令和元年度において講じた中小企業施策
第7章 その他の中小企業施策
第1節 環境・エネルギー対策
1.国内における温室効果ガス排出削減・吸収量認証制度の実施委託費【H31年度当初予算:3.8億円】
J-クレジット制度は、中小企業等の再エネ・省エネ設備投資による温室効果ガスの排出削減量等をクレジットとして認証する制度であり、当該クレジットは、大企業等の低炭素社会実行計画の目標達成や、カーボン・オフセット等に活用される。本事業では、制度事務局を運営するとともに、J-クレジット制度を利用した温室効果ガスの排出削減活動を実施する中小企業等に対し、プロジェクト登録やクレジット認証に係る支援等を実施した。また、本事業では、カーボン・オフセットを促すとともに、J-クレジット制度の下で創出されるクレジットの需要開拓も推進した。中小企業等の再エネ・省エネ設備投資を促進するとともに、クレジットの活用による国内での資金循環を促すことで環境と成長の好循環の実現を図った。(継続)
2.環境・エネルギー対策資金(公害防止対策関連)【財政投融資】
中小企業の公害防止対策を促進するため、公害防止設備の導入等をする事業者に対して日本政策金融公庫による融資を行う制度である。2019年度においては、下記のとおり着実に実施した。(継続)
[融資実績](2019年4月~2019年12月)
件数 | 金額 | |
---|---|---|
大気汚染防止 | 6件 | 278百万円 |
アスベスト対策関連 | 7件 | 276百万円 |
水質汚濁関連 | 5件 | 210百万円 |
産業廃棄物・リサイクル関連 | 37件 | 2,757百万円 |
3.公害防止税制【税制】
公害防止税制は、中小企業を含む事業者の公害防止対策に対する取組を支援するため、公害防止用設備(汚水又は廃液処理施設)に係る課税標準の特例の措置を引き続き講じた。(継続)
4.省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(エネルギー使用合理化等事業者支援補助金)【H31年度当初予算:551.8億円の内数】
工場・事業場における省エネ投資を促進してエネルギー消費効率の改善を促すため、対象設備を限定しない「工場・事業場単位」、対象設備を限定するが手続きが簡易な「設備単位」により、省エネ設備への入替を支援した。(継続)
5.電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金【H31年度当初予算:100.4億円】
工場・事業場において実施される電力の消費効率の高い設備への入替を支援した。(新規)
6.省エネルギー設備投資に係る利子補給金助成事業費補助金【H31年度当初予算:15.0億円】
新設・既設事業所における省エネ設備の導入等を行う際、民間金融機関等から融資を受ける事業者に対し、融資に係る利子補給を行った。(継続)
7.中小企業等に対する省エネルギー診断事業費補助金【H31年度当初予算:10.7億円】
中小企業等の省エネ取組をきめ細やかに支援するため、省エネポテンシャルの無料診断を実施した。また、地域の専門家らが連携した省エネ相談拠点である「省エネ相談地域プラットフォーム」を全国に設置するとともに、「全国省エネ推進ネットワーク」にて地域における省エネ支援窓口や省エネ情報を一元的に発信した。(継続)
8.環境・エネルギー対策資金(非化石エネルギー関連)【財政投融資】
中小企業による再生可能エネルギーの利用を促進するため、日本政策金融公庫が、再エネ発電設備・熱利用設備を導入する際に必要な資金を中小企業向けに低利で貸し付けることができる制度。2019年4月から2019年12月までに857件、179億円規模の融資を実施した。(継続)
9.生産設備におけるエネルギー使用合理化等事業者支援事業費補助金【R1年度補正予算:50.0億円】
工場・事業場におけるエネルギーコストの低減及び生産性の向上を促進し、競争力の強化につなげるため、生産性及び省エネ性能の高い生産設備投資を支援した。(新規)
10.地域低炭素投資促進ファンド事業【H31年度当初予算:46.0億円】
一定の採算性・収益性が見込まれるものの、リードタイムや投資回収期間が長期に及ぶこと等に起因するリスクが高く、民間資金が十分に供給されていない再生可能エネルギー事業等の低炭素化プロジェクトに民間資金を呼び込むため、これらのプロジェクトに対し、「地域低炭素投資促進ファンド」からの出資を行った。(継続)
