令和2年度において講じようとする中小企業施策
第3章 地域の稼ぐ力の強化、インバウンドの拡大
第1節 インバウンド需要拡大支援、地域資源の活用
1.JAPANブランド育成支援等事業【R2年度当初予算:10.0億円】
中小企業等が海外展開や全国展開、インバウンド需要の獲得を目的とし、自らが持つ素材や技術等の強みを踏まえた戦略の策定や、当該戦略に基づいて行う商品の開発や海外展示会への出展等の取組を支援する。また、民間支援事業者や地域の支援機関等が複数の中小企業者に対して行う海外展開や全国展開、インバウンド需要の獲得等に関する支援を行うとき、その経費の一部を補助する。(継続)
2.各種展示会や商談会等による販路開拓支援
中小企業・小規模事業者が農商工連携や地域資源活用等により開発した商品・サービス等について、中小企業基盤整備機構が展示会や商談会等の開催を通じて、販路開拓・拡大を支援する。(継続)
3.販路開拓サポート支援事業
中小企業基盤整備機構の全国10支部・事務所にマーケティング等に精通した専門家を配置し、中小企業等経営強化法、中小企業地域産業資源活用促進法、農商工連携促進法に基づく事業計画の策定により、新事業に取り組む中小企業等に対して一貫してきめ細やかな支援を行う。(継続)
4.販路開拓コーディネート事業
中小企業者等が新商品・新技術・新サービスについて、首都圏・近畿圏におけるテストマーケティング活動の実践を通じ、新たな市場への手がかりを掴むとともに、販路開拓の力をつけることを中小企業基盤整備機構に配置されている商社・メーカー等出身の販路開拓の専門家(販路開拓コーディネータが支援する。(継続)
5.J-GoodTech
中小企業基盤整備機構が、ニッチトップやオンリーワンなどの優れた技術・製品を有する日本の中小企業の情報をウェブサイトに掲載し、国内大手メーカーや海外企業につなぐことで、中小企業の国内外販路開拓を支援する。(継続)
6.地域商店街の活性化に向けた総合的支援
地域商店街活性化法に基づき、商店街活性化事業計画を国が認定した商店街等について、支援措置を講じる。(継続)
7.全国商店街支援センターによる人材育成等
中心市街地活性化協議会の設立・運営にあたって、中小企業基盤整備機構に設置された中心市街地活性化協議会支援センターを中心に、各種相談対応、HPやメールマガジンでの情報提供、交流会の開催によるネットワーク構築支援等を行う。(継続)
8.中心市街地活性化協議会運営支援事業【中小企業基盤整備機構交付金の内数】
中心市街地活性化協議会の設立・運営にあたって、中小企業基盤整備機構に設置された中心市街地活性化協議会支援センターを中心に、各種相談対応、HPやメールマガジンでの情報提供、交流会の開催によるネットワーク構築支援等を行う。(継続)
9.中心市街地商業等活性化アドバイザー派遣事業【中小企業基盤整備機構交付金の内数】
中心市街地活性化協議会の設立・運営にあたって、中小企業基盤整備機構に設置された中心市街地活性化協議会支援センターを中心に、各種相談対応、HPやメールマガジンでの情報提供、交流会の開催によるネットワーク構築支援等を行う。(継続)
10.中心市街地商業活性化診断・サポート事業【中小企業基盤整備機構交付金の内数】
中心市街地活性化協議会等が行う中心市街地における商業活性化の取組を支援するため、中小企業基盤整備機構における専門的ノウハウを活用し、セミナー等の企画・立案支援・講師の派遣や、個別事業の実効性を高めるための助言・診断・課題整理・情報提供等を行う。(継続)
11.企業活力強化資金(流通・サービス業関連)【財政投融資】
中小商業者・サービス業者等の経営の近代化及び流通機構の合理化並びに空き店舗等の解消を図るため、日本政策金融公庫が必要な資金の貸付を行う。(継続)
12.インバウンド需要拡大推進事業【R2年度当初予算:5.0億円】
個々の商材・サービスをまとめて提供する事業者と外国人専門家とのマッチングの支援、商品・サービスの磨き上げ・プロモーション等を支援する。また、中小商業・サービス業のグループ等がAIカメラを用いた入店・購買率分析等により、効果的な手法を導入して行う、インバウンド客の地域での消費額増加につながる取組を支援する。(新規)
