令和元年度において講じた中小企業施策
第1章 事業承継・再編・統合等による新陳代謝の促進
第1節 事業承継支援
1.中小企業再生支援・事業引継ぎ支援事業(事業引継ぎ支援事業)【H31年度当初予算:70.1億円】
後継者不在等の問題を抱える中小企業・小規模事業者に対し、各都道府県の各認定支援機関に設置されている「事業引継ぎ支援センター」において、事業引継ぎ等に関する情報提供・助言等を行うとともに、M&A等によるマッチング支援を実施した。(継続)
2.個人版事業承継税制【税制】
令和元年度税制改正において、個人事業者の事業承継を促進するため、2019年からの10年間限定で、多様な事業用資産の承継に係る相続税・贈与税を100%納税猶予する制度を創設した。(新規)
3.法人版事業承継税制【税制】
平成30年度税制改正において、「法人版事業承継税制」を抜本拡充し、2018年からの5年以内に特例承継計画を提出し、10年以内に実際に承継を行う者を対象に、非上場株式に係る贈与税・相続税の納税を猶予・免除する特例措置を講じた。(継続)
4.中小企業・小規模事業者の事業再編等に係る税負担の軽減措置
M&Aにより経営資源や事業の再編・統合を通じて事業の継続・技術の伝承等を図る事業者を支援するため、中小企業等経営強化法上の認定を受けた経営力向上計画に基づいて再編・統合を行った際にかかる登録免許税・不動産取得税を軽減した。(継続)
5.小規模企業共済制度
小規模企業共済制度は、小規模企業者である個人事業主や会社等の役員が掛金を積み立て、廃業や引退をした際に共済金を受け取れる制度であり、いわば小規模企業の経営者のための「退職金制度」である。2019年12月末現在で146.5万人が在籍しており、2019年4月から2019年12月までの新規加入者は8.0万人に上った。(継続)
6.経営承継円滑化法による総合的支援
経営承継円滑化法には遺留分の制約を解決するための民法の特例をはじめとした総合的支援が盛り込まれており、民法特例の適用の基礎となる経済産業大臣の確認を実施した。また、M&Aによる事業引継ぎに際して、社外第三者(後継予定の者)に生じる株式買収資金等の資金ニーズに対応するための金融支援を実施した。(継続)
7.事業承継円滑化支援事業
全国各地で中小企業の事業承継を広範かつ高度にサポートするため、中小企業支援者向けの研修や事業承継フォーラムによる中小企業経営者等への普及啓発を実施した。(継続)
8.事業承継・世代交代集中支援事業(プッシュ型事業承継支援高度化事業)【H28年度補正予算:50.0億円の内数】
早期・計画的な事業承継の準備に対する経営者の「気付き」を促すため、各道府県の地域内の金融機関や商工団体等で構成する事業承継ネットワークにおいて、経営者に対するプッシュ型の事業承継診断による事業承継ニーズの発掘や地域の専門家派遣による支援等を実施した。2019年度は46道府県で実施し、2019年4月~11月の間に90,453件の事業承継診断を実施した。(継続)
9.事業承継・世代交代集中支援事業(事業承継補助金)【H28年度補正予算:50.0億円の内数】
事業承継・世代交代を契機として、経営革新や事業転換に挑戦する中小企業に対し、設備投資・販路拡大・既存事業の廃業等に必要な経費を支援した。(継続)
第2節 創業支援
1.創業支援事業者支援事業【H31年度当初予算:3.8億円の内数】
産業競争力強化法における認定連携創業支援等事業者が認定創業支援等事業計画に基づき行う特定創業支援等事業(創業スクールの開催、個別相談窓口の設置等)・創業機運醸成事業(起業家教育・ビジネスプランコンテストの開催等)の取組を支援した。(新規)
2.新創業融資制度【財政投融資】
日本政策金融公庫が、新たに事業を開始する者や事業を開始して間もない者に対し、無担保・無保証人で融資を実施した。(継続)
3.女性、若者/シニア起業家支援資金【財政投融資】
女性や35歳未満の若者、55歳以上の高齢者のうち、開業して概ね7年以内の者を対象に日本政策金融公庫が優遇金利を適用し、多様な事業者による新規事業の創出を支援した。(継続)
4.再挑戦資金(再チャレンジ支援融資)【財政投融資】
日本政策金融公庫が、事業に失敗した起業家の経営者としての資質や事業の見込み等を評価することにより、再起を図る上で、困難な状況に直面している者に対して融資を実施した。(継続)