11.エコリース促進事業【H31年度当初予算:19.0億円】
低炭素機器の導入に際して多額の初期投資費用(頭金)を負担することが困難な中小企業等に対し、リース料総額の一部を補助することによって、頭金なしの「リース」の活用を促進し低炭素機器の普及を図った。(継続)
12.エコアクション21【H31年度当初予算:0.08億円】
中堅・中小事業者にも取り組みやすい環境マネジメントシステムとして策定されたエコアクション21の有効性を高め、企業価値向上にも貢献できるよう改定されたエコアクション21ガイドライン2017年の認知・普及を図るため、全国5ヶ所で説明会を開催するとともに、5つの業種別ガイドラインを更新・公表した。また、大手企業のバリューチェーンマネジメントでのエコアクション21活用促進に関するシンポジウムを東京で開催した。環境マネジメントシステム導入支援を目的として、CO2削減に特化した環境マネジメントシステム導入事業を引き続き実施した。
第2節 知的財産活動の促進
1.中小企業向けの特許料等の軽減
全ての中小企業を対象に、審査請求料、特許料(第1年分~第10年分)、国際出願に係る手数料(調査手数料、送付手数料、予備審査手数料)を1/2に軽減する措置及び国際出願手数料や取扱手数料の1/2に相当する額を交付する措置を実施した。また、中小ベンチャー企業・小規模企業等に対しては、審査請求料、特許料(第1年分から第10年分)、国際出願に係る手数料(調査手数料、送付手数料、予備審査手数料)を1/3に軽減する措置及び国際出願手数料や取扱手数料の2/3に相当する額を交付する措置を実施した。(継続)
2.早期審査・早期審理制度
特許について、出願人や審判請求人が中小企業・小規模事業者の場合、「早期審査に関する事情説明書」や「早期審理に関する事情説明書」を提出することにより、通常に比べ早期に審査又は審判を受けられるよう早期審査・早期審理を実施した。また、ベンチャー企業の特許について、「早期審査に関する事情説明書」を提出することにより、原則1か月以内に1次審査結果を通知できる(「スーパー早期審査」)運用を2018年7月9日から開始した。意匠・商標についても早期審査・早期審理の要件を満たせば、早期に審査又は審判を受けられるよう早期審査・早期審理を実施した。2019年度の早期審査の申請件数は2万6,363件、早期審理の申請件数は264件に上った(2020年1月末現在)。(継続)
3.出張面接・テレビ面接【H31年度当初予算:0.3億円】
特許・意匠について、中小・ベンチャー企業等への支援を目的として、全国各地の面接会場において審査官・審判官が出張面接を実施するとともに、特許・意匠・商標について、インターネット回線を利用し出願人自身のPCから参加できるテレビ面接を実施した。また、2017年7月に開設したINPIT近畿統括本部(INPIT-KANSAI)においても、出張面接、テレビ面接を実施した。(継続)
4.判定制度の実施
知財紛争の未然の防止や速やかな解決を支援すべく、特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の権利範囲(特許発明の技術的範囲等)について、中立・公平な立場から、安価かつ早期に判定(判断)を示した。この判定は、権利侵害の有無を証明するための根拠資料等としての活用が可能。2019年度における判定の実績は41件。
5.特許情報の提供
国内外の特許情報をインターネット上で、無料で検索・照会できる下記サービスの提供を実施した。〔1〕「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を通じて、特許・実用新案・意匠・商標の公報や審査経過情報を検索・照会できるサービスを提供した。2019年度には、J-PlatPatの機能改善(審査経過情報が照会可能となるまでのタイムラグの解消、照会可能な審査書類の拡充、AIを活用した最新の機械翻訳アルゴリズムによる日本公報情報及び日本審査書類情報の日英翻訳の質向上等)を実施した。〔2〕「外国特許情報サービス(FOPISER)」を通じて、ASEAN等の日本企業の進出が著しい諸外国の特許情報を検索・照会できるサービスを提供した。(継続)
6.特許戦略ポータルサイト
特許庁ホームページ内の特許戦略ポータルサイトにおいて、申し込みのあった出願人に対し、直近10年間の特許出願件数、審査請求件数、特許査定率等のデータが掲載された「自己分析用データ」を提供した。(継続)
