トップページ 白書・統計情報 中小企業白書 2020年版 中小企業白書(HTML版) 令和元年度において講じた中小企業施策 第6章 業種別・分野別施策

令和元年度において講じた中小企業施策

第6章 業種別・分野別施策

第1節 中小農林水産関連企業支援

1.6次産業化の推進

(1)食料産業・6次産業化交付金【H31年度当初予算:14.3億円】

農林漁業者等が多様な事業者とネットワークを構築して行う新商品開発や販路開拓の取組、農林水産物の加工・販売施設の整備等を支援した。また、市町村の6次産業化等に関する戦略に沿って行う地域ぐるみの6次産業化の取組及び新たな高付加価値商品等の創出・事業化に必要な技術実証、マーケティング等を支援した。

(2)農林漁業成長産業化ファンドの積極的活用

農林漁業成長産業化ファンドを通じて、農林漁業者が主体となった6次産業化の取組や、農業生産関連事業者による生産資材価格の引下げや農産物の流通・加工構造の改革に向けた取組等に対し、資本の提供と経営支援を一体的に実施した。なお、最近の出資状況、過去の投資実績等を踏まえ、農林漁業成長産業化ファンドに対し、2021年度以降、新たな出資の決定を行わない等の方向で、投資計画の見直しを指示した。(継続)

2.中小農林水産事業者向け支援

(1)木材産業等高度化推進資金、林業・木材産業改善資金【H31年度融資枠:639.5億円の内数】

木材の生産・流通を合理化するため、木材産業等高度化推進資金による融資を行うとともに、林業・木材産業の経営改善等を実施するため、林業・木材産業改善資金を融資した。(継続)

(2)木材加工設備導入等利子助成支援事業【H31年度当初予算:0.03億円】

品質・性能の確かな木材製品を低コストで安定的に供給するため、製材業を営む企業等が実施する設備導入等と共に、川中事業者を核とする安定供給体制の構築に必要な借入金に対して利子助成を行った。(継続)

(3)林業成長産業化総合対策のうち林業・木材産業成長産業化促進対策のうち木材産業等競争力強化対策(うち木材加工流通施設等の整備)【H31年度当初予算:234.7億円】

川上から川下の事業者が連携し、生産・加工・流通コストの削減を図ることにより、木材製品の安定的な供給のための木材加工流通施設整備を支援した。(新規)

(4)強い農業・担い手づくり総合支援交付金による乳業再編整備等への支援【H31年度予算:強い農業・担い手づくり総合支援交付金230.2億円の内数】

中小乳業の製造販売コストの低減や衛生水準の高度化を図るため、乳業工場の施設の新増設・廃棄、新増設を伴わない場合の乳業工場の廃棄等を支援した。

(5)食品産業品質管理高度化促進資

金食品の安全性の向上と消費者の信頼を確保するため、食品の製造管理の高度化に関する臨時措置法に基づき、〔1〕HACCP導入のための施設、設備の整備、〔2〕HACCP導入の前段階の一般衛生管理や品質管理を行うための体制、施設・設備の整備(高度化基盤整備)への金融支援を行った。(継続)

(6)海外需要創出等支援対策事業【H31年度当初予算:34.1億円】

国内での商談会の開催及び海外見本市への出展支援、セミナーの開催、専門家等による輸出に関する相談対応等、日本貿易振興機構による輸出総合サポートを実施。国・地域及びテーマを絞り込み、売り込むべきメッセージを明確にした日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)による重点的・戦略的プロモーションを実施した。品目別輸出団体等が行うオールジャパンでのPR活動や新たな販路開拓等の取組や支援及び輸出拡大が具体的に見込まれる分野テーマに関して、品目横断的なPR活動等を支援した。(継続)

(7)輸出環境整備推進事業(うち輸出環境課題の解決に向けた支援)【H31年度当初予算:5.5億円】

「農林水産業の輸出力強化戦略」に掲げる重点品目等について、国際的に通用する認証の取得・更新(ISO22000等)、輸出対象国・地域が求める検疫等条件への対応(登録園地査察、ハラール認証等)、輸出対象国・地域において他国産との差別化が図られる規格認証の取得・更新(有機JAS認証等)等を行う取組への支援を実施した。(継続)

(8)地理的表示保護制度活用総合推進事業【H31年度当初予算:1.6億円】

地理的表示(GI)の登録申請支援窓口の設置や申請に必要な調査に対する補助、GIに関する展示会等の開催による制度の普及啓発、国内外へ向けたGI産品の情報発信、海外における知的財産の侵害対策強化等の取組を実施した。(継続)

