トップページ 白書・統計情報 小規模企業白書 2020年版 小規模企業白書(HTML版) 第2部 地域で価値を生み出す小規模事業者 第1章 地域の課題と小規模事業者の存在感 第2節 地域課題の認識と地域課題解決に対する期待

第2部 地域で価値を生み出す小規模事業者

第1章 地域の課題と小規模事業者の存在感

第2節 地域課題の認識と地域課題解決に対する期待

本節では、みずほ情報総研(株)が「令和元年度小規模事業者が地域において果たす経済的・社会的役割に関する調査事業」において実施した小規模事業者と住民を対象としたアンケート2, 3(以下、小規模事業者に対するアンケートを「事業者アンケート調査」、住民に対するアンケートを「住民アンケート調査」という。)を基に、小規模事業者と住民双方の視点から地域における課題の認識を整理する。さらに、住民アンケート調査から、こうした課題の解決に対する小規模事業者などへの期待について確認する。

2 みずほ情報総研(株)「地域における小規模事業者の事業活動等に関する調査」
・みずほ情報総研(株)が、2019年12月に商工会及び商工会議所の会員のうち、小規模事業者を対象に実施したWebアンケート調査(有効回答件数:商工会の会員4,628者、商工会議所の会員451者)。

3 みずほ情報総研(株)「普段の生活と地域とのかかわりに関するアンケート」
・みずほ情報総研(株)が、2019年12月にインターネット調査会社の保有するモニターの中から18歳以上の男女に対して調査を依頼し、平成27年国勢調査を基に性別、年齢、居住地のバランスを考慮した4,000件を回収したもの。

1 地域課題に対する認識

〔1〕地域課題の整理

地域における課題としては、様々なものが考えられるが、地域における小規模事業者、住民は、それぞれどのような認識を持っているのだろうか。

第2-1-6図は、小規模事業者に対して、事業にとって最も影響の大きい地域課題を確認したものである。これを見ると、84.6%が「経済振興」に課題意識を持っていることが分かる。

第2-1-6図 小規模事業者の事業にとって最も影響の大きい地域課題4

4 ここでいう「経済振興」とは、「商店街や中心市街地等の衰退」、「地場産業の衰退・不在」、「観光資源の不足」、「働き手の不足」、「働く場所の不足」を指す。
 ここでいう「インフラ」とは、「生活必需品・サービスを扱う店舗の減少」、「銀行・郵便局の減少」、「交通インフラの脆弱化」を指す。
 ここでいう「文化・環境」とは、「祭りや伝統行事・イベントの減少」、「親睦・交流行事の減少」、「美化・環境保全活動」を指す。
 ここでいう「福祉」とは、「高齢者支援(見守り等)の不足」、「保育機能の不足」、「障がい者支援の不足」、「教育機関の不足」、「医療・介護施設の不足」を指す。
 ここでいう「安全・防災」とは、「防災・消防活動の担い手不足」、「防犯・交通安全活動の担い手不足」を指す。

第2-1-7図は、さらに課題を細分化して示したものであり、小規模事業者の31.5%が「商店街や中心市街地等の衰退」、24.6%が「働き手の不足」、18.2%が「地場産業の衰退・不在」に課題意識を持っていることが分かる。

第2-1-7図 小規模事業者の事業にとって最も影響の大きい地域課題(詳細)5

5 ここでいう「これら以外」とは、「美化・環境保全活動」、「防災・消防活動の担い手不足」、「防犯・交通安全活動の担い手不足」、「高齢者支援(見守り等)の不足」、「保育機能の不足」、「障がい者支援の不足」、「教育機関の不足」、「医療・介護施設の不足」、「銀行・郵便局の減少」を指す。

第2-1-8図は、住民に対して、最も問題だと感じている地域課題について確認したものであり、56.6%が「経済振興」、18.3%が「インフラ」、17.7%が「福祉」に課題意識を持っていることが分かる。

第2-1-8図 住民が最も問題だと感じる地域課題6

6 ここでいう「経済振興」とは、「商店街や中心市街地等の衰退」、「地場産業の衰退・不在」、「観光資源の不足」、「働き手の不足」、「働く場所の不足」を指す。
 ここでいう「インフラ」とは、「生活必需品・サービスを扱う店舗の減少」、「銀行・郵便局の減少」、「交通インフラの脆弱化」を指す。
 ここでいう「福祉」とは、「高齢者支援(見守り等)の不足」、「保育機能の不足」、「障がい者支援の不足」、「教育機関の不足」、「医療・介護施設の不足」を指す。
 ここでいう「文化・環境」とは、「祭りや伝統行事・イベントの減少」、「親睦・交流行事の減少」、「美化・環境保全活動」を指す。
 ここでいう「安全・防災」とは、「防災・消防活動の担い手不足」、「防犯・交通安全活動の担い手不足」を指す。

第2-1-9図は、さらに課題を細分化して示したものであり、住民の24.1%が「商店街や中心市街地等の衰退」、13.4%が「働く場所の不足」、11.5%が「交通インフラの脆弱化」に課題意識を持っていることが分かる。

第2-1-9図 住民が最も問題だと感じる地域課題(詳細)7

7 ここでいう「これら以外」とは、「祭りや伝統行事・イベントの減少」、「親睦・交流行事の減少」、「美化・環境保全活動の不足」、「防災・消防活動の担い手不足」、「防犯・交通安全活動の担い手不足」、「障がい者支援の不足」、「教育機関の不足」、「銀行・郵便局の減少」、「その他」を指す。

第2-1-10図は、小規模事業者、住民双方の地域課題に対する認識について、回答割合の高い順に整理したものである。

事業者側、住民側ともに「商店街や中心市街地等の衰退」の回答割合が最も高くなっている。また、「交通インフラの脆弱化」や「生活必需品・サービスを扱う店舗の減少」といった回答も上位に入っており、こうした地域の生活インフラに関わる課題が顕在化していることが分かる。

また、事業者側では「働き手の不足」、住民側では「働く場所の不足」の割合が2番目に高くなっており、地域内での労働市場のミスマッチが示唆される。

さらに、事業者側では「地場産業の衰退・不在」や「観光資源の不足」を課題として挙げている割合も高いことが分かる。

第2-1-10図 事業者、住民別の地域課題に対する認識

2 住民の地域に対する満足度と地域課題解決への期待

第2-1-11図は、住民の居住地域に対する満足度を見たものである。これを見ると、人口密度の低い地域ほど、「総合的な満足度」、「生活の利便性に対する満足度」ともに、低い傾向にあることが分かる。

第2-1-11図 人口密度区分別に見た、住民の居住地域に対する満足度

また、第2-1-12図は、人口密度区分別に、地域課題の解決に向けた取組状況についての住民の認識を見たものであるが、人口密度が低い地域の住民ほど、地域課題解決に向けた取組が行われていないと感じている割合が高い。

第2-1-12図 人口密度区分別に見た、地域課題の解決に向けた取組状況

第2-1-13図では、住民に対して、地域課題の解決に当たり、中心的な役割を担うことが期待される者を確認した。これを見ると、「地域内の小規模事業者」に期待する住民は多く、特に最も人口密度が低い「区分1」では、「地方自治体(警察・消防を含む)」、「公的支援機関(商工会・商工会議所等)」を上回る回答割合となっていることが分かる。

第2-1-13図 地域課題の解決に当たり、中心的な役割を担うことが期待される者