7.知的財産権制度に関する普及【[1]INPIT交付金の内数[2]H31年度当初予算:0.5億円】
知的財産権制度に関する知見・経験のレベルに応じて、[1]知的財産権制度の概要や基礎的知識について説明する初心者向け説明会、[2]特許・意匠・商標の審査基準や、審判制度の運用、国際出願の手続等、専門性の高い内容を分野別に説明する実務者向け説明会、[3]最新の法令改正事項を広く説明する法改正の説明会を開催した。2019年度は、初心者向け説明会を47都道府県において61回、実務者向け説明会を全国の主要都市において63回、特許法等改正説明会を9回実施した。(継続)
8.中小企業の知財に関するワンストップサービスの提供(知財総合支援窓口)【INPIT交付金の内数】
中堅・中小企業等が企業経営の中で抱える知的財産に関する悩みや課題に対し、その場で相談を受け解決につなげていくワンストップサービスを提供するため、「知財総合支援窓口」を47都道府県に設置している。また、専門性が高い課題には知財専門家を活用し解決を図るほか、よろず支援拠点等の中小企業支援機関との連携、知的財産を有効に活用できていない中小企業等の発掘等を通じて、中小企業等の知財活用の促進を図っている。2019年度は、「地域知財活性化行動計画(2016.9.26)」で設定された目標及び同計画に基づき47都道府県ごとの地域特性を踏まえ設定された目標の達成に向け、10万件以上の相談に対応するとともに、よろず支援拠点等の他の支援機関との連携を推進した。(継続)
9.営業秘密に関するワンストップ支援体制の整備(「営業秘密・知財戦略相談窓口」)【INPIT交付金の内数】
2015年に工業所有権情報・研修館(INPIT)に開設した「営業秘密・知財戦略相談窓口」において、知財総合支援窓口とも連携し、主に中小企業を対象として、企業の持つ技術を特許として権利化するか営業秘密として秘匿するかのオープン・クローズ戦略や、秘匿化を選択した際の営業秘密の管理等に関する相談に専門家が対応した。特に営業秘密の漏えい・流出事案や情報セキュリティ対策、サイバーアタックについては、相談内容に応じて、警察庁や独立行政法人情報処理推進機構(IPA)とも連携した対応を継続した。加えて、営業秘密・知財戦略セミナーの開催、eラーニングコンテンツ等による普及・啓発活動も実施し、本相談窓口の周知を通じて中小企業による活用を促進した。(継続)
10.中小企業知財経営支援金融機能活用促進事業【H31年度当初予算:1.5億円】
中小企業の知財を活用した経営を支援するため、知財を切り口とした事業性評価を行う金融機関に対し、中小企業の知的財産を活用したビジネスについてわかりやすく説明した「知財ビジネス評価書」や経営課題に対する解決策をまとめた「知財ビジネス提案書」を提供する等、金融機関による知財に注目した融資や経営支援につなげる取組みを行った。また、金融機関の職員を対象にしたセミナーを石川県と新潟県で開催した。(新規)
11.地域中小企業知的財産支援力強化事業【H31年度当初予算1.7億円】
中小企業等の知財保護・活用を促進するため、産業支援機関等による先導的・先進的な知財支援の取組に対し、経済産業局等を通じて必要な経費の補助を行った。2019年度は、21件の取組を支援した。(継続)
12.新興国等知財情報データバンク【INPIT交付金の内数】
工業所有権情報・研修館(INPIT)が運用するウェブサイト上で、新興国等でのビジネスに関わる我が国の企業の法務・知財担当者等を対象に、新興国等における出願実務、審判・訴訟実務、ライセンス実務情報、統計・制度動向等の情報を提供した。2019年度は、掲載記事の更なる拡充を行った。(2020年1月末現在:掲載記事数2,633件)(継続)
13.海外知的財産プロデューサー派遣事業【INPIT交付金の内数】
海外における事業展開を知的財産リスクマネジメント及び知的財産活用の視点から支援するため、海外での事業展開が期待される有望技術を有する中小企業等に対し、知的財産マネジメントの専門家(海外知的財産プロデューサー)を工業所有権情報・研修館(INPIT)から派遣している。2019年度は、6人の海外知的財産プロデューサーにより、194者(2019年12月末現在)の支援を行った。(継続)
14.日本発知財活用ビジネス化支援事業【H31年度当初予算:3.3億円】
中堅・中小企業や地域団体商標取得団体の知的財産を活用した外国でのビジネス展開の促進を支援するため、JETROを通じて以下の取組を行った。(継続)