(9)水産加工業者向けワンストップ窓口の設置

水産施策や中小企業施策等の各種支援策等が水産加工業者に適切に周知され、かつ有効に活用されるよう、水産加工業者向けワンストップ窓口を関係道府県に設置。

(10)水産バリューチェーン事業(補正事業名:水産物輸出拡大連携推進事業)【H31年度当初予算:11.9億円、R1補正予算:2.0億円】

輸出を視野に入れて、品質面・コスト面で競争力のある流通構造を確立するため、生産・加工・流通・販売が連携してバリューチェーン全体で生産性を向上させる取組等を支援。(継続)

3.研究開発等横断的分野等における支援

(1)「知」の集積と活用の場によるイノベーション創出推進事業【H31年度当初予算:43.3億円】

農林水産・食品分野におけるイノベーションを創出するため、様々な分野の多様な知識・技術等を結集した研究開発を重点的に推進する提案公募型研究を実施した。(継続)

(2)日本政策金融公庫による各種融資

〔1〕特定農産加工業者の経営改善、〔2〕特定農林畜水産物の新規用途又は加工原材料用新品種の採用の推進、〔3〕食品製造業者等と農林漁業者等の安定取引関係構築及び農林漁業施設の整備等、〔4〕水産加工業の体質強化、〔5〕農業生産関連事業の事業再編等に対して融資を行う。(継続)

第2節 中小運輸業対策

1.倉庫業への支援

経済・社会環境の変化の中で高度化・多様化する物流ニーズやトラックドライバー不足に対応することを目的とし、物流の省力化・効率化を図るため、改正物流総合効率化法の活用により、輸送機能と保管機能が連携した倉庫の整備を促進した。また、倉庫の脱フロン及び低炭素化を促進するため、省エネ型自然冷媒機器の導入に対し支援を行った。(継続)

2.内航海運・国内旅客船事業対策【財政投融資:245億円】

鉄道・運輸機構の船舶共有建造制度により、内航海運のグリーン化に資する船舶や離島航路の維持・活性化に資する船舶といった政策的意義の高い船舶の建造を促進した。(継続)

3.中小造船業・舶用工業対策

(1)経営の安定のためのセーフティネットの確保に取り組むほか、経営技術に関する講習や事業所安全に係る確認等を実施した。(継続)【H31年度当初予算:0.9億円の内数】

(2)東日本大震災では東北の太平洋側に位置する造船所のほとんどが壊滅的な被害を受けた。地域の基幹産業である水産業を支える地元造船産業の早期復旧・復興を図るため、国土交通省では、中小企業庁等関係省庁と連携し、各種支援制度を活用した支援を行ってきた。地盤沈下等により震災前と同様の操業を行うことが困難となっている造船事業者に対しては、協業化・集約化による本格的な復興のための造船施設の整備を支援する「造船業等復興支援事業費補助金」を2013年度に創設し、2014年度末までに、8件、19事業者に対して補助金を交付決定(補助額計114.2億円)の上、復興事業を推進している。2018年度末までに7件の事業が完了していたところ、残る1件の事業についても適切に完了し、全ての補助対象事業が終了した。造船業等復興支援事業費補助金。(継続)【H25年度当初予算:160億円の内数】

(3)船舶の建造・運航における生産性向上のための技術研究開発費に対し補助を行った。先進船舶・造船技術研究開発費補助金。(継続)【H31年度当初予算:4.4億円の内数、R1年度補正予算:5.4億円の内数】

(4)中小企業等経営強化法に基づき、中小造船業・舶用工業の生産性向上を図るため、国土交通省が定めた「船舶産業分野に係る経営力向上に関する指針」に沿って中小企業・小規模事業者が策定した経営力向上計画の認定を22件行い(2019年4月から2020年1月末まで。)、税制等の支援措置により設備投資等を促進した。(継続)【税制】

(5)造船分野の人材について、学生・生徒、教職員に対する造船業への理解を深め、地域の造船企業と教育機関のネットワーク強化を図ること等を目的として、工業高校等の造船学科向けの新教材、造船事業者等の地域連携によるインターンシップ等実施ガイダンスの普及を図るとともに、高校における造船教育強化と造船教員の持続的な育成体制の構築を図るべく作成した「造船教員育成プログラム」を造船教員の研修において導入した。また、外国人造船就労者受入事業の適正な運営を図り、外国人材の活用を推進した。加えて、2020年4月1日より開始された特定技能制度において、造船・舶用工業分野における特定技能外国人の受入れを適切に行った。造船業における人材の確保・育成。(継続)【H31年度当初予算:0.8億円の内数】