5.創業者向け保証
民間金融機関による創業者への融資を後押しするため、信用保証協会において、これから創業する者または創業後5年未満の者等を対象とする保証制度を実施した。(継続)
6.ファンド出資事業(起業支援ファンド、中小企業成長支援ファンド)
民間の投資会社が運営する投資ファンドについて、中小企業基盤整備機構が出資(ファンド総額の1/2以内)を行うことで、民間資金の呼び水としてファンドの組成を促進し、創業又は成長初期の段階にあるベンチャー企業(中小企業)や新事業展開等により成長を目指す中小企業への投資機会の拡大を図った。起業支援ファンドについては、累積出資先ファンド数116件、出資約束総額2,828億円、累積投資先企業数3,128社に至った。また、中小企業成長支援ファンドについては、累積出資先ファンド数117件、出資約束総額8,870億円、累積投資先企業数1,652社に至った(両ファンドともに2019年12月末時点)。(継続)
7.グローバル・スタートアップ・エコシステム強化事業【H31年度当初予算:8.0億円】
グローバルで成長するスタートアップのロールモデル創出に向けて、官民で連携し、海外展開を含むスタートアップへの育成・支援を行う「J-Startup」プログラムを実施。本プログラムの一環として起業家等20人をシリコンバレーに派遣し、人材育成事業等を行った。(新規)
8.潜在的創業者掘り起こし事業【H31年度当初予算:3.8億円の内数】
将来の地域の創業者を日本全国で増やす観点から、潜在的創業者の掘り起こし等に繋げるため全国的な創業イベントを開催した。(新規)
9.エンジェル税制【税制】
創業間もないベンチャー企業への個人投資家(エンジェル投資家)による資金供給を促進するため、引き続き、本税制の普及啓発を実施し、起業促進に向けた環境整備を行った。(継続)
10.経営革新支援事業
中小企業等経営強化法に基づき、中小企業が新たな事業活動を行うことで経営の向上を図ることを目的として作成し、承認された経営革新計画に対し、低利の融資制度や信用保証の特例等の支援策を通じ、その事業活動を支援した。(継続)
11.地域における創業支援体制の構築【税制等】
地域の創業を促進させるため、産業競争力強化法において、市区町村が民間の創業支援事業者と連携して創業支援等事業計画を作成し、国の認定を受けた場合、計画に基づく創業支援を受けた創業者に対し、税制(登録免許税半減)等の支援を行うとともに、創業支援事業者に対し信用保証等の支援を行った。(継続)
12.ローカル10,000プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金)【H31年度当初予算:10.0億円】
産学金官の連携により、地域の資源と資金(地域金融機関の融資)を活用して、雇用吸収力の大きい地域密着型事業の立ち上げを支援するため、民間事業者等が事業化段階で必要となる初期投資費用(ハード整備)について、地方公共団体が助成する経費の一部に対し、交付金として交付する。(継続)
13.女性起業家等支援ネットワーク構築事業【H31年度当初予算:1.5億円】
地域の金融機関や産業・創業支援機関等を中心とした女性起業家等支援ネットワークを通じて,女性の起業促進を図る。2018年に作成した支援事例をまとめたノウハウ集を使ったセミナーを全国10カ所にて開催した。(継続)
14.中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)【H31年度当初予算:0.6億円】
40歳以上の中高年齢者の雇用機会の創出を図り、生涯現役社会の実現を推進するため、40歳以上の中高年齢者が起業を行い、事業運営のための従業員を雇い入れる際に必要となる、募集・採用や教育訓練にかかる経費の一部を助成するとともに、起業後一定期間経過後に生産性向上が図れた場合に上乗せの助成金を別途支給する制度改正を実施した。(継続)
15.中小企業・小規模事業者経営力強化融資【財政投融資】
日本政策金融公庫が、認定経営革新等支援機関による指導及び助言を通じ経営革新又は異分野の中小企業と連携して新分野の開拓等を行う中小企業の経営力や資金調達力の強化を支援するため、必要な資金の貸付を行った。(継続)