トップページ 白書・統計情報 中小企業白書 2020年版 中小企業白書(HTML版) 令和元年度において講じた中小企業施策 第2章 生産性向上、人手不足対策

令和元年度において講じた中小企業施策

第2章 生産性向上、人手不足対策

第1節 人材・雇用対策

1.地域中小企業人材確保支援等事業【H31年度当初予算:13.7億円の内数】

経営資源の乏しい中小企業・小規模事業者の人材の確保を支援することを目的に、地域特性に合わせ、各地の中小企業・小規模事業者が必要とする人材を地域内外から発掘、確保、定着等人材確保支援を実施した。また、2018年度に構築を行った中核人材確保スキームの横展開や、経営支援機関等と人材紹介会社等が連携したプラットフォーム構築の実証事業を行った。(新規)

2.スマートものづくり応援隊事業【H31年度当初予算:1.2億円】

製造現場の経験が豊富な人材や、IoTやロボットに知見を有する人材等が指導者としての汎用的なスキルを身につけるための研修を実施し、育成した指導者を製造業等の中小企業・小規模事業者の現場に派遣することで、これらの事業者の生産性向上を目指す。2019年度末までに計34拠点を整備。(継続)

3.地域小規模事業者支援人材育成事業【H31年度当初予算:5.4億円】

地域の小規模事業者を磨き上げ、地域の未来をデザインしていくことができる人材を育成するために以下の事業を実施した。〔1〕商工会・商工会議所や地方公共団体を対象とした小規模事業者の支援手法を享受する研修を全国で実施した(小規模事業者支援手法研修)。〔2〕地域の抱える課題にアプローチし、ビジネスとして成功に導く「デザインプロデュースができる人材(ローカルデザイナー)」の育成を支援するため、ワークショップ等研修を開催した(ローカルデザイナー育成事業)。〔3〕まちづくりの専門知識等を習得する研修等を実施し、タウンマネージャー等の地域の小規模事業者支援人材を育成した。(新規)

4.サプライヤー応援隊事業【H31年度当初予算:13.7億円の内数】

民間団体等が、中小企業・小規模事業者の次世代自動車への対応等を支援する人材(サプライヤー応援隊)を育成し、派遣することにより、自動車産業の底上げを図る事業を支援した。事業実施にあたり、初年度である2019年度においては、計8拠点を整備した。(新規)

5.中小企業大学校における人材育成事業

全国9か所にある中小企業大学校において、中小企業の経営者、管理者等を対象に経営課題の解決に直接結びつくような研修等を実施した。また、地域中小企業等からのアクセス改善に向けた「サテライト・ゼミ」等の実施や、豊富なメニューを揃えたウェブ活用型研修「WEBee Campus」、ケースメソッド型の高度実践プログラムを行った。(継続)

6.労働者の雇用維持対策【H31年度当初予算:62.3億円】

景気の変動等にともなう経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業、教育訓練又は出向により、労働者の雇用の維持を図った場合に、雇用調整助成金を支給するとともに、不正受給防止対策にも積極的に取り組み、本助成金のより一層の適正な支給に努めた。(継続)

7.魅力ある職場づくりに向けた雇用管理の改善の支援【H31年度当初予算:121.1億円】

人材確保等支援金においては、雇用管理改善や生産性向上等により「魅力ある職場づくり」事業主に対し助成を行うとともに、2019年4月より、働き方改革のために人材を確保することが必要な中小企業・小規模事業者が新たに労働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を達成した場合に助成を行う「働き方改革支援コース」を創設した。(継続)

8.地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)【H31年度当初予算:30.0億円】

地域における雇用の創出及び安定を図るため、雇用機会の不足している地域等において事業所の設置又は整備を行い、併せて地域の求職者等を雇い入れる事業主に対して、設置等の費用及び雇入れ人数に応じて助成を行う地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)を支給した。(継続)

