第5節 まとめ
本章では、経営分析、顧客・地域とのつながり、ブランド化、SDGsに着目して、それぞれの実態と感染症流行下における経営に資する効果を分析した。
第1節では、日頃からの強み・課題分析や財務の把握状況、顧客情報の把握・活用状況と、それらが感染症流行後の業績に資する効果を確認した。強み・課題分析においては、定期的に実施している者や、それらを経営分析にまで活用している者ほど、感染症流行による経営環境の変化へ対応できている者の割合が高いことが分かった。
第2節では、顧客・地域とのつながりの実態と感染症流行後の経営に資する効果を確認した。常連客や上顧客との関係性を感染症流行後も維持できている者ほど、売上高の回復している者の割合は高く、日頃より顧客とのつながりを持っておくことの重要性が示唆された。常連客や上顧客との関係性を維持できている者は、日頃からの顧客との関係づくりとして双方向でのコミュニケーションを重視している割合が高いことが分かった。また、日頃から地域とのつながりを大事にしている小規模事業者は感染症流行後においても地域とのつながりに支えられ、売上げを維持している者が存在することが分かった。
第3節では、自社又は商品・サービス・技術がブランド化している者ほど、回復している事業者の割合は高く、感染症流行後においても顧客や消費者の支持を得られていることが示唆された。
第4節では、SDGsへの認知度などを消費者、小規模事業者の双方について確認した。SDGsについて、消費者、小規模事業者ともに認知度が高まっており、SDGsへの取組により、感染症流行後においても顧客や消費者の支持を得られていることが示唆された。SDGsへの取組に着手している小規模事業者はわずかであるが、経営指導員においても重要と考える者は多く、小規模事業者の持続的な発展にとっても重要な取組といえよう。