第4章 地域の稼ぐ力の強化、インバウンドの拡大
第1節 インバウンド需要拡大支援、地域資源の活用
1.JAPANブランド育成支援等事業【R2年度当初予算:10.0億円/R2年度1次補正予算:15.0億円】
2.各種展示会や商談会等による販路開拓支援【財政投融資】
中小企業・小規模事業者が農商工連携や地域資源活用等により開発した商品・サービス等について、中小企業基盤整備機構を通じて、展示会や商談会等の開催を行い、販路開拓・拡大を支援した。
3.販路開拓コーディネート事業【財政投融資】
中小企業基盤整備機構に商社・メーカー等出身の販路開拓の専門家(販路開拓コーディネーター)を配置し、中小企業者等が新商品・新技術・新サービスについて、首都圏・近畿圏におけるテストマーケティング活動の実践を通じ、新たな市場への手掛かりをつかむとともに、販路開拓の力をつけることを支援した。
4.J-GoodTech【財政投融資】
中小機構を通じて、ニッチトップやオンリーワンなどの優れた技術・製品を有する日本の中小企業の情報をウェブサイトに掲載し、国内大手メーカーや海外企業につなぐことで、中小企業の国内外販路開拓を支援した。
5.地域商店街の活性化に向けた総合的支援
地域商店街活性化法に基づき、商店街活性化事業計画を国が認定した商店街等について、支援措置を講じた。
6.全国商店街支援センターによる人材育成等
中小企業関係4団体が共同で設立した「全国商店街支援センター」において、人材育成、ノウハウ提供等の支援を行った。
7.企業活力強化資金(流通・サービス業関連)【財政投融資】
中小商業者・サービス業者等の経営の近代化及び流通機構の合理化並びに空き店舗等の解消を図るため、日本政策金融公庫が必要な資金の貸付を行った。
8.インバウンド需要拡大推進事業【R1年度補正予算:5.0億円】
個々の商材・サービスをまとめて提供する事業者と外国人専門家とのマッチングの支援、商品・サービスの磨き上げ・プロモーション等の支援を行った。令和2年度において、12件採択した。
また、中小商業・サービス業のグループ等がAIカメラを用いた入店・購買率分析等により、効果的な手法を導入して行う、インバウンド客の地域での消費額増加につながる取組の支援を行った。令和2年度において、7件採択した。
9.中心市街地活性化協議会運営支援事業【中小機構交付金の内数】
中心市街地活性化協議会の設立・運営に当たって、中小機構に設置された中心市街地活性化協議会支援センターを中心に、各種相談対応、HPやメールマガジンでの情報提供、交流会の開催によるネットワーク構築支援等を行った。2020年度(1月末時点)は169件の相談対応を実施した。
10.中心市街地商業等活性化アドバイザー派遣事業【中小機構交付金の内数】
中心市街地活性化協議会等が抱える様々な課題に対応するため、中小機構に登録された商業活性化に関する各分野の専門家を派遣した。2020年度(1月末時点)は12地域に専門家を派遣した。
11.中心市街地商業活性化診断・サポート事業【中小機構交付金の内数】
中心市街地活性化協議会等が行う中心市街地における商業活性化の取組を支援するため、中小機構における専門的ノウハウを活用し、セミナー等の企画・立案支援・講師の派遣や、個別事業の実効性を高めるための助言・診断・課題整理・情報提供等を行った。2020年度(1月末時点)は6地域でセミナーを開催し、4地域へ助言等を実施した。
12.中心市街地活性化のための税制措置【税制】
中心市街地活性化法による認定を受けた「特定民間中心市街地経済活力向上事業計画」に基づいて行われる不動産の取得等に対し、その不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率を1/2とする措置を講じた。
第2節 その他の地域活性化施策
1.観光産業等生産性向上資金【財政投融資】
観光産業等の生産性向上及び観光消費の底上げを通じた日本経済の活性化を図るため、中小企業に対して日本政策金融公庫が必要な資金の貸付を行った。
2.地域経済を牽引する企業に対する集中的な支援
地域未来投資促進法に基づき、地域の特性をいかして地域経済を牽引する事業(地域経済牽引事業)として、2020年12月末時点で2,596件が都道府県から承認されており、これらの事業に対して税制措置・金融措置・規制緩和・予算措置等による支援を行った。例えば、地域の成長発展の基盤強化に特に資する地域経済牽引事業に対する法人税等の税額控除・特別償却(地域未来投資促進税制)等を講じた。