9.中途採用等支援助成金(UIJターンコース)【H31年度当初予算:1.1億円】

東京一極集中の是正を図るとともに、人手不足に直面する地域の企業の人材確保を図るため、地方公共団体が地方創生推進交付金(移住・起業・就業タイプ)を活用して実施する移住支援事業により移住した者を雇い入れた事業主に対して、その採用活動に要した経費の一部を助成する事業を実施した。(新規)

10.地域活性化雇用創造プロジェクト【H31年度当初予算:58.8億円】

地域における安定した良質な雇用の創出・確保に向けた取組を推進するため、産業政策と一体となって正社員雇用の創出・確保に取り組む都道府県を支援する地域活性化雇用創造プロジェクトを、29道府県で実施した。(継続)

11.成長分野等への人材移動の促進【H31年度当初予算:45.0億円】

事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者(再就職援助計画対象者等)に対する再就職支援を民間職業紹介事業者への委託等により行う事業主に対して、労働移動支援助成金(再就職支援コース)による助成を行った。また、労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)において、再就職援助計画対象者等を早期に雇い入れた、又は早期に雇い入れた再就職援助計画対象者等に訓練を実施した事業主に対する助成を実施した。さらに、中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)において、中途採用者の能力評価、賃金、処遇の制度を整備した上で中途採用者の採用を拡大させた事業主に対する助成を行った。(継続)

12.人材確保対策推進事業【H31年度当初予算:34.1億円】

人材不足分野における人材の安定的な確保のため、全国の主要なハローワークに設置する「人材確保対策コーナー」を中心に、きめ細かな職業相談・職業紹介、求人者への助言・指導等を実施した。(継続)

13.若者雇用促進法に基づくユースエール認定制度【H31年度当初予算:5.5億円】

若者の雇用管理が優良な中小企業について、「青少年の雇用の促進等に関する法律」(昭和45年法律第98号)に基づき、厚生労働大臣が「ユースエール認定」企業として認定し、中小企業の情報発信を後押しすることにより、当該企業が求める人材の円滑な採用を支援した。(継続)

14.最低賃金の引き上げに向けた中小企業・小規模事業者支援【H31年度当初予算:113.5億円、R1補正予算:13.1億円】

最低賃金・生産性向上による賃金の引上げに向けた中小企業・小規模事業者の生産性向上等のための支援として、

〔1〕働き方改革に関する相談等にワンストップで対応するため、「働き方改革推進支援センター」を全国47都道府県に設置し、無料の相談対応・専門家派遣を実施した。(継続)

〔2〕傘下企業の労働時間短縮や賃金引上げに向けた生産性向上に資する取組を行う中小企業団体に対し、その取組に要した費用を助成した。(継続)

〔3〕全国47都道府県の中小企業・小規模事業者を対象として、生産性向上のための設備投資等を行い、事業場内の最低賃金(事業場内で最も低い時間給)を30円以上引き上げた場合に、その設備投資などに要した費用の一部を助成するとともに、賃金引上げ労働者数に応じて助成上限額上乗せして支給を行った(助成上限額100万円)。補正予算により32県については、3コースを新設(25円・60円・90円コース)し、助成上限額を450万円に拡大した。(継続)

15.キャリアコンサルティングの普及促進

民間職業紹介・就職支援機関や企業の人事管理・人材育成部門、学校におけるキャリア教育などにおいて、キャリアコンサルティング(労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと。)の活用について普及促進を進めた。2016年4月には、キャリアコンサルティングを行う専門家として「キャリアコンサルタント」を国家資格化したことから、当該資格の周知を進めた。また、企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組み、また、そのための企業内の「仕組み」である「セルフ・キャリアドック」の導入を推進した。(継続)

16.賃上げの促進に係る税制【税制】

給与等支給総額が前年度を上回っており、〔1〕前年度から継続雇用者給与等支給額が1.5%以上増加している場合には、給与等支給総額の前年度からの増加額に対して、15%の税額控除、さらに、〔2〕継続雇用者給与等支給額が対前年度比で2.5%以上増加しており、人材投資や生産性向上に取り組む場合には、給与等支給総額の前年度からの増加額に対して、25%の税額控除をすることとした。(所得拡大促進税制)(継続)

