第3節 グローバル型・サプライチェーン型企業の目指す方向性と支援の在り方
グローバル型・サプライチェーン型の企業については、おおむね、企業規模が大きく、規模拡大・成長志向にある。このため、中堅企業への成長を通じて海外で競争できる企業を増やすという観点からの支援が必要である。
中小企業の事業・規模拡大促進策においては、一般的に中堅企業への規模拡大の可能性が高い企業群を重点的に支援することが効果的であると考えられる。制度設計ワーキンググループにおいては、こうした観点も踏まえ、中小企業の事業・規模拡大を支援する法律などについて、新たな支援対象類型を創設することが検討されている。
中小企業の成長・規模拡大の手法として、M&Aも効果的である。第1-3-4図は、吸収合併を実施した企業と、実施していない企業の労働生産性の推移を比較したものである。吸収合併を実施した企業の労働生産性が比較的高い水準となっていることがわかる。

令和3年度税制改正において、経営資源の集約化によって、生産性向上などを目指す計画の認定を受けた中小企業が、計画に基づくM&Aを実施した際の税制措置を創設することとした。制度設計ワーキンググループでは、中小企業のM&Aを促進するとともに、デューデリジェンスの実施を促すような支援の必要性や、所在不明株主の株式の買取り手続に必要な期間を短縮する措置を検討している。
また、海外需要を獲得することも重要である。第1-3-5図は、中小企業の海外展開比率を確認したものである。中小企業の海外展開はわずかに上昇基調であるものの、特に直接投資を実施する中小企業は必ずしも多くない。

このため、(株)日本政策金融公庫は、2021年1月から中小企業の海外子会社に直接融資を行う仕組みを構築し、中小企業の海外展開支援を強化した。今後、中小企業の進出ニーズの高いASEAN諸国を中心に、対象国の拡大を検討していく。
また、(独)中小企業基盤整備機構は、ファンドへの出資を通じて、出資先の販路開拓や組織管理体制の整備を支援し、中小企業の海外展開を支援している。