〔1〕国内外におけるセミナーの開催から現地専門家を活用したビジネスプランの作成支援やビジネスパートナーへのプレゼンテーション機会の提供等にわたる包括的支援。〔2〕海外見本市への出展支援及び現地における商談会等の開催によるビジネスパートナーとの商談機会の提供。〔3〕採択された企業・団体が持つ技術やブランド等を活かした商品等を海外展開するためのプロモーション活動の支援を実施。〔4〕現地パートナー候補の発掘等、海外事業展開に必要な調査の実施。
15.中小企業等外国出願支援事業(中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金)【H31年度当初予算:7.4億円の内数】
中小企業等による戦略的な外国出願を促進するため、JETROや都道府県中小企業支援センター等を通じて、外国への事業展開等を計画している中小企業に対し、外国への出願に要する費用(外国特許庁への出願料、国内・現地代理人費用、翻訳費用等)の一部を助成した。(新規)
16.戦略的知財活用型中小企業海外展開支援事業費補助金【H31年度当初予算:0.6億円】
中小企業の知財を活用した海外展開を戦略的に支援するため、中小企業基盤整備機構を通じて、専門家が海外知財戦略の策定や課題解決に係るコンサルティングを行った。また、特許協力条約に基づく国際出願・国内移行等の費用について、一部を助成した。(新規)
17.中小企業等海外侵害対策支援事業(中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金)【H31年度当初予算:7.4億円の内数】
中小企業の海外での適時適切な産業財産権の権利行使を支援するため、JETROを通じて、模倣品に関する調査や模倣品業者に対する警告・行政摘発手続に要する費用を補助した。また、海外で現地企業等から知財権侵害で訴えられた場合の弁護士等への相談費用や訴訟に要する費用、冒認商標無効・取消係争の実施に要する費用についても補助を行った。(新規)
18.海外知財訴訟保険事業(中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金)【H31年度当初予算:7.4億円の内数】
中小企業等が海外において知財訴訟に巻き込まれた際の対抗措置をとることができるようにするため、中小企業等を会員とした全国規模の団体を運営主体として、知財訴訟費用を賄う海外知財訴訟保険を実施した。中小企業等を会員とする全国規模の団体に補助金を交付し、海外知財訴訟保険の掛金の1/2(継続して2年目以降も本補助金の対象となる場合は1/3)を補助し掛金負担を軽減することで、中小企業の加入を促進した。(新規)
19.中小企業等アウトリーチ事業(営業秘密漏えい対策)【H31年度当初予算:10.5億円の内数】
中小企業の海外での意図しない営業秘密・技術流出防止を目指すべく、在外日系企業を主なターゲットにすえて、現地専門家によるハンズオン支援(研修、管理状況・労働契約書の改善案の作成、フォローアップ)と情報提供活動(営業秘密の管理・保護に向けたマニュアルの作成・啓発)を実施し、営業秘密の管理体制の構築を支援した。
第3節 標準化の推進
1.中堅・中小企業等における標準化の戦略的活用の推進
「成長戦略2019」、「知的財産推進計画2019」に基づき「新市場創造型標準化制度」を活用して、中堅・中小企業等から提案のあった案件について、2014年から2020年3月中旬までに規格を29件制定した。さらに、自治体・産業振興機関、地域金融機関、大学・公的研究機関(パートナー機関)と一般財団法人日本規格協会が連携し、地域において標準化の戦略的活用に関する情報提供・助言等を行う「標準化活用支援パートナーシップ制度」のパートナー機関数を2015年から2020年3月中旬までに163機関に拡大した。また、中堅・中小企業等向けに、標準化に関する戦略的活用についてのセミナーを、2015年から2020年3月中旬までに196件実施した。(継続)
第4節 調査・広報の推進
1.施策の広報
中小企業施策を普及・広報するため、施策のポイントをまとめたガイドブックやチラシ等を作成し、各地方公共団体や中小企業支援機関、金融機関等に配付したほか、中小企業支援ポータルサイト「ミラサポ」を通じた情報発信により、広く普及・広報を実施した。(継続)
(1)冊子類の発行