第2節 生産性向上・技術力の強化

1.戦略的基盤技術高度化・連携支援事業【H31年度当初予算:130.9億円】

中小ものづくり高度化法の計画認定又は地域未来投資促進法の計画承認を受けた中小企業・小規模事業者が大学、公設試等の研究機関等と連携して行う、研究開発等に関する取組を支援した。また、中小企業等経営強化法に基づいて認定された異分野連携新事業分野開拓計画に従って行う中小企業・小規模事業者が、産学官連携して行う新しいサービスモデルの開発等を支援した。(採択件数:ものづくり137件、サービス34件)(継続)

2.産業技術総合研究所における中堅・中小企業への橋渡しの取組【産業技術総合研究所運営費交付金の内数】

産総研の技術シーズと企業等のニーズを橋渡しするコーディネータを拡充し、200名配置(2019年11月1日時点)。中小企業等を支援するコーディネータにより、適切な専門家を紹介し自社だけでは研究できないテーマについては、受託研究や共同研究などを実施した。(継続)

3.中小企業のものづくり基盤技術の高度化に向けた総合支援

中小ものづくり高度化法に基づき、高度化指針に沿った特定研究開発等計画について認定を行い、計画が認定された中小企業・小規模事業者に対して戦略的基盤技術高度化支援事業や、融資、保証の特例等により総合的な支援を実施した。(2019年新規認定件数:292件)(継続)

4.生産性革命のための固定資産税の減免措置【税制】

新たに導入する設備が所在する市区町村の導入促進基本計画等に合致する先端設備等導入計画の認定を受けた中小企業・小規模事業者等が導入する先端設備等にかかる固定資産税を自治体の判断により最大3年間ゼロにできる措置を講じた。2019年12月31日時点で、1,641自治体において3万9,479件の計画が認定され、認定を受けた計画に盛り込まれた設備等の数量は合計で12万3,487台あり、約1兆1,372億円の設備投資が見込まれている。(継続)

5.研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)【税制】

中小企業者等について、試験研究費の総額に応じて税額控除を認める「総額型」に、試験研究費の増加割合に応じた税額控除率(12%~17%)を適用する(大企業は6%~14%)とともに、試験研究費の増加割合が8%を超える場合には税額控除の上限を10%上乗せする措置を講じた。令和元年度改正においては、特別試験研究費(大学、国の研究機関、企業等との共同・委託研究等の費用)の総額に係る税額控除制度、試験研究費の額が平均売上金額の10%相当額を超える場合の控除率の一定程度割増し及び税額控除の上限を上乗せする制度並びに研究開発を行う一定のベンチャー企業に係る控除上限額の引上げ措置等を講じた。(継続)

6.中小企業技術革新制度(SBIR制度)に基づく支援

新産業の創出につながる新技術開発のための特定補助金等の指定、支出の目標額、特定補助金等を利用して開発した成果の事業化支援措置等の方針の作成等により、引き続き国の研究開発予算の中小企業・小規模事業者への支出機会拡大及び技術開発成果の事業化を図った。さらに、技術開発成果の事業化を促進するため、特定補助金等の採択企業の技術力をPRするデータベースや日本政策金融公庫による特別利率による融資等の事業化支援措置を中小企業・小規模事業者等に周知し、利用促進を図った。(2019年度における支出目標額:460億円)(継続)

7.異分野連携新事業分野開拓

中小企業等経営強化法に基づき、異分野の中小企業が連携し、その経営資源(技術、販路等)を有効に組み合わせて行う新商品・新サービスの開発・販売等の事業計画に対して認定を行い、補助金による支援を行うとともに、融資、保証の特例などにより総合的な支援を実施した。(2019年新規認定件数:27件)(継続)