また、地域経済の中心的な担い手となりうる「地域未来牽引企業」について、2020年10月に1,060者の追加選定を行い、これまでに選定された企業は全国で約4,700者となった。これらの企業に対して、予算措置等により販路開拓や設備投資等を集中的に支援した。
3.地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業【R2年度当初予算:5.0億円】
社会構造の変化に伴い顕在化している様々な領域における地域の社会的課題解決のため、複数地域に共通する課題を抽出し、地域内外の中小企業等が連携しつつ、ビジネスの手法を適用して効果的にその解決を図る取組を24件支援した。また、若年層の起業への関心や起業家に必要とされるマインドの向上を図り、将来の創業者を育成するため、起業家教育プログラムを実施する高等学校等及び起業家を招いて出前授業を行う高等学校等を約90件支援した。
4.地域企業イノベーション促進事業【R2年度当初予算:11.5億円】
地域経済の担い手となる企業群の新事業への挑戦を促すため、全国77のプロジェクトを組成し、以下の取組等を実施した。
- 地域のイノベーションを支える支援機関(大学、公設試験研究機関、金融機関等)からなる支援ネットワークの構築
- 支援ネットワークが新事業に取り組む地域企業群に提供する、事業の立ち上げから市場獲得までの、事業の成長段階に応じた総合的な支援(事業戦略策定、事業体制整備、研究開発、販路開拓、ノウハウ提供など)
5.(再掲)ローカル10,000プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金)【R2年度当初予算:9.0億円の内数】
6.地方拠点強化税制【税制】
地方における雇用創出のため、企業の本社機能(事務所、研究所、研修所)を東京23区から地方へ移転する場合や地方において拡充をする場合に、支援措置を講じた。具体的には、計画の認定を受けた企業のオフィス等に係る建物等の取得等について、取得価額の15%の特別償却(移転型事業の場合には、取得価額の25%)若しくは取得価額の4%の税額控除(移転型事業の場合には、取得価額の7%)の選択適用又はその地方拠点における雇用者数に応じた税額控除を講じる措置、及び企業の地方拠点強化に係る地方交付税による減収補填措置等を講じた。
第3節 海外展開支援
1.海外展開・事業再編資金【財政投融資】
日本政策金融公庫(中小企業事業、国民生活事業)を通じて、経済の構造的変化に適応するために海外展開又は海外展開事業の再編を行うことが経営上必要な中小企業、若しくは海外展開事業の業況悪化等により、本邦内における事業活動が影響を受けている中小企業の資金繰りを支援するための融資に加え、中小企業の海外子会社に対する直接融資の特例(クロスボーダーローン)を新設し、必要な融資を実施した。
2.(再掲)JAPANブランド育成支援等事業【令和2年度当初予算:10.0億円/令和2年度1次補正予算:15.0億円】
3.中小企業海外ビジネス人材育成支援事業(中小企業・小規模事業者人材対策事業)【R2年度当初予算:11.7億円】
中小企業の海外ビジネス担当者を対象に、海外の市場情報や制度情報の集め方、海外バイヤーとのコミュニケーション方法などの学習に加え、演習・グループワークをふんだんに織り交ぜ、海外ビジネス戦略の策定方法や、効果的な商談ツールの作成方法を指導した。さらに、海外駐在員や現地専門家による情報提供やアドバイスを実施し、最新の現地市場ニーズに基づいて戦略や商談ツールをブラッシュアップする機会を提供した。また、参加者と参加者の上長による事前評価と事後評価を行い、事業成果を測定・把握するとともに、参加者がプログラムへの参加報告を発表する場を設けて、他の中小企業の参考とした。
4.技術協力活用型・新興国市場開拓事業【R2年度当初予算:42.7億円の内数】
我が国企業の新興国市場獲得支援のため、以下の事業を実施した。