第3節 中小建設・不動産業対策

1.生産性向上に向けた地域建設産業の持続性の確保【H31年度当初予算:0.1億円】

中小・中堅建設企業は、限られた投資資金・人材の中で生産性を向上させていかなければならないと同時に、経営者の高齢化等により休廃業に追い込まれる企業が増加傾向にある事から、企業自体の経営の効率化と後継者不足による事業承継等への対策を講じることにより、地域建設産業の底上げを図った。具体的な取組として、事業承継等に係る実態把握を行い、企業が抱える課題の把握やその要因、背景事情の分析、改善方策の検討や、経営効率化・事業承継等に関する相談窓口を設置し、専門家によるセミナーやコンサルティングの実施、コンサルティング案件の中から優良な取組事例等を集約し、横展開を行った。(新規)

2.建設業における金融支援の実施

(1)地域建設業経営強化融資制度の実施

元請建設企業の資金調達の円滑化を図るため、中小・中堅元請建設企業が工事請負代金債権を担保に、融資事業者(事業協同組合等)から工事の出来高に応じて融資を受けることが可能となる「地域建設業経営強化融資制度」を実施した。なお、本制度では、融資事業者が融資を行うにあたって金融機関から借り入れる転貸融資資金に対して債務保証を付すことにより、融資資金の確保と調達金利の軽減を図っている。(継続)

(2)下請債権保全支援事業の実施

下請建設企業等の債権保全を図るため、中小・中堅下請建設企業等が元請建設企業に対して有する工事請負代金債権等をファクタリング会社が保全する「下請債権保全支援事業」を実施した。なお、本事業では、ファクタリング会社に対して一定の損失補償を実施し、下請建設企業等が負担する保証料について助成を行っている。(継続)

3.建設業の海外展開支援【H31年度当初予算:1.0億円の内数】

独自の技術を有する我が国の中堅・中小建設企業の海外市場への進出を促進するため、国内6都市におけるセミナーの開催、3都市(ハノイ、ホーチミン、マニラ)への訪問団の派遣、2都市(ハノイ、マニラ)における合同就職説明会の開催等による支援を行った。(継続)

4.中小不動産業者に対する金融措置

中小不動産事業者の信用を補完し金融を円滑化するため、中小不動産事業者の協業化円滑資金や地域再生のための事業資金等に対する債務保証事業を継続実施した。(継続)

5.地域型住宅グリーン化事業【H31年度当初予算:130.0億円】

地域における木造住宅の生産体制を強化し、環境負荷の低減を図るため、資材供給、設計、施工などの関連事業者からなるグループによる、省エネルギー性能や耐久性等に優れた木造住宅・建築物の整備及び省エネ改修に対して支援を行った。(継続)

6.木造住宅・都市木造建築物における生産体制整備事業【H31年度当初予算:4.5億円の内数】

地域における木造住宅施工技術体制を維持・整備し、優良な住宅ストックを形成するため、民間事業者からなるグループが行う大工技能者育成のための研修活動に対する支援を行った(計23グループの研修活動を支援)。(継続)

第4節 生活衛生関係営業対策

1.生活衛生営業対策【H31年度当初予算:12.8億円、R1補正予算:1.9億円】

理美容業、クリーニング業、飲食店営業などの生活衛生関係営業の経営の健全化、衛生水準の維持向上及び利用者又は消費者の利益の擁護を図り、もって安心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進するため、生活衛生同業組合及び連合会、全国生活衛生営業指導センター、都道府県生活衛生営業指導センターに対して補助を実施した。また、委託事業として、生活衛生関係営業者が生産性向上に向けた取組を確実に行っていけるよう、生産性向上ガイドライン・マニュアルを用いた個別相談等を実施し、その結果を生産性向上ガイドライン・マニュアルに反映させる事業を実施した。(継続)

2.生活衛生関係営業に関する貸付【H31年度当初予算:36.3億円、R1補正予算:12.2億円】

生活衛生関係営業の資金繰り支援を行うことで公衆衛生の向上及び増進を図るため、日本政策金融公庫(生活衛生資金貸付)において融資を行った。2019年度においては、生活衛生関係営業者の円滑な事業再生を支援するため、長期での返済が可能となる運転資金の貸付制度を創設し、2019年度補正予算においては、令和元年台風第19号等により被災した生活衛生関係営業者が資金繰りを円滑に行えるよう、日本政策金融公庫(生活衛生資金貸付)が実施する融資を行うために必要な財政支援を行った。(継続)