8.医工連携事業化推進事業【H31年度当初予算:27.3億円】

医療機器開発支援ネットワークを推進し、開発初期段階から事業化に至るまでの切れ目ない支援として、事業開始から約1,680件の伴走コンサルを実施した。また、ものづくり中小企業や医療機関等の連携による医療機器開発を促進するため、開発・事業化事業において本年度31件の医療機器実用化を支援した。(継続)

9.企業活力強化資金(ものづくり法関連)【財政投融資】

中小企業者のものづくり基盤技術の高度化の促進を図るため、日本政策金融公庫が必要な資金の貸付を講じた。(継続)

10.中小企業等経営強化法

2019年6月に成立した、中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律に基づき、事業継続力強化に関する「基本方針」を策定し、中小企業の事業継続力強化に関する計画の認定をすることした。また、中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画を策定し、認定された企業に対し、中小企業経営強化税制や日本政策金融公庫の融資制度等税制面や金融面の支援を講じ、2020年1月末時点において、10万339件を認定。(継続)

11.中小企業経営強化税制【税制】

中小企業等経営強化法に基づき経営力向上計画の認定を受けた中小企業が、その経営力向上計画に基づき経営力向上設備等を取得した場合に、即時償却又は10%の税額控除(資本金3,000万円超の法人の税額控除は7%)ができる措置。令和元年度税制改正において、適用期限が2年延長された。(継続)

12.(再掲)賃上げの促進に係る税制【税制】

13.ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業【H31年度当初予算:50.0億円】

複数の中小企業・小規模事業者等が、事業者間でデータ・情報を共有し、連携体全体として新たな付加価値の創造や生産性の向上を図るプロジェクトを支援した(2019年度採択者数:301者)。(新規)

14.地域イノベーション基盤整備事業費【R1年度補正予算:5.5億円】

技術革新の進展が急速に進む中でも地域企業によるイノベーション創出・生産性向上が進むよう、公設試験研究機関・大学等による企業支援体制構築に資する先端設備の初期導入・人材育成を支援する。(新規)

15.ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業【R1年度補正予算:3,600億円の内数】

中小企業・小規模事業者等が行う生産性向上に資する革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援した。(新規)

16.中小企業生産性革命推進事業【R1年度補正予算:3,600億円】

働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入など相次ぐ制度変更等に対応するため、中小企業基盤機構が複数年にわたり中小企業の生産性向上を継続的に支援する。具体的には、〔1〕設備導入、IT導入、販路開拓等への支援を一体的かつ機動的に実施するとともに、〔2〕先進事例を収集し、各種支援策とともに幅広く情報発信を行う、加えて、〔3〕制度変更にかかる相談対応や国内外の事業拡大等にかかる専門家支援等のハンズオン支援を行う。(継続)

第3節 IT化の促進

1.政府系金融機関の情報化投資融資制度(IT活用促進資金)【財政投融資】

中小企業の生産性向上に寄与するIT活用を促進するため、日本政策金融公庫による融資を着実に実施した(2019年度の実績は104件、19.0億円(2019年12月末時点))。

2.サービス等生産性向上応援隊事業【H31年度当初予算:0.2億円】

サービス事業者の日常的な相談先である支援機関やITベンダーに対して、IT活用や生産性向上に関する助言、専門家への橋渡しの役に立つオンライン講座等を提供した。あわせて支援機関とITベンダーのマッチングの機会を提供し、地域におけるIT支援関係者の連携を促進する取り組みを本事業と並行して実施した。(新規)

3.認定情報処理支援機関(スマートSMEサポーター)

中小企業の生産性向上に資するITツールを提供するITベンダー等を、経済産業大臣が「情報処理支援機関(スマートSMEサポーター)」として605機関を認定(2019年12月末時点)し、中小企業に対してIT利活用(サイバーセキュリティを含む)に係る指導、助言、情報提供等に関する支援を行った。(新規)

4.サービス等生産性向上IT導入支援事業【R1年度補正予算:3,600億円の内数】

中小企業等が行う、バックオフィス業務の効率化や新たな顧客獲得等の付加価値向上に資するITツールの導入を支援した。(新規)