中小企業施策を利用する際の手引き書として200以上の施策を紹介した「中小企業施策利用ガイドブック」やチラシ等を作成し、中小企業、地方公共団体、中小企業支援機関(商工会、商工会議所等)、金融機関、中小企業を支援する税理士、弁護士、公認会計士、中小企業診断士等に広く配布した。
(2)「一日中小企業庁」の開催
開催地の都道府県と中小企業庁が共催し、地元中小企業者の方々に最新の施策を紹介し、理解を深めていただくとともに、意見交換や交流の場を設け、今後の中小企業施策の見直し・拡充等に反映させるイベントを開催した。1964年度より継続しており、2019年度は和歌山県において開催した。
(3)インターネットを活用した広報
〔1〕ホームページによる広報:中小企業庁ホームページにおいて、中小企業施策に関する最新情報、公募に関する情報、広報のためのチラシ、冊子等を公表した。2019年度は約3,300万(2019年12月末現在)ページビューのアクセスがあった。
〔2〕メールマガジン:各中小企業支援機関と連携し、補助金等の支援施策情報、地域情報、調査・研究レポート等の情報をメールマガジン登録者に、毎週水曜日に配信した。(配信数:約6万件(2019年12月末現在))
(4)ミラサポ(中小企業・小規模事業者の未来をサポートするポータルサイト)
ミラサポを通じて最新の支援情報や補助金申請のノウハウ、活用事例などを分かりやすくタイムリーに全国の中小企業に届けた。(会員数:約17万9,000、ミラサポメルマガ配信数:約12万9,000(2019年12月末現在))
2.中小企業白書・小規模企業白書の作成
中小企業の現状や課題を把握するため、中小企業基本法第11条の規定に基づく年次報告等(2019年版中小企業白書)を作成した。また、小規模企業の現状や課題を把握するため、小規模企業基本法第12条の規定に基づく年次報告等(2019年版小規模企業白書)を作成した。(継続)
3.中小企業実態基本調査
中小企業の売上高、従業者数等の経営・財務情報に関する統計を整備するため、中小企業基本法第10条の規定に基づく中小企業実態基本調査を実施した。(継続)
4.中小企業景況調査の公表
中小企業の景気動向について、四半期ごとに中小企業基盤整備機構が実施する中小企業景況調査の公表を行った。(継続)
第5節 新型コロナウイルス感染症対策(2020年3月31日時点)
- 「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」の設置
2020年1月29日、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会及びよろず支援拠点、並びに全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構及び各地方経済産業局等に「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」を設置した。
- 資金繰り支援
1.信用保証協会による資金繰り支援(セーフティネット保証4号・5号)
新型コロナウイルスによる影響を受け、売上高が減少する中小企業・小規模事業者に対し、セーフティネット保証4号(全国を地域指定、100%保証)及び5号(影響を受けている業種を追加指定、80%保証)による、一般保証(2.8億)とは別枠(2.8億)を措置。
2.信用保証協会による資金繰り支援(危機関連保証)
全国の中小・小規模事業者の資金繰りが逼迫していることを踏まえ、売上高が減少する中小企業・小規模事業者に対して、「危機関連保証」(全国・全業種、100%保証)による、一般保証及びセーフティネット保証に対してさらなる別枠(2.8億)を措置。
3.日本政策金融公庫による資金繰り支援(セーフティネット貸付)
日本政策金融公庫等が、新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業・小規模事業者の資金繰りを支援。新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置として、2020年2月14日より、「売上高が5%以上減少」といった数値要件にかかわらず、今後の影響が見込まれる事業者も融資の対象として、セーフティネット貸付の要件を緩和した。
4.日本政策金融公庫による新型コロナウイルス感染症特別貸付
