するアドバイスをすることで、これまで利用頻度が高かった者に加え、全く利用していなかった小規模事業者まで商工会・商工会議所への期待が高まったことが確認できた。
第2節では、小規模事業者の課題と感染症流行下での商工会・商工会議所の支援について分析した。感染症流行の影響により、小規模事業者は経営課題について「営業・販路開拓」に加えて、ITの利活用等「デジタル化」を重要視するといった意識の変化が確認できた。商工会・商工会議所の経営指導員は各種支援策に関する情報提供や補助金等の申請、資金繰りの相談対応のほか、営業・販路開拓において、外出自粛に対応するテイクアウト・デリバリーの支援実施やプレミアム商品券等の発行、及び宣伝広告・PR活動を実施していたことが分かった。以上から、商工会・商工会議所は感染症流行の影響を受ける小規模事業者を支える効果的な取組を実施し、支援機関として事業継続に向けた役割を果たしたといえよう。
また、小規模事業者と同様に、経営指導員もまた「デジタル化」を重要視する傾向であることが確認できた。商工会・商工会議所では、「経営全般」や「財務」、「金融」の分野において、これまで培った経験をもとに感染症流行下における支援を実施したことが確認された一方で、ITに関連した相談対応に関しては、更なる支援体制の構築が期待される。
目まぐるしく変化する情勢の中、商工会・商工会議所においては、経営環境の変化に合わせた新たな支援能力の獲得や、民間事業者等との連携により、今後も様々な経営課題を抱える小規模事業者を支えていくことが期待されるだろう。