13.中心市街地活性化のための税制措置【税制】
中心市街地活性化法による認定を受けた「特定民間中心市街地経済活力向上事業計画」に基づいて行われる不動産の取得等に対し、その不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率を1/2とする措置を講じる。(継続)
第2節 その他の地域活性化施策
1.地域経済を牽引する企業に対する集中的な支援
地域経済の活性化に向け、引き続き、地域未来投資促進法に基づき、地域の特性をいかして地域経済を牽引する事業に対し予算・税制措置等による支援を行うとともに、同法の改正を前提に、地域企業の成長及び地域のサプライチェーンの強化に向けた措置を新たに講じる。
また、地域経済の担い手となりうる「地域未来牽引企業」については、企業が機能に応じて設定する目標の実現に向けて、中小企業支援施策等を総動員して、重点支援を更に強化するとともに、更新制を導入する。あわせて、追加選定を実施する。(継続)
2.(再掲)ローカル10,000プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金)【R2年度当初予算:9.0億円】
3.地方拠点強化税制【税制】
地方創生のためには、東京一極集中の是正に向けて、地方における雇用を創出することが必要である。このため、企業の本社機能(事務所、研究所、研修所)を東京23区から地方へ移転する場合や地方において拡充をする場合に、支援措置を講じる。具体的には、計画の認定を受けた企業のオフィス等に係る建物等の取得等について、取得価額の15%の特別償却(移転型事業の場合には、取得価額の25%)若しくは取得価額の4%の税額控除(移転型事業の場合には、取得価額の7%)の選択適用又はその地方拠点における雇用者数に応じた税額控除を講じる措置、及び企業の地方拠点強化に係る地方交付税による減収補填措置等を引き続き講じる。また、令和2年度税制改正では、本税制の適用期限を2年間延長するとともに、企業や自治体のニーズを踏まえ、〔1〕本社機能を東京23区から地方に移転する場合の雇用への増加に対するインセンティブの強化、〔2〕要件の見直しによる制度の簡素化などの見直しを行うこととされた。(継続)
4.地域企業イノベーション促進事業【R2年度当初予算:11.5億円】
地域経済の担い手となる企業群の新事業への挑戦を促すため、以下の取組等を実施する。
- 地域のイノベーションを支える支援機関(大学、公設試験研究機関、金融機関等)からなる支援ネットワークの構築。
- 支援ネットワークが新事業に取り組む地域企業群に提供する、事業の立ち上げから市場獲得までの、事業の成長段階に応じた総合的な支援(事業戦略策定、事業体制整備、研究開発、販路開拓、ノウハウ提供など)。(継続)
5.観光産業等生産性向上資金【財政投融資】
観光産業等の生産性向上及び観光消費の底上げを通じた日本経済の活性化を図るため、中小企業に対して日本政策金融公庫が必要な資金の貸付を行う。(継続)
6.地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業【R2年度当初予算:5億円】
社会構造の変化に伴い顕在化している様々な領域における地域の社会的課題解決のため、複数地域に共通する課題を抽出し、地域内外の中小企業等が連携しつつ、ビジネスの手法を適用して効果的にその解決を図る取組を支援する。(新規)
第3節 海外展開支援
1.現地進出支援強化事業【R2年度当初予算:19億円】
情報提供、海外展示会や商談会等を通じた販路拡大支援、商談後のフォローアップ、現地進出後の事業安定・拡大支援(プラットフォーム事業)など、段階に応じた支援を提供し、海外進出、また発展させるまでを一貫して支援する。また、中小企業が多く進出している国の税制等について、セミナーや、各国税制等や税務に係る留意事項を記載したパンフレットの配布等により、海外展開を行う中小企業の税務に係る態勢整備を支援する。(継続)
2.(再掲)JAPANブランド育成支援等事業【R2年度当初予算:10.0億円】
3.中小企業海外ビジネス人材育成支援事業【R2年度当初予算:11.7億円の内数】