新型コロナウイルス感染症による影響を受け、2020年3月17日より、売上高が5%以上減少した中小企業・小規模事業者に対し、融資枠別枠(中小3億、国民6,000万)の制度を創設。信用力や担保に依らず一律金利にした上で、融資後3年間まで▲0.9%金利引き下げを実施(利下げ限度額:中小1億、国民3,000万)。据置期間も最大5年とすることで、事業者の資金繰りを支援している。
5.商工組合中央金庫による危機対応融資
新型コロナウイルス感染症の影響により資金繰りに支障を来している中小企業等に対し、2020年3月19日より危機対応融資の受付を開始。4月中旬を目途に融資を開始予定。売上高が5%以上減少した中小企業等に対し、融資枠別枠3億円の制度を創設。信用力や担保に依らず一律金利にした上で、融資後3年間まで▲0.9%金利引き下げを実施(利下げ限度額1億円)。据置期間も最大5年とすることで、事業者の資金繰りを支援する。
6.日本政策金融公庫による生活衛生関係営業新型コロナウイルス感染症特別貸付
日本政策金融公庫等が、新型コロナウイルス感染症による影響を受け業況が悪化した生活衛生関係営業を営む事業者に対し、運転資金または設備資金として貸付(信用力や担保に依らず一律金利とし、融資後の3年間まで0.9%の金利引き下げ。据置期間5年まで。)を実施。
7.日本政策金融公庫による衛生環境激変対策特別貸付
新型コロナウイルス感染症の発生により、一時的な業況悪化から資金繰りに支障を来している旅館業、飲食店営業及び喫茶店営業を営む事業者に対して、経営を安定させるために必要な運転資金として、日本政策金融公庫等が貸付(振興計画に基づく事業を実施している者については、0.9%の金利引き下げ。据置期間2年まで。)を実施。
8.生活衛生関係営業経営改善資金特別貸付の拡充(新型コロナウイルス対策衛経)
都道府県生活衛生営業指導センター等の実施する経営指導を受けている生活衛生関係営業を営む小規模事業者に対して、生活衛生関係営業経営改善資金特別貸付(通称:衛経融資)制度により、日本政策金融公庫等が無担保・無保証人で貸付を実施。新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置として、別枠1,000万円の範囲内で、当初3年間、通常の貸付金利から0.9%の引下げを実施。また、据置期間については、設備資金を4年以内、運転資金を3年以内に延長。
9.特別利子補給制度
日本政策金融公庫等の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」、「生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付」または商工組合中央金庫による「危機対応融資」により借入を行った中小企業者等のうち、特に影響の大きい事業性のあるフリーランスを含む個人事業主、また売上高が急減した事業者などに対して、借入後3年間の利子補給を行うことで資金繰り支援を実施。
10.小規模事業者経営改善資金の拡充(新型コロナウイルス対策マル経)
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置として、新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少した小規模事業者の資金繰りを支援するため、日本政策金融公庫が無担保・無保証人で、別枠1,000万円の範囲内で、当初3年間、通常の貸付金利から0.9%の引下げを実施。また、据置期間については、設備資金を4年以内、運転資金を3年以内に延長。
11.金融機関等への配慮要請
新型コロナウイルス感染症の影響により、事業者の資金繰りに重大な支障が生じることがないよう、関係省庁とも連携し、政府系金融機関等に対して計4回の配慮要請を行った。このうち2020年3月6日の要請では、経済産業大臣名で、政府系金融機関等に対して、事業者に対する審査手続き等を最大限のスピードで対応すること等について要請した。
12.「中小企業金融相談窓口」の設置
2020年3月10日に取りまとめた、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策(第2弾)で中小企業・小規模事業者の資金繰り支援策を拡充することを受けて、2020年3月11日、金融関係の相談を受け付ける「中小企業金融相談窓口」を設置した。
- 設備投資・販路開拓支援
