トップページ 白書・統計情報 中小企業白書 2020年版 中小企業白書(HTML版) 令和2年度において講じようとする中小企業施策 第2章 生産性向上・デジタル化

令和2年度において講じようとする中小企業施策

第2章 生産性向上・デジタル化

第1節 生産性向上・技術力の強化

1.戦略的基盤技術高度化・連携支援事業【R2年度当初予算:142.7億円の内数】

中小企業・小規模事業者が大学、公設試等の研究機関等と連携して行う革新的な研究開発等に関する取組やIT利活用等による新しいサービスモデルの開発等を支援する。2020年度からは従来申請要件としていた法律による認定等を不要とし、申請負担の軽減を図る。

2.産業技術総合研究所における中堅・中小企業への橋渡しの取組【産業技術総合研究所運営費交付金の内数】

産総研の技術シーズと企業等のニーズを橋渡しするコーディネータを拡充し、200名配置(2019年11月1日時点)。中小企業等を支援するコーディネータにより、適切な専門家を紹介し自社だけでは研究できないテーマについては、受託研究や共同研究などを実施する。(継続)

3.中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律に基づく総合支援

中小ものづくり高度化法に基づき、高度化指針に沿った特定研究開発等計画について認定を行い、計画が認定された中小企業・小規模事業者に対して、中小企業信用保険法や中小企業投資育成株式会社法の特例等により総合的な支援を実施する。(継続)

4.生産性革命のための固定資産税の減免措置【税制】

生産性向上特別措置法に基づく市町村の導入促進基本計画に適合し、かつ、労働生産性を年平均3%以上向上させるものとして認定を受けた中小事業者等の先端設備等導入計画に記載された一定の機械・装置等であって、生産、販売活動等の用に直接供されるものに係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間価格にゼロ以上2分の1以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額とする措置。(継続)

5.研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)【税制】

2019年に引き続き、中小企業者等について、試験研究費の総額に応じて税額控除を認める「総額型」に、試験研究費の増加割合に応じた税額控除率(12%~17%)を適用する(大企業は6%~14%)措置、試験研究費の増加割合が8%を超える場合には税額控除の上限を10%上乗せする措置、特別試験研究費(大学、国の研究機関、企業等との共同・委託研究等の費用)の総額に係る税額控除制度、試験研究費の額が平均売上金額の10%相当額を超える場合の控除率の一定程度割増し及び税額控除の上限を上乗せする制度並びに研究開発を行う一定のベンチャー企業に係る控除上限額の引上げ措置等を講じる。(継続)

6.中小企業技術革新制度(SBIR制度)に基づく支援

新産業の創出につながる新技術開発のための特定補助金等の指定、支出の目標額、特定補助金等を利用して開発した成果の事業化支援措置等の方針の作成等により、引き続き国の研究開発予算の中小企業・小規模事業者への提供拡大及び技術開発成果の事業化を図る。また、イノベーション創出を図る観点から「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」に同制度を位置づけ、内閣府を中心とした省庁連携の取組を強化するための改正法案が第201回通常国会に提出されたことを受けて、制度の見直しに係る検討等を進める。(継続)

7.医工連携イノベーション推進事業【R2年度当初予算:21.4億円の内数】

医療機器開発支援ネットワークを推進し、開発初期段階から事業化に至るまでの切れ目ない支援として伴走コンサルを実施する。また、ものづくり中小企業や医療機関等の連携による医療機器開発を促進するため、2020年度は開発・事業化事業において35件程度の医療機器実用化を支援する。(新規)

8.企業活力強化資金(ものづくり法関連)

中小企業者のものづくり基盤技術の高度化の促進を図るため、日本政策金融公庫が必要な資金の貸付を行う。(継続)

9.中小企業等経営強化法

中小企業者等が、経営力向上のための人材育成や財務管理、設備投資などの取組を記載した経営力向上計画を策定し、認定された企業に対し、即時償却または取得価額の10%の税額控除の選択適用が可能な措置や日本政策金融公庫の融資制度等、税制面や金融面の支援を講じる。(継続)