中小企業の海外ビジネス担当者を対象に、海外の市場情報や制度情報の集め方、海外バイヤーとのコミュニケーション方法などの学習に加え、グループワークを通じた海外ビジネス戦略・方針の策定、海外でのフィールドワークによる市場調査経験(初級)や実践的な現場研修(上級)ができるプログラムを提供する。また、参加者と参加者の上長による事前評価と、事後評価を行い事業成果を測定・把握するとともに、参加者がプログラムへの参加報告を発表する場を設けて、他の中小企業の参考とする。(継続)
4.日本の中堅・中小企業とのグローバルアライアンス支援
日本の中堅・中小企業と外国企業との投資提携等を支援すべく、JETRO、中小企業基盤整備機構等の関係機関が連携し、対日投資に関心のある外国企業と国内中堅・中小企業とのマッチング支援を引き続き実施。(継続)
5.海外展開・事業再編資金【財政投融資】
経済の構造的変化に適応するために海外展開または海外展開事業の再編を行うことが経営上必要な中小企業、もしくは海外展開事業の業況悪化等により、本邦内における事業活動が影響を受けている中小企業の資金繰りを支援するため、日本政策金融公庫(中小企業事業、国民生活事業)による融資を実施する。(継続)
6.海外子会社の資金調達支援等
中小企業経営力強化支援法に基づき、日本政策金融公庫が新事業活動促進法の経営革新計画の承認等を受けた中小企業者の海外子会社等の現地金融機関からの借入れに対して債務保証を実施する。
7.技術協力活用型・新興国市場開拓事業【R2年度当初予算:42.7億円】
我が国企業の新興国市場獲得支援のため、以下の事業を実施。
〔1〕日本企業が海外進出先での事業活動を担う現地人材の育成のために実施する日本での受入研修、現地への専門家派遣等の取組への補助を行う。〔2〕海外展開を目指す日本企業における高度外国人材の活用を進めるため、海外学生等のインターンシップ受入れ機会の提供や海外でのジョブフェアを開催する。〔3〕中堅・中小企業が新興国の企業・大学等と共同で進める現地の社会課題の解決のための製品・サービスの開発や現地事業創出支援等への補助を行う。
8.JICA海外協力隊(民間連携)(旧民間連携ボランティア制度)の活用及び帰国隊員とのマッチング【R2年度予算:1,510.6億円の内数】
国際協力機構(以下「JICA」という。)においては各企業のニーズに合わせ、社員をJICA海外協力隊として途上国に派遣する民間連携の制度を活用し、グローバル社会で活躍できる人材の育成に努める。また、帰国したJICA海外協力隊の進路開拓支援の一環として、特定の途上国を熟知した人材(協力隊員)の採用を希望する企業の情報を帰国隊員に提供したり、これら企業と帰国隊員とが直接対話できる交流会や帰国報告会等を開催する。(継続)
9.中小企業の貿易保険利用における企業信用調査料の減免措置
中小企業の貿易保険を活用した輸出支援のため、貿易保険を利用する際の格付付与に必要な取引先の信用情報の提供について、日本貿易保険(以下「NEXI」という。)が代わって信用情報を取得し、その費用を負担する措置を引き続き講じる。(継続)
10.中小企業による貿易保険の利用促進のための普及・広報活動(セミナー・相談会等)
中小企業による貿易保険の利用を促進するため、NEXIの中小企業向けのホームページを刷新。日本政策金融公庫やJETRO等が全国で主催するセミナーや提携地方銀行等の行員勉強会等にNEXIから講師を派遣し、貿易保険の普及啓発を行う。説明会等では、中小企業向け商品である中小企業・農林水産業輸出代金保険を中心に、わかりやすい紹介動画や漫画冊子を活用し、引き続き貿易保険の一層の理解と普及に努める。(継続)
11.貿易保険へのアクセス改善
中小企業の海外展開を支援するため、NEXIは、2011年12月に地方銀行11行との提携による「中小企業海外事業支援ネットワーク」を発足。提携機関は年々拡大し、また、2016年には信用金庫とも提携を行うことで信金ネットワークを構築。現在では、全国111金融機関によるネットワークを構築(2020年2月現在)。引き続きネットワークの拡大を図る。(継続)
12.民間損保企業との協業による海外投資保険の提供(NEXI再保険スキーム)