〔1〕経営・製造・オペレーション等に従事する開発途上国の管理者・技術者等に対し、日本への受入研修、専門家派遣による指導等を支援。令和2年度は76名の受入研修及び5名の専門家派遣を実施した(令和2年度12月末現在)。
〔2〕日本企業が高度外国人材の活用を進めることを通じて競争力を高める機会を提供するべく、日本企業による海外学生等を対象としたインターンシッププログラムを実施。
〔3〕中堅・中小企業が新興国の企業・大学等と共同で進める現地の社会課題の解決のための製品・サービスの開発や現地事業創出支援等への補助を実施。令和2年度は16案件の補助を行った。
5.中小企業の貿易保険利用における企業信用調査料の減免措置
中小企業の貿易保険を活用した輸出支援のため、貿易保険を利用する際の格付付与に必要な取引先の信用情報の提供について、日本貿易保険(NEXI)が代わって信用情報を取得し、その費用を負担する措置を引き続き講じた。2008年より3件としていた無料での信用調査を2015年度から8件に拡大。
6.中小企業による貿易保険の利用促進のための普及・広報活動(セミナー・相談会等)
中小企業による貿易保険の利用を促進するため、中小企業向けのホームページを刷新。日本政策金融公庫やJETRO等が全国で主催するセミナーや提携地方銀行等の行員勉強会等にNEXIから講師を派遣し、貿易保険の普及啓発を行った。説明会等では、中小企業向け商品である中小企業・農林水産業輸出代金保険を中心に、わかりやすい紹介動画や漫画冊子を活用し、貿易保険の一層の理解と普及に努めた。
7.貿易保険へのアクセス改善
中小企業の海外展開を支援するため、NEXIは、2011年12月に地方銀行11行との提携による「中小企業海外事業支援ネットワーク」を発足した。提携機関は年々拡大し、また、2016年には信用金庫とも提携を行うことで信金ネットワークを構築。現在では、全国111金融機関によるネットワークを構築している(2021年2月現在)。
8.民間損保企業との協業による海外投資保険の提供(NEXI再保険スキーム)
中堅・中小企業の海外展開を支援するため、貿易保険法の施行令を2019年7月に改正し、NEXIが、民間損保企業から海外投資保険の再保険を引き受けることを可能とした。大手損保企業を中心に、同年8月以降、全国の損保代理店を通じ、海外投資保険を提供開始。
9.安全保障貿易管理の支援【R2年度当初予算:16.0億円の内数】
外国為替及び外国貿易法に基づく安全保障貿易管理の実効性を向上させるため、企業の大多数を占める中小企業を対象に輸出管理の知識普及・啓発及び管理体制構築を支援する。
商工会議所や業界団体等と連携し、中小企業等を対象とした安全保障貿易管理に係る説明会及び相談会を開催した。機微技術や貨物を保有する中小企業等を調査し輸出管理体制の構築を促すとともに、輸出管理体制構築を検討する中小企業等に対して専門家による相談対応や派遣を通じて輸出管理体制の構築を支援した。
また、日本商工会議所及び商工会議所と連携し、東京・名古屋・大阪の各商工会議所に輸出管理の専門相談窓口を配置した。
(実績)
- 2021年1月までに、Web会議システムによる説明会を38回開催した。
- 2021年1月までに、個別相談会を55社に対し実施した。
- 2021年1月までに、専門家による輸出管理体制構築支援を前年度からの継続も含め66社に対し実施した。
10.新輸出大国コンソーシアム【R2年度当初予算:253.9億円の内数】
JETRO、中小企業基盤整備機構、商工会議所、商工会、金融機関等の支援機関を結集するとともに、幅広い分野における267名の専門家を確保(2021年1月25日時点)し、海外展開を図る中堅・中小企業に対して、事業計画の策定から販路開拓、現地での商談サポートに至るまで、総合的な支援をきめ細かに実施した。
11.越境EC等利活用促進事業【R2年度当初予算:253.9億円の内数】
海外の60以上の連携先がもつ主要ECサイトにJETROが「ジャパンモール」を設置し、海外ECサイトにおける食品や日用品等の日本商品の販売支援を実施した。
12.中堅・中小企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業【令和2年度当初予算:2.9億円】
中堅・中小企業の自律的な輸出拡大を目指し、輸出を支援する8事業者の新たなビジネスモデルの実証を支援した。
