トップページ 白書・統計情報 小規模企業白書 2021年版 小規模企業白書(HTML版) 第2部 消費者の意識変化と小規模事業者の底力 第1章 小規模事業者を取り巻く環境の変化と対応 第5節 まとめ

第5節 まとめ

本章では、感染症流行による小規模事業者への影響や、消費者の意識・行動の変化を確認するとともに、経営環境が変化する中における小規模事業者の事業の見直しについて分析した。

第1節では、小規模事業者の産業構造について概観した。事業所で見ると、小売業や飲食店、宿泊業については、近年構成比が下がっているものの、依然小規模事業者において、高い割合を占めていることが分かった。また、事業所、従業者それぞれで見ると、ともにサービス業全体の構成比が増加していることが分かった。

第2節では、感染症流行による小規模事業者の業績への影響を、顧客属性別、業種別、地域別に分析した。顧客属性別ではBtoC型事業者、業種別では飲食サービス業や宿泊業において、売上高への影響が特に大きかったことを確認した。一方、都市圏と地方圏との間で大きな差が見られず、感染症の影響は都市圏のみならず、地方の小規模事業者にも同程度の影響を与えていることが分かった。

第3節では、感染症流行による消費者の意識・行動の変化について確認した。消費者の感染予防意識の高まりやテレワークや外出自粛による移動範囲の縮小が見られたが、自宅周辺での消費が増加するなど新たな需要が生まれていることを確認した。また、ネットショッピングを利用する者の割合やデジタルコンテンツの消費額が増加していることも確認した。

第4節では、感染症流行による経営環境変化への小規模事業者の対応について分析した。消費者の意識・行動が変化する中でも、こうした変化を転機ととらえ柔軟に対応している者もいることが分かった。また、オンラインツールへの活用意向を持つ小規模事業者は一定程度存在し、商圏の拡大効果があることも分かった。事例からは、地元の消費需要の掘り起こしに取り組む者や、既存商品・サービスの提供方法の見直しから事業分野の見直しなど多様な取組を確認した。いずれにおいても既存の事業の強みをいかし、販路開拓や新事業創出に取り組むことが重要といえよう。また、事業者間連携や支援機関の活用の事例に見られるように、自社に不足する部分を外部の事業者や支援機関を活用して補っていくことの重要性も示唆された。