トップページ 白書・統計情報 中小企業白書 2020年版 中小企業白書(HTML版) 第2部 新たな価値を生み出す中小企業 第2章 付加価値の獲得に向けた適正な価格設定 第3節 まとめ

第2部 新たな価値を生みだす中小企業

第2章 付加価値の獲得に向けた適正な価格設定

第3節 まとめ

本章では優位性により創出した価値を「価格」に適正に反映するための取組について見てきた。

第1節では、競合他社と比較して製品・サービスに優位性の有る企業は労働生産性の水準が高いが、その中にも、優位性が価格に十分に反映されている企業とされていない企業が約半数ずつ存在することが分かった。さらに、両者を比較すると、優位性が価格に十分に反映されている企業の方が労働生産性の水準が高いことから、優位性を価格に十分に反映する取組により、さらに労働生産性を高めていく余地があることが示唆された。

また、「顧客への優位性の発信」、「価格競争に参加しない意識」、「個々の製品・サービスごとのコスト管理」ができている企業では、優位性が価格に十分に反映されている傾向が高いことが分かった。

価格設定を考えるに当たっては、「顧客」、「競合」、「コスト」のいずれの視点も重要であるが、どの視点を重視しているかによって、優位性を価格に十分に反映するために必要な意識や取組の状況に違いがあることが分かった。

第2節では、価格設定に関して社外に経営相談をしたことがあるかについて確認した。経営相談の結果、「経営戦略見直しの必要性」や「コスト管理の方法」などについて役立つ情報を得られている企業が多いことが分かった。

差別化により構築した優位性を「価格」に適正に反映して収益化するまでが付加価値の獲得に向けた一連の取組である。企業は生み出した付加価値を従業員へ還元することが期待される中、収益拡大から賃金引上げへの好循環を実現し、顧客、企業、従業員のそれぞれが満足できる価格設定が実現可能な戦略になっているか、実現するために何が必要なのか、時代の変化に合わせて見直していくことが重要である。