生産性革命推進事業(R1年度補正予算3,600億円)において、新型コロナウイルス感染症による影響を受け、サプライチェーンの毀損等に対応するための設備投資や販路開拓、事業継続力強化に資するテレワークの導入に取り組む事業者を優先的に支援。新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置として、〔1〕ものづくり・商業・サービス補助、持続化補助、IT導入補助の採択審査における加点措置、〔2〕ものづくり・商業・サービス補助における、生産性向上や賃上げに係る目標値の達成時期の1年間の猶予、〔3〕ものづくり・商業・サービス補助における、交付決定日前に発注した事業に要する経費についての遡及適用を行った。
(1)ものづくり・商業・サービス補助(再掲)
(2)持続化補助(再掲)
(3)IT導入補助(再掲)
- 経営環境の整備
1.下請取引についての親事業者への配慮要請
新型コロナウイルス感染症により影響を受ける下請等中小企業に対する影響を最小限とするため、経済産業大臣名(他省庁所管の業界については主務大臣との連名)で、業界団体等を通じ、親事業者に対して、不当な取引条件の押し付けを行わないなど、下請中小企業への配慮について、2020年2月14日及び3月10日に要請文書を発出した。
2.個人事業主・フリーランスとの取引に関する配慮要請
2020年3月10日に取りまとめた、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策(第2弾)を踏まえ、元来事業基盤が弱く、収入の減少が生活基盤の悪化に直結しやすい個人事業主・フリーランスへの影響を最小限とするため、経済産業大臣、厚生労働大臣、公正取引委員会委員長と連名で、2020年3月10日以降順次、個人事業主・フリーランスと取引を行う事業者に対して、取引上の適切な配慮を行うよう、要請を実施した。
3.官公需における配慮要請
新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業・小規模事業者と国や自治体との契約について、年度末の納期・工期の変更や予定価格の見直し等、柔軟な対応を行うよう、2020年3月3日に各府省等へ配慮要請を発出。
4.下請Gメンによる実態把握
全国で120名の下請Gメンが中小企業を訪問し、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う取引状況の変化やその影響など、取引実態についてヒアリングを継続的に行っており、収集した現場の声を踏まえて、要請文の発出や対策の検討に活用している。
5.雇用調整助成金の特例
雇用調整助成金は、景気の変動、産業構造の変化等の経済状の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業、教育訓練又は出向を行って労働者の雇用の維持を図る場合に、休業手当、賃金などの一部を助成するものである。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて事業が縮小した事業主に対しては、雇用調整助成金の特例措置を実施し、支給要件の緩和を実施した。
6.小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得支援
新型コロナウイルス感染症に関する対応として、小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子どもの保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規雇用・非正規雇用を問わず、有給(賃金全額支給)の休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除く。)を取得させた企業に対する助成金を創設。2020年2月27日から3月31日の間に取得した休暇について、休暇中に支払った賃金相当額(日額上限8,330円)を支給。
また、委託を受けて個人で仕事をする方が、小学校等の臨時休業に伴い、保護者として子どもの世話を行うため、契約した仕事ができなくなった場合、2020年2月27日から3月31日の間に就業できなかった日について、1日当たり4,100円(定額)を支給。
7.個人向け緊急小口資金等の特例
新型コロナウイルス感染症による経済への影響による休業等を理由に、一時的な資金が必要な方への緊急の貸付を実施。また、失業されて生活に困窮された方には、生活の立て直しのための安定的な資金を貸付。