13.現地進出支援強化事業【R2年度当初予算:14.2億円】
情報提供、海外展示会や商談会等のオンライン化を図り販路拡大を支援、商談後のフォローアップ、現地進出後の事業安定・拡大支援(プラットフォーム事業)など、段階に応じた支援を提供し、海外進出、また発展させるまでを一貫して支援した。また、中小企業が多く進出している国の税制等について、セミナーや、各国税制等や税務に係る留意事項を記載したパンフレットの配布等により、海外展開を行う中小企業の税務に係る体制整備を支援した。
14.JICA海外協力隊(民間連携)(旧民間連携ボランティア制度)の活用及び帰国隊員とのマッチング【R2年度当初予算:1,511億円の内数】
国際協力機構(以下「JICA」という。)においては各企業のニーズに合わせ、社員をJICA海外協力隊として途上国に派遣する民間連携の制度を活用し、グローバル社会で活躍できる人材の育成に努めた。また、帰国したJICA海外協力隊の進路開拓支援の一環として、特定の途上国を熟知した人材(協力隊員)の採用を希望する企業の情報を帰国隊員に国際キャリア総合情報サイト(Partner)を通じて提供することや、これら企業と帰国隊員とが直接対話できる交流会や帰国報告会等をオンラインで開催した。
15.基礎調査、案件化調査、普及・実証・ビジネス化事業【R2年度当初予算:1,511億円の内数】
中小企業等が有する優れた技術や製品、アイデアを用いて、途上国が抱える課題の解決と企業の海外展開、ひいては各地の地域経済活性化も兼ねて実現することを目指すもの。
様々な事業ステージに対応する支援メニューとして、「基礎調査」、「案件化調査」及び「普及・実証・ビジネス化事業」を通じ、途上国の開発ニーズと中小企業の製品・技術のマッチングを支援した。
2020年度第2回公示から、提案企業と地域金融機関が連携して海外展開を検討・調査することで、途上国の課題を解決するSDGsビジネスの実現性を高めるとともに、地域活性化に一層資することを目的とする「地域金融機関連携案件」を募集した。
2020年度第2回公示において、感染症流行下での渡航制限を受け、海外での調査等実施を前提とする従来通りの「一般型」と、渡航を前提とせず、基本的に日本国内でのみ作業を行う「遠隔実施型」のどちらかを企業が選択できる方式を採用した。
16.中小企業等の海外展開支援(中小企業製品を活用した機材供与)【R2年度当初予算:1,632億円の内数】
途上国政府の要望や開発ニーズに基づき、日本の中小企業等の製品を供与することを通じ、その途上国の開発を支援するのみならず、中小企業等の製品に対する認知度の向上等を図るもの。
第4節 販路開拓支援
1.小規模事業対策推進等事業【R2年度当初予算:59.2億円】
小規模事業者支援法第7条に基づき認定を受けた「経営発達支援計画」に沿って商工会・商工会議所が取り組む伴走型の小規模事業者支援を推進し、小規模事業者の需要を見据えた事業計画の策定や販路開拓等を支援(採択数:1,463件)した(伴走型小規模事業者支援推進事業)。また、全国商工会連合会、日本商工会議所が各地の商工会、商工会議所等と連携して行う地域産業の活性化や観光ルート開発など地域の経済活性化に向けた取組を支援した(地域力活用新事業創出支援事業)。さらに、新型コロナウイルスによる影響や働き方改革等の制度改正による諸課題に対し、小規模事業者が円滑に対応できるよう全国の商工会・商工会議所等が窓口相談や専門家派遣を行った(専門家派遣等事業)。
2.地方公共団体による小規模事業者支援推進事業【R2年度当初予算:12.0億円】
ビジネスプランに基づいた経営を推進していくため、地方公共団体が、小規模事業者の経営計画作成や販路開拓等を支援する場合に、国がその支援施策の実行に係る経費の一部を支援(交付決定数:33件)した。
3.小規模事業者持続的発展支援事業【R1年度補正予算:3,600億円の内数】
小規模事業者持続化補助金において、事業者が、商工会・商工会議所と一体となって経営計画を作成し、販路開拓に取り組む費用を支援(2021年1月時点の採択数:26,826件)した。また、共同・協業販路開拓支援補助金において、地域経済を支える小規模事業者等が互いに足りない経営資源を補いながら商品やサービスを展開していく取組を支援(2021年1月時点の採択数:137件)した。