10.中小企業経営強化税制【税制】

中小企業等経営強化法に基づき経営力向上計画の認定を受けた中小企業が、その経営力向上計画に基づき経営力向上設備等を取得した場合に、即時償却又は10%の税額控除(資本金3,000万円超の法人の税額控除は7%)ができる措置。(継続)

11.賃上げの促進に係る税制【税制】

持続的な賃上げや人材投資等に取り組む中小企業等を支援するため、給与等支給額を増加させた場合に、その増加額の一定割合の税額控除ができる措置である。具体的には、〔1〕継続雇用者給与等支給額を対前年度比で1.5%以上増加させた場合には、給与等支給総額の対前年度増加額の15%の税額控除、さらに、〔2〕継続雇用者給与等支給額を前年度比で2.5%以上増加させ、かつ、人材投資や生産性向上に取り組む場合には、給与等支給総額の対前年度増加額の25%の税額控除ができることとしている。(所得拡大促進税制)(継続)

12.ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業【R2年度当初予算:10.1億円の内数】

複数の中小企業・小規模事業者等が事業者間でデータ・情報を共有し、連携体全体として新たな付加価値の創造や生産性の向上を図るプロジェクトや、地域経済牽引事業計画の承認を受けて連携して新しい事業を行い、地域経済への波及効果をもたらすプロジェクト、幹事企業が主導し、中小企業・小規模事業者等を束ねて面的に生産性向上を推進する取組を支援する。(継続)

第2節 IT化の促進

1.政府系金融機関の情報化投資融資制度(IT活用促進資金)【財政投融資】

日本政策金融公庫による融資を引き続き実施し、2020年度からは、AIを活用して生産性の向上を図る取組を実施する事業者や、情報処理支援業務に必要な事業を行う情報処理支援機関に対して、低利の融資を新たに実施する。(継続)

2.共創型サービスIT連携支援事業【R2年度当初予算:5.0億円】

既存の複数のITツールを連携・組合せたシステムを中小サービス業等が導入する際にかかる費用を支援する。また、その際、ITベンダーと中小サービス業等が共同でITツールの機能改善を進め、当該ツールの汎用化による業種内・他地域への普及を目指す取組を支援する。(新規)

3.認定情報処理支援機関(スマートSMEサポーター)

中小企業の生産性向上に資するITツールを提供するITベンダー等を、経済産業大臣が「情報処理支援機関(スマートSMEサポーター)」として認定し、中小企業に対してIT利活用(サイバーセキュリティを含む)に係る指導、助言、情報提供等に関する支援を行う。

第3節 人材・雇用対策

1.地域中小企業人材確保等支援事業【R2年度当初予算:11.7億円の内数】

経営資源の乏しい中小企業・小規模事業者の人材の確保を支援することを目的に、地域特性に合わせ、各地の中小企業・小規模事業者が必要とする人材を地域内外から発掘、確保、定着等人材確保支援を実施する(継続)また、中核人材確保のため、地域の経営支援機関等による経営課題の明確化・人材ニーズの掘り起こし等の支援ノウハウの向上や、ネットワークづくりの取組等の支援を行う。(新規)

2.サプライヤー応援隊事業【R2年度当初予算:11.7億円の内数】

民間団体等が、中小企業・小規模事業者の次世代自動車への対応等を支援する人材(サプライヤー応援隊)を育成し、派遣する事業に対して、必要経費の1/2を補助し、自動車産業の底上げを図る。

3.中小企業大学校における人材育成

全国9か所にある中小企業大学校において、中小企業の経営者、管理者等を対象に経営課題の解決に直接結びつくような研修等を実施する。また、地域中小企業等からのアクセス改善に向けた「サテライト・ゼミ」等の実施や、豊富なメニューを揃えたウェブ活用型研修「WEBee Campus」、ケースメソッド型の高度実践プログラムを行う。(継続)

4.労働者の雇用維持対策【R2年度当初予算:35.1億円】

景気の変動等にともなう経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業、教育訓練又は出向により、労働者の雇用の維持を図った場合に、雇用調整助成金を支給するとともに、不正受給防止対策にも積極的に取り組み、本助成金のより一層の適正な支給に努める。(継続)