8.都道府県労働局及び労働基準監督署における配慮
2020年3月17日、都道府県労働局及び労働基準監督署において、新型コロナウイルス感染症の発生及び感染拡大が中小企業等に与える影響に配慮すること等を徹底するよう、厚生労働大臣から事務次官に対して指示し、事務次官から依命通達を発出。
9.厚生年金保険料等の猶予制度
厚生年金保険料等を一時に納付することにより、事業の継続等を困難にするおそれがあるなどの一定の要件に該当する場合に、厚生年金保険料等の納付を猶予する既存の仕組みをより活用いただけるよう、一層の周知を図るとともに、申請や審査について簡素化した上で、原則として1年間は猶予するなど、個々の事業主の状況に応じて柔軟に対応。
10.税務申告・納付期限の延長
全ての個人納税者に係る申告所得税(及び復興特別所得税)、贈与税及び消費税(及び地方消費税)について、申告・納付等の期限を2020年4月16日まで延長。また、これに伴い、申告所得税及び個人事業者の消費税の振替納税の振替日についても延長。
11.国税の納付の猶予制度
国税の納付の猶予制度を積極的に周知広報するとともに、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時に納付することが困難な事情がある納税者等に対しては、その置かれた状況に配慮し、迅速かつ柔軟に対応。
12.地方税の猶予制度
2020年3月18日より、新型コロナウイルス感染症の発生に伴い財産に相当の損失を受けた納税者等、売上げの急減により納税資力が著しく低下している納税者等への徴収の猶予等について、迅速かつ柔軟に適切に対応するよう、地方公共団体に対し要請。
13.テレワーク等の導入支援について
(1)テレワークマネージャー派遣事業(総務省)
テレワークの知見、ノウハウ等を有する専門家が無料で、WEB及び電話によるコンサルティングを実施。
(2)時間外労働等改善助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)(厚生労働省)
新型コロナウイルス感染症対策として、新たにテレワークを導入した中小企業事業主を支援するため、時間外労働等改善助成金(テレワークコース)の特例的なコースを新設。
(3)IT導入補助(生産性革命推進事業の内数)(再掲)
(4)税制面での支援(少額減価償却資産の特例)
取得価額が30万円未満のテレワーク用設備(パソコンやソフトウェア)について、全額損金算入が可能。30万円以上の設備を導入する場合には、「中小企業経営強化税制」が利用可能。
(5)テレワーク導入事例の紹介
総務省「テレワーク情報サイト」や厚生労働省「テレワーク総合ポータルサイト」により、テレワーク導入企業の事例を紹介。
(6)テレワークについての相談窓口
厚生労働省「テレワーク相談センター」にて、テレワークに関する様々な相談に無償で対応。
(7)休業や労働時間変更への対応について
新型コロナウイルス感染症に関連して、労働者を休ませる場合の措置や労働時間の考え方についてのQ&Aを厚生労働省HPにて公開。
14.現地進出企業・現地情報
新型コロナウイルス感染症の影響等に関して、JETROのHPにて操業再開に向けた中国の省市別支援策やビジネス短信の発信などの情報を紹介したほか、専用窓口を設けて中小企業からの相談に対応。
15.輸出入手続きの緩和等について
2020年2月14日、新型コロナウイルスの流行に伴う輸出入の遅延等が見込まれることから、新たな特例措置も含め、貿易管理上の注意事項を以下のとおりまとめた。
(1)輸入関連
新型コロナウイルスの流行に伴う輸入の遅延等により輸入承認証の有効期間が過ぎるおそれがある場合、同有効期間の延長を申請することが可能である旨を周知。また、関税割当証明書(皮革・革靴)の有効期間が過ぎるおそれがある場合、同有効期間を期間満了日の翌日から30日を超えない範囲で延長することの申請を可能としたほか、関税割当や輸入割当について郵送申請を認める等の措置を実施。
(2)輸出関連
新型コロナウイルスの流行に伴う輸出の遅延等により輸出許可証又は輸出承認証の有効期間が過ぎるおそれのある場合、同有効期間の延長を申請することが可能である旨を周知。また、輸出許可証に付された許可条件の履行(工作機械の据付報告等)について、2020年6月30日までに履行期限が到来するものについては、一律、2020年6月30日まで履行期限を延長。