中堅・中小企業の海外展開を支援するため、貿易保険法の施行令を2019年7月に改正し、NEXIが、民間損保企業から海外投資保険の再保険を引き受けることを可能とした。大手損保企業を中心に、同年8月以降、全国の損保代理店を通じ、海外投資保険を提供開始。協業先である民間損保企業と共に、本スキームに関する知名度向上のための更なる情報発信を行い、一層の利用拡大に努める。(継続)
13.中小企業等アウトリーチ事業(重要技術管理体制強化事業)【R2年度当初予算:1.14億円】
外国為替及び外国貿易法に基づく安全保障貿易管理の実効性を向上させるため、企業の大多数を占める中小企業を対象に輸出管理の知識普及・啓発及び管理体制構築を支援する。機微技術や貨物を保有する中小企業を調査し、輸出管理体制の構築を促す。中小企業等を対象とした安全保障貿易管理に係る説明会を全国で開催し、専門家による輸出管理の体制構築支援を行う。(継続)
14.基礎調査,案件化調査,普及・実証・ビジネス化事業(中小企業製品・技術とODAのマッチング事業)【R2年度当初予算:1,510.6億円の内数】
ODAにより、日本の中小企業等の優れた製品・技術等を途上国の開発に活用することで、途上国の開発と日本経済の活性化の両立を図ることを目的としている。(継続)
15.中小企業等の海外展開支援(中小企業製品を活用した機材供与)【R2年度当初予算:1,632.0億円の内数】
途上国政府の要望や開発ニーズに基づき、日本の中小企業等の製品を供与することを通じ、その途上国の開発を支援するのみならず、中小企業等の製品に対する認知度の向上等を図るもの。(継続)
16.新輸出大国コンソーシアム【R2年度当初予算:253.9億円の内数】
JETRO、中小企業基盤整備機構、商工会議所、商工会、金融機関等の支援機関を結集するとともに、幅広い分野の専門家を確保し、海外展開を図る中堅・中小企業に対して、事業計画の策定から販路開拓、現地での商談サポートに至るまで、総合的に支援する。(継続)
17.越境EC等利用促進事業【R2年度当初予算:253.9億円の内数】
世界のEC市場の急成長が予想される中、JETROが海外の主要ECサイトに「ジャパンモール」を設置し、海外ECサイトにおける食品や日用品等の日本商品の販売支援の取組を実施する。(継続)
18.中堅・中小企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業【R2年度当初予算:2.9億円】
地域の中堅・中小企業の輸出を支援する民間事業者による新たなビジネスモデルについて、有望な事例を公募し、ECサイト構築費、プロモーション経費、商談会経費等について実証的に支援する。(新規)
第4節 販路開拓支援
1.小規模事業対策推進等事業【R2年度当初予算:59.2億円】
小規模事業者支援法に基づき認定を受けた「経営発達支援計画」に沿って商工会・商工会議所が取り組む伴走型の小規模事業者支援を推進し、小規模事業者の経営分析や事業計画の策定、需要開拓等を支援する。また、全国商工会連合会、日本商工会議所が実施する商工会、商工会議所等と連携し、地域の産業の活性化や観光開発など、地域の経済活性化に向けた取組を支援する。さらに、働き方改革等の制度改正による諸課題に対し、小規模事業者が円滑に対応できるよう商工会・商工会議所等が、窓口相談や専門家を派遣する。(継続)
2.地方公共団体による小規模事業者支援推進事業【R2年度当初予算:12.0億円】
ビジネスプランに基づいた経営を推進していくため、地方公共団体が、小規模事業者の経営計画作成や販路開拓等を支援する場合に、国がその支援施策の実行に係る経費の一部を支援する。(継続)
3.小規模事業者持続的発展支援事業【R1年度補正予算:3,600億円の内数】
小規模事業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓の取組を支援する(小規模事業者持続化補助金)。また、地域経済を支える小規模事業者等が互いに足らざる経営資源を補いながら商品やサービスを展開していく取組を支援する(共同・協業販路開拓支援事業費補助金)。(継続)