5.人材確保等支援助成金(魅力ある職場づくりに向けた雇用管理の改善の支援)【R2年度当初予算:72.7億円】

人材確保等支援助成金においては、2019年度に実施した助成の他、事業主が外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を通じて、外国人労働者の職場定着に取り組む場合に助成を行う「外国人労働者就労環境整備助成コース(仮称)」を2020年4月に創設予定。(継続)

6.地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)【R2年度当初予算:24.7億円】

地域における雇用の創出及び安定を図るため、雇用機会の不足している地域等において事業所の設置又は整備を行い、併せて地域の求職者等を雇い入れる事業主に対して、設置等の費用及び雇入れ人数に応じて助成を行う地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)を支給する。(継続)

7.中途採用等支援助成金(UIJターンコース)【R2年度当初予算:2.3億円】

東京一極集中の是正を図るとともに、人手不足に直面する地域の企業の人材確保を図るため、地方公共団体が地方創生推進交付金(移住・起業・就業タイプ)を活用して実施する移住支援事業により移住した者を雇い入れた事業主に対して、その採用活動に要した経費の一部を助成する。(継続)

8.地域活性化雇用創造プロジェクト【R2年度当初予算:52.6億円】

地域における安定した良質な雇用の創出・確保に向けた取組を推進するため、産業政策と一体となって正社員雇用の創出・確保に取り組む都道府県を支援する地域活性化雇用創造プロジェクトを実施する。(継続)

9.成長分野等への人材移動の促進【R2年度当初予算:36.2億円】

労働移動支援助成金(再就職支援コース)により、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者(再就職援助計画対象者等)に対する再就職支援を民間職業紹介事業者への委託等により行う事業主に対して助成する。また、再就職援助計画対象者等を早期に雇い入れた事業主に対して労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)を支給し、当該労働者に対して訓練を実施した事業主に対してはさらに追加の助成を行う。加えて、中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)により、中途採用者の能力評価、賃金、処遇の制度を整備した上で中途採用者の採用を拡大させた事業主に対する助成を行う。(継続)

10.人材確保対策推進事業【R2年度当初予算:38.6億円】

「人材確保対策コーナー」の拡充等を行い、人材不足分野におけるマッチング支援の強化を図る。(継続)

11.若者雇用促進法に基づくユースエール認定制度【R2年度当初予算:5.5億円の内数】

若者の雇用管理が優良な中小企業について、「青少年の雇用の促進等に関する法律」(昭和45年法律第98号)に基づき、厚生労働大臣が「ユースエール認定」企業として認定し、中小企業の情報発信を後押しすることにより、当該企業が求める人材の円滑な採用を支援する。

12.最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者支援【R2年度当初予算:175.4億円】

最低賃金・生産性向上による賃金の引上げに向けた中小企業・小規模事業者の生産性向上等のための支援として、

〔1〕働き方改革に関する相談等にワンストップで対応するため、「働き方改革推進支援センター」を全国47都道府県に設置し、無料の相談対応・専門家派遣を実施する。(継続)

〔2〕生産性を高めながら労働時間の縮減や賃金引上げ等に取組む中小企業・小規模事業者や傘下企業を支援する事業主団体に対し、その取組に要した費用を助成する。(継続)

〔3〕全国47都道府県において、企業の生産性向上に資する設備・器具の導入、経営コンサルティングの実施などの業務改善を行うとともに、事業場内の最低賃金(事業場内で最も低い時間給)を一定額以上引き上げる中小企業・小規模事業者に対し、その業務改善に要した経費の一部を助成する。(継続)

13.キャリアコンサルティングの普及促進

民間職業紹介・就職支援機関や企業の人事管理・人材育成部門、学校におけるキャリア教育などにおいて、キャリアコンサルティング(労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと。)の活用について普及促進を進める。2016年4月には、キャリアコンサルティングを行う専門家として「キャリアコンサルタント」を国家資格化したことから、当該資格の周知を進める。また、2020年度に新設するキャリア形成サポートセンターを通じて、企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組み、また、そのための企業内の「仕組み」である「セルフ・キャリアドック」の導入を推進する。(継続)

14.(再掲)賃上げの促進に係る税制【税制】